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第2部 天然女子高生のための再そーかつ
第46話 フェアトレード
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東京都千代田区にある私立マルクス高等学校は今時珍しい革新系の学校で、在学生にはリベラルアーツ精神と左派系の思想が叩き込まれている。
「これは梅畑君ので、これは円城寺君の……寒下さんにも貰っちゃった。てへへ」
ホワイトデー当日。私、野掘真奈は高校の男友達や学生食堂のおじさんに貰ったお菓子を自室の机に並べていた。
彼氏はいないので全部バレンタインデーの友チョコのお返しだが、こういうイベントでいくつもお菓子を貰えたのは現役女子高生としてとても嬉しかった。
「お久しぶりです、こちらにいらっしゃったのですね」
「ギャー変態!!」
ノックもせずに入ってきた弟の正輝に梅畑君から貰った缶入りチョコレートを投げつけると、割と大きい缶は正輝の顔面に直撃した。
失神した正輝を例によって室内まで引きずると、私は制服姿のままで正輝を叩き起こした。
「いつもながら申し訳ありません、何分この惑星の文化には疎いもので。今回も弟さんの身体をお借りしますので、もしすぐに憑依を解きたくなったらこの髪の毛を抜いてください」
「それは分かりましたけど、異星人さん、こんな日に一体何の用ですか?」
今目の前で話しているのは正輝に憑依した外宇宙の異星人だと名乗られるまでもなく分かり、この調子からすると正体はブラッキ星人と延々戦争を続けているローキ星人だろう。
「私の母星はブラッキ星人との戦争の資金を調達すべく他の恒星系とも貿易を行っているのですが、文明があまり進歩していない惑星との貿易ではこちらに都合のよい条件を押し付ける結果になりがちなのです。この惑星では先進国と発展途上国が対等な立場で貿易を行うフェアトレードという文化があると聞き、その具体例を学びに参りました」
「まあ今日ホワイトデーですし、お菓子売り場でフェアトレードのチョコレートでも見ましょうか。それで説明になるか分からないですけど……」
正輝も中学校から帰ってきたばかりだったのかちょうど制服を着ていたので、私は正輝(に憑依している異星人)を連れて姉弟で買い物に行くことにした。
「これは素晴らしいですね。チョコレートという商品の説明文に、フェアトレードという文化が子供にも分かるように紹介されています。私たちもこの取り組みを母星で実現したいと思います」
「全然悪い文化じゃないですし、いいんじゃないですか?」
カップル客でにぎわうデパートのお菓子売り場でローキ星人はチョコレートの箱を見て感動しており、今回は比較的いい感じの地球来訪のように思えた。
「あら、マナじゃない。弟君とホワイトデーにデートかしら?」
「ゆき先輩……と秋葉先輩じゃないですか。お2人もこちらに来られてたんですね」
「今日はほっちゃんが欲しいものを何でも買ってあげるんだよ! ほ、ほーっ、ホアアーッ!! ホアーッ!!」
私たちに後方から話しかけてきたのは硬式テニス部所属の2年生である堀江有紀先輩で、その隣にはゆき先輩の大ファンである3年生の秋葉拓雄先輩の姿もあった。
秋葉先輩はいつもデート券を大量に買ってはゆき先輩にデートをして貰っているので、今日もホワイトデーのデートに興奮していたのだろう。
「こんばんは。先ほどもこちらの女性からお聞きしたのですが、ホワイトデーとはどういった催しなのでしょうか?」
「あれっ、お姉さんなんじゃないのぉ? まあいいけど、ホワイトデーっていうのは男の人が女の人にお菓子とかのプレゼントをあげるイベントだよ。1か月前のバレンタインデーでプレゼントをくれた女の人に、大体3倍ぐらいの価値があるプレゼントをお返しするんだよ!!」
「何だって!? この惑星のこの国では男女同権が唱えられているはずなのに、そのような不公正な貿易がまかり通っているのか!?」
「ホワイトデーが貿易? 弟君、面白い例えをなさいますのね」
ホワイトデーについて真面目に説明してくれた秋葉先輩に、ローキ星人はホワイトデーという文化を問題視し始めた。
「僕みたいなイケてない男がほっちゃんにデートして貰えるだけでも最高にありがたすぎるから、今日は3倍どころか10倍返しのつもり! お菓子を一杯買ってディナーは高級レストランにするんだあ~」
「いや、あなたは騙されている! この惑星ではフェアトレードが実現されているなど建前だけで、魅力のない男性が女性に搾取されているのは理不尽だ。こうしてはいられない、ローキ光線で男女の搾取構造を破壊しイッーーーー」
「あはは、ごめんなさい。弟が最近中二病ってやつになっちゃいまして」
即座にアホ毛を引っこ抜くと異星人に憑依されていた正輝は失神し、秋葉先輩は一人で騒いで勝手に倒れた男子中学生をかわいそうな目で見ながらゆき先輩と並んで歩いていった。
「あれ、どうしたの姉ちゃん? 何か堀江先輩の声が聞こえた気がしたけど」
