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恋衣
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「柘榴ー。蓮華ちゃんが迎えに来ているよ。早く準備しなさーい!」
「あと少しで終わるからー。もうちょい待ってて。」
「蓮華ちゃん、いつもごめんね。」
「柘榴いっつも時間かかるから待ってる間に柘榴ママとお話しする時間も大事にしたい。っていう気持ちもあるし…待ってるの全く気にしない!」
バタバタと蓮華が来てからも身支度を続けている耳にわたしの好きな笑い方をする蓮華の優しい音がする。身支度を整えて玄関に着くとお母さんと蓮華が顔を見合わせて重なるように声をかけてくれた。『おはよう』この声を聞いて初めてわたしの朝が始まる。
「いっつも遅くてごめんね。」
「話、聞いてたの?聞く暇あるなら早く事前に準備終わっててもいいのに。」
「うっっ。急に辛辣にならないでよー。」
「あはは。冗談だよ、柘榴の反応が面白いからついイジワルしちゃうんだよー」
「蓮華以外にされたらめっちゃ嫌だけど蓮華だから許す。」
「どれだけ私のことが好きなのよ。」
聞く意味あんの。と口悪く言いながらもどちらともなく家を出た時から繋いだままの手に少しだけ力を込めると蓮華は中学生とは思えないほど大人びた笑みをわたしに魅せた。
2年でクラスが同じになり分け隔てなくみんなと仲がいい蓮華とは対照的にわたしは既に自分の中で内側と外側という仲間意識の中だけで過ごしていたから存在として気になっていたが眩しい存在で近づき難い感じもあった。それをお母さんにそれとなく『仲良くなりたいけど、どう話かけたらいいかわかんないし、近づき方がわからん。』と相談したら、『好きな物を共有したら?得意でしょ。しかも、柘榴が気になるんだから案外相手のコも気になっているかもよ。ほら、類は友を呼ぶから』案の定というか、提案を受け入れ自分なりの話かけるタイミングで放った言葉がどストレートに性癖に刺さったらしくその日のうちに仲良くなった。そして、蓮華もわたしのことが気になっていたがタイミングと間合いの詰め方に悩んでいたとのことで思わずその言葉を聞いて『わたしは狩りの獲物か。』と笑いながら時間を過ごしたことはわたしにとって凄くあたたかく大切なものだ。
3年でクラス別れをしたことにより距離は物理的に生まれてしまったが、朝から一緒に時間を過ごそう。と蓮華が提案してくれたことをきっかけで朝、一緒に登校して帰宅も一緒。
わたしたちはほぼ一緒だったのだ。途中、彼氏ができたことがあっても先に蓮華との約束があれば優先するのは先約である蓮華だった。告白の返事の時も『何かあって蓮華と天秤にかけることがあったらわたしは迷いなく蓮華を優先するけど、それでもわたしのことが好きで付き合いたいと思える?』と尋ねたら相手は少し困った顔をしたが『世界観は人それぞれだから』と納得してくれたから付き合った。そのことを蓮華に話したら『柘榴のなかに居れて嬉しいけど、それが苦しめることにならなければいいな。』と言ったときの顔はもう覚えていない。覚えていない…多分、いや確実にわたしはソレを記憶から抹消した。
高校進学に向けて各々が動き出す頃、少しだけ距離感が生まれて…今思えばこの頃から蓮華は準備していたのかもしれない。わたしは友達というカテゴリーを飛び越えてひとりのヒトとして蓮華を好きになっていたし彼氏とも気持ちのすれ違いができていた。そうじゃなくても、この頃のわたしはとにかく『愛』に飢えて乾いて苦しくってどうしようもなくバカになっていたから盲目になっていて見落としていたものがあって、そもそも気づいていても見ないことにして自分だけ楽しいコトをしていた。そのくせ、縋って構ってほしい。と一丁前に甘えて都合が合わないと癇癪を起こして…どんどん元々狭い空間にいたが更に狭めて独りなっていくことに自業自得に泣いていた。
