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1 僕
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それはちょうどアルバイトの帰りだった。
自転車で通学をしている僕はいつもその小さな公園を通る。そこは通過地点であって足を止めたのは本当に偶然だった。運命と言えばもっと綺麗だろうか。
ブランコとシーソー、それに遠慮ばかりにベンチがある公園。そのベンチの下側で、黒い毛玉のようなそいつは、か弱く鳴いていた。
僕は無造作に自転車を止めてしゃがんだ。震えているようにも見える。けれど黒い毛玉から覗く二つの瞳はしっかりと僕を見ている。どこかで見たことがあるような猫だ。
「お前も一人か?」
端から見れば一人言を言っている大学生が暗くなった公園にいる。僕ならもしかしたら通報するかもしれない。そう思いながらも僕は続けた。出来るだけ優しく怯えさせないように。
「僕は一人なんだ。……正しく言うと、一人になった」
子猫は動こうとしない。もしかしたら取って喰われるかもしれないと警戒しているのかもしれない。そんなつもりはないけれど、相手に信用してもらうのは誰だって簡単じゃない。ましてや言葉が通じない相手ならなおさらか。
「何を言っているか分からないだろうな。君は猫だもんね。でも……、聴いてくれないかなあ、僕の話」
どうしてこんなことをしているのだろうと思わなくもない。もしかしたら僕は誰かに話を聴いてほしかったのかもしれない。誰でもいい。人間じゃなくていい。いやその方がいいかもしれない。どちらにしろ、僕は怯える子猫に一方的に話しかけた。
「僕、一人になったって言っただろ。それはさ、僕の大切な人が居なくなったからなんだ……。うんもう、会うことが出来ない。……どうあがいても、ね」
僕は彼女の顔を思い出す。あのときから出来るだけ思い出さないようにしていた彼女の姿を。
彼女が居なくなってもう一週間も経った。
「彼女と会ったのはさ、確か大学の何回目かの授業のときだったかな。何の講義だったのかは覚えてないけどさ、隣だったんだ、席が。そこで出会った」
子猫はずっと自分を見つめてくる人間に興味を持ったのか、それとも慣れたのか分からないけれど、ベンチの下からゆっくりと出てきた。僕の目の前までやって来た子猫を撫でてやれば、気持ち良さげに伸びている。
「その授業の終わりにね、僕の荷物が落ちたんだ。焦ったよ。だって詩とか小説とか書いてあるノートも一緒だったから。恥ずかしい奴だろう。まあでもそのおかげで彼女と知り合えたんだけどね」
僕がベンチに座ると子猫も隣へとやって来た。子猫が隠れていたベンチだ。膝にのせてまた撫でてやると気持ち良さそうに喉を鳴らした。こんなに猫の扱いに慣れたのも彼女のおかげだ。彼女は本当に猫が好きだった。
「僕なんかでごめんよ。彼女だったらもっと巧いんだろうけどね」
彼女は猫が好きだったし、どの猫も彼女のことが好きなように見えた。彼女が撫でている野良猫を僕が撫でようとして引っ掻かれたことがある。そのときは彼女、ツボにはまって苦しくなるほどに笑っていた。
「荷物と一緒にそのノートも落としていたことは気付いてた。だからすぐに取ろうとしたんだ。でも彼女の方が早かった。詩を書き留めたノートを見られていると知ったときは死のうかなんて本気で思ったよ。恥ずかしいし、何を言われるかって身構えたさ。高校のときは直球にキモイって言われたことがあって、あれは正直傷ついたからね」
彼女は真剣な面持ちでノートを手にとって見ていた。僕はまるで裁判で判決を待っているようだった。彼女の目線で何処を読んでいるのか、それに読み終わったのかはすぐにわかった。だから僕は何を言われても平気なように覚悟した。
「彼女、何て言ったと思う? いい作品だねって言ったんだ。僕は最初、聞き間違いだと思った。でも彼女ははっきりそう言った」
子猫はミャーと一つ、鳴いてみせた。それが何を意味するのはさっぱりだ。僕の話を聴いてくれているのかもしれない。それともエサを求めているのだろうか。どちらにしろ、何か食べ物は与えるべきだ。触って気付いたけれど、子猫は痩せすぎている。
子猫にこうやって話しているのは自分を慰めるためだろうか。もしかすると僕は、何かを懺悔しているのかもしれない。自分でも本当に分からなかった。
