44 / 181
第2部 天然女子高生のための再そーかつ
第41話 海賊版
しおりを挟む
東京都千代田区にある私立マルクス高等学校は今時珍しい革新系の学校で、在学生には(後略)
「さあさあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい、今回の赤点印の福袋は『鬼退治セット』と『有名な海賊のアニメディスク』! どちらも3000円ポッキリだよ!!」
マルクス中高では本日PTAの主催によるフリーマーケットが開催されていて、諸事情により大学を退学になってから未だに無職の赤城点太郎さんはこの機会にも出店を開いていた。
点太郎さんは硬式テニス部所属の2年生である赤城旗子先輩のお兄さんで、ご本人もマルクス中高の卒業生なのでフリーマーケットに参加すること自体は問題ではないのだが……
「こんにちは点太郎さん。これ鬼退治セットの見本ですか? 何か見覚えがあるんですけど」
「やあ、君は野掘さんだね。いつも旗子と仲良くしてくれてありがとう」
パイプ椅子に腰かけて笑顔で話す点太郎さんの足元には「鬼退治セット」の見本が並べられていて、緑と黒の市松模様の羽織にはものすごく既視感を覚えた。
その隣には黒と銀色に塗装された模造刀も置かれていて、点太郎さんは有名な週刊少年誌作品のキャラクターグッズを勝手に売っているようだった。
「確かに子供たちが買いそうですけど、これって著作権的に大丈夫なんですか?」
「大丈夫、市松模様は日本の伝統文化だから特定の誰かに著作権はないし、この模造刀も僕のオリジナルデザインだから。野掘さんにはこの海賊のアニメディスクがオススメかな」
「は、ははは……」
私立中高のフリーマーケットで平然と著作権的に危なそうなグッズを売っている点太郎さんの姿に苦笑いを浮かべていると、後方から誰かがダッシュしてきた。
「待ちなさい! あなた、校内でこんな海賊版みたいなグッズを販売していいと思ってるんですか!? 元生徒会長として即刻立ち退きを命じます!!」
「そんなことをいきなり言われても、僕は著作権的に問題のあるグッズなんて売ってませんよ」
現れたのは書道部所属の2年生にして元生徒会長の金原真希先輩で、何の権限があるのかは分からないが金原先輩は点太郎さんに即刻フリーマーケットから立ち退くよう命令していた。
「もし僕を疑うのなら、このアニメディスクを買っていってくださいよ。その上で海賊版だと判断されるなら僕も従いますから」
「分かりました。3000円払いますけど、海賊版だと分かったら返金して貰いますからね」
金原先輩は点太郎さんの提案を受け入れて「有名な海賊のアニメディスク」と書かれた福袋を購入し、それを持って校内に入っていった先輩に私も付いていくことにした。
「こんなの、どうせテレビアニメのDVDをコピーして安く売っているに違いないわ! 手足が伸びたり泳げなかったり血流を増やしたりするんでしょう!!」
「先輩意外と詳しいんですね……」
金原先輩はそのまま視聴覚室に入り、福袋を破くとそこからアニメディスクのケースを取り出した。
「あら、これは……」
「スペースセイバーX? 名前しか知りませんけど、確かに宇宙海賊ですね」
福袋に入っていたのは有名な週刊少年誌作品ではなく昔のテレビアニメ「銀河の狼スペースセイバーX」の海外版Blu-rayディスクで、テレビアニメの海外版のBlu-rayは日本国内では3000円ちょっとで買えるため特に違法なものではなかった。
「私は全然知らないけど、試しに見てみましょうか。……えっ、なんてかっこいい男の人なの。こういう大人の男性って憧れちゃう」
「昔のアニメですけど今見てもかっこいいですよね」
視聴覚室のスクリーンに投影されたテレビアニメは英語字幕こそ付いているが視聴には問題なく、金原先輩は宇宙海賊であるセイバーXの活躍に夢中になっていた。
こうして点太郎さんが売っていたものには特に問題はないと判断され、その日のフリーマーケットは無事に終了した。
その翌週……
「野掘さん! 私あれからスペースセイバーXのファンになっちゃって、TATSUYAでCDとDVDを借りてコピーしたわ! 新作アニメ映画も最高よ!!」
「先輩、CDはいいですけどDVDのコピーは違法ですー!!」
自覚なく違法行為に手を出していた金原先輩を見て、私も著作物の扱いには気を付けようと思った。
(続く)
「さあさあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい、今回の赤点印の福袋は『鬼退治セット』と『有名な海賊のアニメディスク』! どちらも3000円ポッキリだよ!!」
マルクス中高では本日PTAの主催によるフリーマーケットが開催されていて、諸事情により大学を退学になってから未だに無職の赤城点太郎さんはこの機会にも出店を開いていた。
点太郎さんは硬式テニス部所属の2年生である赤城旗子先輩のお兄さんで、ご本人もマルクス中高の卒業生なのでフリーマーケットに参加すること自体は問題ではないのだが……
「こんにちは点太郎さん。これ鬼退治セットの見本ですか? 何か見覚えがあるんですけど」
「やあ、君は野掘さんだね。いつも旗子と仲良くしてくれてありがとう」
パイプ椅子に腰かけて笑顔で話す点太郎さんの足元には「鬼退治セット」の見本が並べられていて、緑と黒の市松模様の羽織にはものすごく既視感を覚えた。
その隣には黒と銀色に塗装された模造刀も置かれていて、点太郎さんは有名な週刊少年誌作品のキャラクターグッズを勝手に売っているようだった。
「確かに子供たちが買いそうですけど、これって著作権的に大丈夫なんですか?」