「柘榴は…わたし以外とも仲良くならないとダメだよ。」
「なんで?わたしには蓮華が居てくれれば他はどーでもいいよ。」
「そうじゃなくて、進学先違うし今まで以上に予定が合わないことも増える。
私だって柘榴のことが大事だよ。でも、柘榴は極端すぎるから、自分で自分の首を絞めることをして泣いてるんだ…。好きだから、好きだからこそ、これを機に距離を置いてみよ?」
卒業まであと僅かの帰路の道中、いつものように手を繋ぎながら紡がれた言葉。
嫌だ。嫌だ。好きなのに離れるとか意味わかんない。クラスだって離れてるし、学校だって離れるのに、これ以上距離が、ココロが離れていくようなコトしたくない。独りにしないで。完全なるメンヘラ思考回路。震える声で聞こえるかギリギリの声で『嫌だ』と伝えたとき泣きそうな顔だった気がする。このときの顔は表情は消してない。だって、わたしの目の前には未だ一度も染めたこともなければ、香水の匂いもなければピアスもしていない真っさらで綺麗な貴方の全てで埋めつくされていたから。
「今日は、ここでサヨナラしよ。また、明日ね。」
言葉とともに離された繋いでいた手。彼女の姿が見えなくなるまでわたしは立ち尽くして
気づいたときには家に自分の部屋に居て、夜は苦しさと愛しさを抱えながら過ごした。
翌日の朝は、『いつも通り』帰りも…先に帰っていた。呆然と下駄箱を見つめるわたしは怪しや半端ないし、気味が悪いだろう。
「柘榴。」
名前を呼ばれて振り向くと彼氏がいた。いや、コイツは彼氏なんだろうか。一緒に出掛けていないしお互いにトモダチに戻っているような感覚なんじゃなかろうか。
「何?」
「今日、空いていたら夜通話しようぜ。」
「今じゃ、帰りながらじゃダメなの?」
「大事な話。」
ああ。コイツもか…。とどことなく冷めている自分を自覚しつつ、「わかった。」とそっけなく返事をすると、彼氏は菊離は目を細めてとても中学生の顔にそぐわない残虐性を秘めた表情でわたしを見つめながら、わたしにだけ聞こえる声で言ったのだ『空っぽなお前が俺は好きなんだ。初めて好きになった理由言った。』ざわっと嫌悪感がしたがコイツと一緒に居て何が一番良いのか一瞬にしてこのときに自覚した。同族嫌悪、クズだから一緒にそばに居ても居心地が悪くないんだ。認めたくないことを自覚してまた、別のことがわたしの中で芽を出していたことに気づいた。いや、嘘だ。芽を出すどころか蕾じゃないか。あとは…名を付けるだけじゃないか。
菊離から連絡が来て1時間ほど通話をしている間に蓮華から『起きてる?』と確認のメッセージが来ていたが、敢えてこのときは蓮華よりも菊離を優先させた。
「俺は柘榴のこと、空っぽでかわいそうなヤツだと思って近づいて早めに終わらせたい気持ちも好奇心含めて利用しようとしたけど、ガードが強いわけでもないのに何故か凄く触れるのに戸惑いがあった。意外と、好きなコとして認識していた部分があったのかもしれない。でも、蓮華と関わってから良く笑うようになったし、冷たい空気感が柔らかくなるのが心底、気に食わなくって、蓮華に『距離をおけ』と言ったこともあったけどアイツは気にすることなく逆に常にそばに居ることを徹底しはじめてそうでもなかったが今では蓮華は俺の中では敵認定だ。まあ、学校変わるし関わることも柘榴を仲介しなければ全くないと思うから警戒すんなよ。」
「結局、何が言いたいの。」
「柘榴は柘榴が思っているよりも危うい橋を渡っていること、俺の癖を歪めたことを自覚してもらおう。と思っての通話。柘榴、最初から俺のことそんなに好きじゃなかったし他に
異性の依存先いんだろ。」
「いろんな意味で気づいていたんだ。」
「卒業したら互いに連絡先消そう。」
「好きになってくれてありがとう。」
なんとも淡白なクソガキ2人だろか。これが、中学3年の男女の会話か。