「それから時々彼女と話すようになった。彼女も詩を書いたことがあるだとか、いつか曲を作ってみたいだとかね。……話を聴いてさ、僕。音楽に気が惹かれたんだ。だから彼女に提案した。『一緒に曲を作らないか?』って」
そこまで言って僕は気付いた。これはきっと懺悔だ。彼女との約束を無下にしたことに許しをこいているのだ。
「快く承諾してくれた。作詞は僕がして、彼女が歌う。彼女の歌声はさ、すごい綺麗なんだよ。歌もすごくうまかった。作曲はお互いで協力してやることになった。僕も彼女も作曲は初めてだったから。たぶん一ヶ月ぐらい、それはもう悪戦苦闘だったかな。ああでもないこうでもないってね。それでも完成したよ、ちゃんと。動画サイトにあげてみたら結構評判がよくてさ、嬉しかったなあ。……彼女も同じ気持ちだったと思う。だからまた作ろうって約束したんだ」
ふと僕は顔を上げた。ちょうど公園に老人がやって来た。動きやすそうな服装に手には反射番をつけている。見た目ののわりには姿勢はしっかりしている。夜の散歩でちょうどこの公園を通ったのだろう。
「おや」
老人は僕と子猫がいる方に向いた。僕たちに気付いたのだろう。
「やあ、こんばんは」
老人はにこりと笑顔をつくって挨拶をした。僕は小さい声で挨拶を返した。おかしなことに子猫までニャアと鳴いた。
「挨拶を返してくれるとは、礼儀正しい子だ」
そんなことで礼儀正しいと思われるとは考えなかった。この老人の周りの若者は挨拶も返さないのだろうか。老人の視線は子猫に注がれている。
「野良猫かね?」
「ええ、おそらく。僕も連れて帰ってやりたいんですけど、マンションがペット禁止なんで無理なんですよ」
ペットが飼えたなら、この子猫を連れて帰ってあげれるのに、と思う。
「ふむ……。私が連れて帰ってやれればいいんだがね、どうも家内がアレルギーだと言いはるからね。残念だけど連れ帰ってはやれない」
老人は眉をハの字にして残念そうに言った。アレルギーなら仕方がない。可哀想だが子猫が誰かいい人間に救われることを祈るしかない。彼女だったらすぐにでも連れ帰っただろう。
「ああ、そうだ。夜も遅いから車には気を付けるんだよ。……一週間ぐらい前だったかな。悲しいことに大学生が交通事故に合ったって言うからね」
「そう、ですね……」
老人はそう言って子猫の頭を一撫でした。首の辺りの方が好むことを教えてもよかったが、子猫は満足そうだったから、水を差すのはやめた。
「それじゃあ、私は散歩に戻るよ。くれぐれも車には気を付けるんだ」
「ありがとうございます。おじいさんこそ気をつけてくださいね」
老人はまた夜の散歩へと行ってしまい、公園は僕と子猫だけになった。少し向こうにある道路を走る車の音は聴こえるけど、それでも公園は静かだ。
「こんなに静かだと僕とお前以外、何も居ないように思えてくるよ」
子猫を見ると、そいつは僕の方を向いてニャアと鳴いた。それは僕の言葉への同意を表しているのだろうか。それとも、もうお前の話には飽きたとでも言っているのだろうか。僕は猫語を知らないから分かるわけがない。
「猫語でも話せればいいのにな。……そうだ、お前に訊きたいことがあるんだ。僕がこんなに落ち込んでいる原因の一つでもあるんだけどなあ。……僕の手帳、この辺りに落ちてなかった? この辺りで落としてしまったと思うんだけど探しても見当たらないんだ。これぐらいのさ、深緑色なんだけど……」
手で手帳の大きさを表してみせた。だけどすぐ僕は話すのをやめて、溜息を吐いた。可笑しなことをしている。猫に失くしものの在りかを訊いているんだ。僕が猫の言葉が分からないように猫だって日本語が分からないのは当たり前じゃないか。もし猫が僕の言葉を理解してても、猫語で答えられたら僕は全く分からない。どうしてこんなことをしているのだろうかと不思議に思う。たぶんだけど、その手帳が僕にとってとても大切なものだったからに違いない。彼女への気持ちと同じぐらい重要なこと。けれど書いた詞がどんなものだったかが思い出せないのはどうしてだろう。
「僕、疲れてるのかなあ……」
また大きな溜息をついて僕は時計を見る。もうすぐで八時の半分が過ぎるくらい。もう帰らなければならない。このまま子猫に語り続けたら夜が明けてしまいそうだ。そんなことはないだろうけど、それでもこの辺りで帰るべきだろう。僕はベンチから立ち上がった。
「ありがとうな、話を聴いてくれて。……そうだ、明日ここに餌をもってきてやるから、明日もここに来いよ。旨いやつを買ってくるからさ」
もう一度、子猫を撫でてやる。喉の辺りを軽く撫でると、子猫は気持ち良さげにする。
「じゃあな」
子猫に軽く手を振り、僕は公園を去った。子猫は何もない暗闇のほうに向かってニャアと鳴いた。
自転車で通学をしている僕はいつもその小さな公園を通る。そこは通過地点であって足を止めたのは本当に偶然だった。運命と言えばもっと綺麗だろうか。
ブランコとシーソー、それに遠慮ばかりにベンチがある公園。そのベンチの下側で、黒い毛玉のようなそいつは、か弱く鳴いていた。
僕は無造作に自転車を止めてしゃがんだ。震えているようにも見える。けれど黒い毛玉から覗く二つの瞳はしっかりと僕を見ている。どこかで見たことがあるような猫だ。
「お前も一人か?」
端から見れば一人言を言っている大学生が暗くなった公園にいる。僕ならもしかしたら通報するかもしれない。そう思いながらも僕は続けた。出来るだけ優しく怯えさせないように。
「僕は一人なんだ。……正しく言うと、一人になった」
子猫は動こうとしない。もしかしたら取って喰われるかもしれないと警戒しているのかもしれない。そんなつもりはないけれど、相手に信用してもらうのは誰だって簡単じゃない。ましてや言葉が通じない相手ならなおさらか。
「何を言っているか分からないだろうな。君は猫だもんね。でも……、聴いてくれないかなあ、僕の話」
どうしてこんなことをしているのだろうと思わなくもない。もしかしたら僕は誰かに話を聴いてほしかったのかもしれない。誰でもいい。人間じゃなくていい。いやその方がいいかもしれない。どちらにしろ、僕は怯える子猫に一方的に話しかけた。
「僕、一人になったって言っただろ。それはさ、僕の大切な人が居なくなったからなんだ……。うんもう、会うことが出来ない。……どうあがいても、ね」
僕は彼女の顔を思い出す。あのときから出来るだけ思い出さないようにしていた彼女の姿を。
彼女が居なくなってもう一週間も経った。
「彼女と会ったのはさ、確か大学の何回目かの授業のときだったかな。何の講義だったのかは覚えてないけどさ、隣だったんだ、席が。そこで出会った」
子猫はずっと自分を見つめてくる人間に興味を持ったのか、それとも慣れたのか分からないけれど、ベンチの下からゆっくりと出てきた。僕の目の前までやって来た子猫を撫でてやれば、気持ち良さげに伸びている。
「その授業の終わりにね、僕の荷物が落ちたんだ。焦ったよ。だって詩とか小説とか書いてあるノートも一緒だったから。恥ずかしい奴だろう。まあでもそのおかげで彼女と知り合えたんだけどね」
僕がベンチに座ると子猫も隣へとやって来た。子猫が隠れていたベンチだ。膝にのせてまた撫でてやると気持ち良さそうに喉を鳴らした。こんなに猫の扱いに慣れたのも彼女のおかげだ。彼女は本当に猫が好きだった。
「僕なんかでごめんよ。彼女だったらもっと巧いんだろうけどね」
彼女は猫が好きだったし、どの猫も彼女のことが好きなように見えた。彼女が撫でている野良猫を僕が撫でようとして引っ掻かれたことがある。そのときは彼女、ツボにはまって苦しくなるほどに笑っていた。
「荷物と一緒にそのノートも落としていたことは気付いてた。だからすぐに取ろうとしたんだ。でも彼女の方が早かった。詩を書き留めたノートを見られていると知ったときは死のうかなんて本気で思ったよ。恥ずかしいし、何を言われるかって身構えたさ。高校のときは直球にキモイって言われたことがあって、あれは正直傷ついたからね」
彼女は真剣な面持ちでノートを手にとって見ていた。僕はまるで裁判で判決を待っているようだった。彼女の目線で何処を読んでいるのか、それに読み終わったのかはすぐにわかった。だから僕は何を言われても平気なように覚悟した。
「彼女、何て言ったと思う? いい作品だねって言ったんだ。僕は最初、聞き間違いだと思った。でも彼女ははっきりそう言った」
子猫はミャーと一つ、鳴いてみせた。それが何を意味するのはさっぱりだ。僕の話を聴いてくれているのかもしれない。それともエサを求めているのだろうか。どちらにしろ、何か食べ物は与えるべきだ。触って気付いたけれど、子猫は痩せすぎている。
子猫にこうやって話しているのは自分を慰めるためだろうか。もしかすると僕は、何かを懺悔しているのかもしれない。自分でも本当に分からなかった。
「それから時々彼女と話すようになった。彼女も詩を書いたことがあるだとか、いつか曲を作ってみたいだとかね。……話を聴いてさ、僕。音楽に気が惹かれたんだ。だから彼女に提案した。『一緒に曲を作らないか?』って」