「大丈夫、市松模様は日本の伝統文化だから特定の誰かに著作権はないし、この模造刀も僕のオリジナルデザインだから。野掘さんにはこの海賊のアニメディスクがオススメかな」
「は、ははは……」
私立中高のフリーマーケットで平然と著作権的に危なそうなグッズを売っている点太郎さんの姿に苦笑いを浮かべていると、後方から誰かがダッシュしてきた。
「待ちなさい! あなた、校内でこんな海賊版みたいなグッズを販売していいと思ってるんですか!? 元生徒会長として即刻立ち退きを命じます!!」
「そんなことをいきなり言われても、僕は著作権的に問題のあるグッズなんて売ってませんよ」
現れたのは書道部所属の2年生にして元生徒会長の金原真希先輩で、何の権限があるのかは分からないが金原先輩は点太郎さんに即刻フリーマーケットから立ち退くよう命令していた。
「もし僕を疑うのなら、このアニメディスクを買っていってくださいよ。その上で海賊版だと判断されるなら僕も従いますから」
「分かりました。3000円払いますけど、海賊版だと分かったら返金して貰いますからね」
金原先輩は点太郎さんの提案を受け入れて「有名な海賊のアニメディスク」と書かれた福袋を購入し、それを持って校内に入っていった先輩に私も付いていくことにした。
「こんなの、どうせテレビアニメのDVDをコピーして安く売っているに違いないわ! 手足が伸びたり泳げなかったり血流を増やしたりするんでしょう!!」
「先輩意外と詳しいんですね……」
金原先輩はそのまま視聴覚室に入り、福袋を破くとそこからアニメディスクのケースを取り出した。
「あら、これは……」
「スペースセイバーX? 名前しか知りませんけど、確かに宇宙海賊ですね」
福袋に入っていたのは有名な週刊少年誌作品ではなく昔のテレビアニメ「銀河の狼スペースセイバーX」の海外版Blu-rayディスクで、テレビアニメの海外版のBlu-rayは日本国内では3000円ちょっとで買えるため特に違法なものではなかった。
「私は全然知らないけど、試しに見てみましょうか。……えっ、なんてかっこいい男の人なの。こういう大人の男性って憧れちゃう」
「昔のアニメですけど今見てもかっこいいですよね」
視聴覚室のスクリーンに投影されたテレビアニメは英語字幕こそ付いているが視聴には問題なく、金原先輩は宇宙海賊であるセイバーXの活躍に夢中になっていた。
こうして点太郎さんが売っていたものには特に問題はないと判断され、その日のフリーマーケットは無事に終了した。
その翌週……
「野掘さん! 私あれからスペースセイバーXのファンになっちゃって、TATSUYAでCDとDVDを借りてコピーしたわ! 新作アニメ映画も最高よ!!」
「先輩、CDはいいですけどDVDのコピーは違法ですー!!」
自覚なく違法行為に手を出していた金原先輩を見て、私も著作物の扱いには気を付けようと思った。
(続く)
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
『俺アレルギー』の抗体は、俺のことが好きな人にしか現れない?学園のアイドルから、幼馴染までノーマスク。その意味を俺は知らない
七星点灯
青春
雨宮優(あまみや ゆう)は、世界でたった一つしかない奇病、『俺アレルギー』の根源となってしまった。
彼の周りにいる人間は、花粉症の様な症状に見舞われ、マスク無しではまともに会話できない。
しかし、マスクをつけずに彼とラクラク会話ができる女の子達がいる。幼馴染、クラスメイトのギャル、先輩などなど……。
彼女達はそう、彼のことが好きすぎて、身体が勝手に『俺アレルギー』の抗体を作ってしまったのだ!
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について
のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。
だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。
「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」
ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。
だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。
その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!?
仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、
「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」
「中の人、彼氏か?」
視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!?
しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して――
同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!?
「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」
代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる