気分は基礎医学

輪島ライ

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用語集(おまけコーナー)

用語集2-3 医学用語(社会医学編)

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※用語集はおまけコーナーです。読まなくても物語の理解には差し支えありません。
※特に断りがない場合、この用語集の内容は作中の設定ではなく現実に準拠しています。
※用語集に含まれる情報は2023年3月時点のものであり、現行の制度とは一致していない場合があります。


・社会医学その1「公衆衛生学」

 基本的な概念としては医学・医療の社会的な立ち位置を研究し、その成果を医療の現場にフィードバックする学問です。極めて幅広い分野の問題を扱い、医療に関する統計処理とその分析、医療に関する様々な法規(医師法、医療法など)の研究とその整備、企業や学校での健康管理(産業医並びに学校医)や労働災害の防止といった様々な取り組みは全て公衆衛生学に含まれます。
 その重要性から公衆衛生学はCBTや医師国家試験でも重視されており、医師国家試験での最多出題科目の座をキープし続けています。

・社会医学その2「法医学」

 人の死に関する科学的現象を研究し、その成果を社会生活に応用する学問です。死体が発見された際に行われる「死因推定」や「死亡時刻推定」は全て法医学の研究に基づいており、死因不明の死体(異状死体)を解剖して死因を調べる法医解剖も法医学者の仕事です。
 法医解剖による異状死体の死因解明は犯罪捜査において極めて重要ですが、近年の日本では法医学者の極端な人数不足が続き、しばしば人数の不足が問題視される病理医でさえ全国で2200名ほど存在するのに対し法医学者の総数は150名を切っています。危機的という表現を通り越した現状に対し、法医学者でない医師による法医解剖の実施や死体に対するCT撮影を活用した死因解明による省力化などの対策が打たれていますが、根本的な解決には全く至っていません。

・社会医学その3「心理学・行動科学」

 心理学そのものは文系の学問であり、あくまで理系の学問の一分野である医学とは独立した学問ですが、行動科学と併せて社会医学として扱われる場合もあります。
 心理学の専門家である公認心理士は精神科医療の現場に携わっており、行動科学の研究成果も臨床医学や基礎医学にフィードバックされているため、心理学および行動科学の知見も医学の発展には欠かせません。
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