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第117回医師国家試験:当日の模様と自己採点結果

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 2023年2月4~5日(土・日)の2日間、私は日本国内のとある会場で学友たちと第117回医師国家試験を受験しました。

 医師国家試験の受験生には今年度に医学部医学科を卒業見込み、すなわち新卒の受験生と昨年度までに医学部医学科を卒業した既卒の受験生の2種類が存在しますが私は新卒なので医師国家試験を受験するのは今回が初めてでした。

 後輩である医学部医学科5年生の国試対策委員が予約してくれたホテルに試験前日より宿泊し、当日の早朝は同じく国試対策委員が配布してくれた弁当をホテルの個室で食べてから試験会場に向かう貸し切りバスに乗り込みました。

 バスは数十分ほど走って会場の近くに到着し、バスを降りた私は同じ大学の受験生たちに囲まれて会場となっているとある大学のキャンパスに入りました。

 それからは目まぐるしく試験が始まり進行していきましたが、2日間を終えた所感は「センター試験とよく似ている」ということに尽きました。

 現在の医師国家試験はかつての大学入試センター試験(現在は大学入学共通テスト)と同じく全問客観式で解答方式は紙媒体、すなわちマークシート式で行わる試験です。試験監督はどの受験生も分かりきっている事項もマニュアルに沿って毎回繰り返し説明し、試験中にトイレに行きたい場合は挙手をして伝えて試験監督同伴の上でトイレまで向かう必要がありました。

 センター試験との大きな違いは受験者数の少なさと出題内容で、医師国家試験の受験者は既卒生も含めて全国で1万人程度しかいません。これは全国の大学の医学部医学科の一学年の合計人数とほぼ同じです。(センター試験および共通テストの受験者数は全国で50~55万人程度)

 また、センター試験や共通テストでは一部の科目のみを受験して帰る受験生も多いですが医師国家試験は受験者全員が2日間の全てのブロック(Aブロック~Fブロック)を解答する必要があり、その問題数は合計で400問と事前に決められています。

 始まるまでは恐ろしかった医師国家試験は始まってみるとあっという間で、私は1日目の終了後と2日目の終了後にそれぞれ自己採点を行うことにして持ち帰り可能となっている問題冊子に記録しておいた自分の解答を国試予備校のウェブサイトに登録しました。

 そして2日目の終了後に全てのブロックに解答を記録した直後、私は自分の合格を確信しました。

 その時点で必修問題は200点満点中180点(予想正答率90%)、一般臨床問題は予想正答率80%程度。

 医師国家試験の合格基準は一般に「必修問題160点以上かつ一般臨床問題正答率70%強」とされているため、この数字を確認した直後は全身の力がほっと抜けていく感じがしました。

 国試予備校が作成した非公式の模範解答(厚生労働省による公式の正答は合格発表時まで公表されません)はその後に何度か更新され一般臨床問題の正答率は若干変動しましたが、この原稿を書いている時点では必修問題は変わらず200点満点中180点、一般臨床問題は正答率約82%で両者とも偏差値は49程度となっています。

 この数値は国試予備校メディックメディアによる医師国家試験自己採点サービス「講師速報」によるもので、このサービスには現時点で約9600名の受験生が解答を登録しているためほとんど全ての受験生のデータを反映していることになります。

 自分がおそらく無事に合格しているという結果に安堵するとともに必修問題で予想正答率90%、一般臨床問題で予想正答率約82%であっても偏差値が50を切っている(=全受験生の中央値を下回っている)という事実には現代日本の医学生の学力の高さに驚くばかりです。

 当日の試験の模様と自己採点結果は上記の通りですが、私がここに至るまでにはかなりの紆余曲折がありました。

 次項からは時系列をさかのぼり、医学部医学科6年生の卒業試験の記録を書いていきます。
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