そこまで言って僕は気付いた。これはきっと懺悔だ。彼女との約束を無下にしたことに許しをこいているのだ。
「快く承諾してくれた。作詞は僕がして、彼女が歌う。彼女の歌声はさ、すごい綺麗なんだよ。歌もすごくうまかった。作曲はお互いで協力してやることになった。僕も彼女も作曲は初めてだったから。たぶん一ヶ月ぐらい、それはもう悪戦苦闘だったかな。ああでもないこうでもないってね。それでも完成したよ、ちゃんと。動画サイトにあげてみたら結構評判がよくてさ、嬉しかったなあ。……彼女も同じ気持ちだったと思う。だからまた作ろうって約束したんだ」
ふと僕は顔を上げた。ちょうど公園に老人がやって来た。動きやすそうな服装に手には反射番をつけている。見た目ののわりには姿勢はしっかりしている。夜の散歩でちょうどこの公園を通ったのだろう。
「おや」
老人は僕と子猫がいる方に向いた。僕たちに気付いたのだろう。
「やあ、こんばんは」
老人はにこりと笑顔をつくって挨拶をした。僕は小さい声で挨拶を返した。おかしなことに子猫までニャアと鳴いた。
「挨拶を返してくれるとは、礼儀正しい子だ」
そんなことで礼儀正しいと思われるとは考えなかった。この老人の周りの若者は挨拶も返さないのだろうか。老人の視線は子猫に注がれている。
「野良猫かね?」
「ええ、おそらく。僕も連れて帰ってやりたいんですけど、マンションがペット禁止なんで無理なんですよ」
ペットが飼えたなら、この子猫を連れて帰ってあげれるのに、と思う。
「ふむ……。私が連れて帰ってやれればいいんだがね、どうも家内がアレルギーだと言いはるからね。残念だけど連れ帰ってはやれない」
老人は眉をハの字にして残念そうに言った。アレルギーなら仕方がない。可哀想だが子猫が誰かいい人間に救われることを祈るしかない。彼女だったらすぐにでも連れ帰っただろう。
「ああ、そうだ。夜も遅いから車には気を付けるんだよ。……一週間ぐらい前だったかな。悲しいことに大学生が交通事故に合ったって言うからね」
「そう、ですね……」
老人はそう言って子猫の頭を一撫でした。首の辺りの方が好むことを教えてもよかったが、子猫は満足そうだったから、水を差すのはやめた。
「それじゃあ、私は散歩に戻るよ。くれぐれも車には気を付けるんだ」
「ありがとうございます。おじいさんこそ気をつけてくださいね」
老人はまた夜の散歩へと行ってしまい、公園は僕と子猫だけになった。少し向こうにある道路を走る車の音は聴こえるけど、それでも公園は静かだ。
「こんなに静かだと僕とお前以外、何も居ないように思えてくるよ」
子猫を見ると、そいつは僕の方を向いてニャアと鳴いた。それは僕の言葉への同意を表しているのだろうか。それとも、もうお前の話には飽きたとでも言っているのだろうか。僕は猫語を知らないから分かるわけがない。
「猫語でも話せればいいのにな。……そうだ、お前に訊きたいことがあるんだ。僕がこんなに落ち込んでいる原因の一つでもあるんだけどなあ。……僕の手帳、この辺りに落ちてなかった? この辺りで落としてしまったと思うんだけど探しても見当たらないんだ。これぐらいのさ、深緑色なんだけど……」
手で手帳の大きさを表してみせた。だけどすぐ僕は話すのをやめて、溜息を吐いた。可笑しなことをしている。猫に失くしものの在りかを訊いているんだ。僕が猫の言葉が分からないように猫だって日本語が分からないのは当たり前じゃないか。もし猫が僕の言葉を理解してても、猫語で答えられたら僕は全く分からない。どうしてこんなことをしているのだろうかと不思議に思う。たぶんだけど、その手帳が僕にとってとても大切なものだったからに違いない。彼女への気持ちと同じぐらい重要なこと。けれど書いた詞がどんなものだったかが思い出せないのはどうしてだろう。
「僕、疲れてるのかなあ……」
また大きな溜息をついて僕は時計を見る。もうすぐで八時の半分が過ぎるくらい。もう帰らなければならない。このまま子猫に語り続けたら夜が明けてしまいそうだ。そんなことはないだろうけど、それでもこの辺りで帰るべきだろう。僕はベンチから立ち上がった。
「ありがとうな、話を聴いてくれて。……そうだ、明日ここに餌をもってきてやるから、明日もここに来いよ。旨いやつを買ってくるからさ」
もう一度、子猫を撫でてやる。喉の辺りを軽く撫でると、子猫は気持ち良さげにする。
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