「正輝、今度会った時に何か言われても気にしないでね……」
異星人のせいで評判を落とした正輝に、私は男女関係のフェアトレードは中々難しいと思った。
(続く)
「これは梅畑君ので、これは円城寺君の……寒下さんにも貰っちゃった。てへへ」
ホワイトデー当日。私、野掘真奈は高校の男友達や学生食堂のおじさんに貰ったお菓子を自室の机に並べていた。
彼氏はいないので全部バレンタインデーの友チョコのお返しだが、こういうイベントでいくつもお菓子を貰えたのは現役女子高生としてとても嬉しかった。
「お久しぶりです、こちらにいらっしゃったのですね」
「ギャー変態!!」
ノックもせずに入ってきた弟の正輝に梅畑君から貰った缶入りチョコレートを投げつけると、割と大きい缶は正輝の顔面に直撃した。
失神した正輝を例によって室内まで引きずると、私は制服姿のままで正輝を叩き起こした。
「いつもながら申し訳ありません、何分この惑星の文化には疎いもので。今回も弟さんの身体をお借りしますので、もしすぐに憑依を解きたくなったらこの髪の毛を抜いてください」
「それは分かりましたけど、異星人さん、こんな日に一体何の用ですか?」
今目の前で話しているのは正輝に憑依した外宇宙の異星人だと名乗られるまでもなく分かり、この調子からすると正体はブラッキ星人と延々戦争を続けているローキ星人だろう。
「私の母星はブラッキ星人との戦争の資金を調達すべく他の恒星系とも貿易を行っているのですが、文明があまり進歩していない惑星との貿易ではこちらに都合のよい条件を押し付ける結果になりがちなのです。この惑星では先進国と発展途上国が対等な立場で貿易を行うフェアトレードという文化があると聞き、その具体例を学びに参りました」
「まあ今日ホワイトデーですし、お菓子売り場でフェアトレードのチョコレートでも見ましょうか。それで説明になるか分からないですけど……」
正輝も中学校から帰ってきたばかりだったのかちょうど制服を着ていたので、私は正輝(に憑依している異星人)を連れて姉弟で買い物に行くことにした。
「これは素晴らしいですね。チョコレートという商品の説明文に、フェアトレードという文化が子供にも分かるように紹介されています。私たちもこの取り組みを母星で実現したいと思います」
「全然悪い文化じゃないですし、いいんじゃないですか?」
カップル客でにぎわうデパートのお菓子売り場でローキ星人はチョコレートの箱を見て感動しており、今回は比較的いい感じの地球来訪のように思えた。
「あら、マナじゃない。弟君とホワイトデーにデートかしら?」
「ゆき先輩……と秋葉先輩じゃないですか。お2人もこちらに来られてたんですね」
「今日はほっちゃんが欲しいものを何でも買ってあげるんだよ! ほ、ほーっ、ホアアーッ!! ホアーッ!!」
私たちに後方から話しかけてきたのは硬式テニス部所属の2年生である堀江有紀先輩で、その隣にはゆき先輩の大ファンである3年生の秋葉拓雄先輩の姿もあった。
秋葉先輩はいつもデート券を大量に買ってはゆき先輩にデートをして貰っているので、今日もホワイトデーのデートに興奮していたのだろう。
「こんばんは。先ほどもこちらの女性からお聞きしたのですが、ホワイトデーとはどういった催しなのでしょうか?」
「あれっ、お姉さんなんじゃないのぉ? まあいいけど、ホワイトデーっていうのは男の人が女の人にお菓子とかのプレゼントをあげるイベントだよ。1か月前のバレンタインデーでプレゼントをくれた女の人に、大体3倍ぐらいの価値があるプレゼントをお返しするんだよ!!」
「何だって!? この惑星のこの国では男女同権が唱えられているはずなのに、そのような不公正な貿易がまかり通っているのか!?」
「ホワイトデーが貿易? 弟君、面白い例えをなさいますのね」
ホワイトデーについて真面目に説明してくれた秋葉先輩に、ローキ星人はホワイトデーという文化を問題視し始めた。
「僕みたいなイケてない男がほっちゃんにデートして貰えるだけでも最高にありがたすぎるから、今日は3倍どころか10倍返しのつもり! お菓子を一杯買ってディナーは高級レストランにするんだあ~」
「いや、あなたは騙されている! この惑星ではフェアトレードが実現されているなど建前だけで、魅力のない男性が女性に搾取されているのは理不尽だ。こうしてはいられない、ローキ光線で男女の搾取構造を破壊しイッーーーー」
「あはは、ごめんなさい。弟が最近中二病ってやつになっちゃいまして」
即座にアホ毛を引っこ抜くと異星人に憑依されていた正輝は失神し、秋葉先輩は一人で騒いで勝手に倒れた男子中学生をかわいそうな目で見ながらゆき先輩と並んで歩いていった。
「あれ、どうしたの姉ちゃん? 何か堀江先輩の声が聞こえた気がしたけど」
「正輝、今度会った時に何か言われても気にしないでね……」
異星人のせいで評判を落とした正輝に、私は男女関係のフェアトレードは中々難しいと思った。
(続く)
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