クソ見てえ。綺麗事だけ述べて結局は自己都合の言葉の殴り合いだ。
卒業して、連絡先は互いに消して蓮華とは月1回の通話がルーティンだったが
半年を迎えた頃にそれは無くなった。わたしは普通科だったけど蓮華は偏差値が高い学校で進みもそこで出逢った関係性も大切にしていたから。わたしも仲の良いコと出逢えたが
どこか蓮華じゃないと嫌だ。という気持ちがいつもあり、飲み込むのが苦しかった。
高校2年の時に「彼氏できた。」と送られてきたメッセージ。「おめでとう。惚気話今度聞かせてね。」と返事をしたら即座に「もちろん!柘榴が一番の仲良しだよ。」と返事が返ってきて嘘つき!!と声を荒げスマホはギリギリの理性でクッションの方向に投げてしばらく塞ぎ込んだ。このとき、わたしは既に先に違う意味で進んでいたが自分のことは棚に上げて『誰かのモノになった蓮華』を想いながらヘラりながら寝て次の日は、ほんと全てが最悪だった。各々のテスト期間が終わり夏のイベント「祭り」の時期になり来たメッセージ。
「久々に会えそうなんだけど、空いてる?」
「空いて無くても意地でもあけて会う!」
「柘榴は相変わらず元気だねー。」
「蓮華限定。」
簡単に日時だけ決めて久々に会った彼女は、黒髪が薄い茶になり『ほんとはダメなんだけどね。』と可愛い笑顔とは裏腹にピアスが耳と舌に開いていた。元々、見た目だけ周りに合わせていた彼女だから校則の厳しさがありつつも自分なりの個性を出して過ごしているんだ。と一目見てわかった。これが解らなければトモダチと言えないだろ。とわたしがわたしを笑ったんだ。顔に似合わない口の悪さ、発育の良い体つき、彼氏と進んだのか。未だに好きなのは、わたしだけなんだろうか。など頭の中をいろんな思考が駆け巡る。
会えて嬉しいのに帰りたい。
「久々に会った柘榴が変わってなくって良かった。わたしが好きな柘榴のままだ。」
「蓮華の好きな、わたし?」
「うん!好きなのを押し殺しながらもそばに居て苦しさ含めて見てくれる瞳と…臆病なくせに虚勢を作ろうと頑張っている感じ。」
「蓮華も…割とクズだよね。」
「だから、わたしたちは一緒なんだよ。」
好き。大好きだ。きっと、この気持ちは感情は他からは理解され難いし、受け取りも飲み込みもかなり時間を要するし、そもそも…わかってもらおうとしてすらいないが、性別なんてどうでもいい。彼女だからわたしは『好き』なんだ。
「蓮華、好きだよ。」
「んー、知ってる。」
それからは喫茶店に入ってお茶したり服見たり、祭りの時間まで楽しく過ごして…。
「彼氏。会ってみる?近くにいるらしい。」
「会わない。」
「即答なら、しゃーないか。」
その言葉とともに鳴る着信音。蓮華が彼氏と通話をするために少し離れた。
近くにあるベンチに座って待機していると「ほい。お手洗い行ってくる。」
「えっ。」
「あー、これってまだ繋がってるよね?」
「えっと、蓮華の彼氏さん?ですよね、お手洗い行くって言って渡されて…。」
「柘榴さん?であってますよね。
蓮華の彼氏のーーです。
めっちゃ仲の良いコと会うから今日は別行動でって言われていたんですが気になって。
邪魔しちゃってすいません。」
「さん付けじゃ無くても良いですよ。ところで、蓮華わたしのこと話したりするんですか。」
「いつも。ってほどじゃないけど、割としてますよ。」
「そうですか。それが聞けて良かったです。蓮華泣かしたら許さないので大切にしてくだいね。思っている以上に蓮華って繊細なんです。」
「わかりました。少しだけど、柘榴と話ができて良かったです。じゃ、蓮華にまたメッセージ送るから通知音だけは入れておいて欲しい。って伝言お願いします。」
最後に伝言を託されて切れた通話。なんだかんだ、蓮華を想っているのが互いに共有できたことが癪だが少なくともこのヒトはいいヒトなんだと戻ってきた蓮華を見て確信した。
完全な夜になる前に帰宅すること。と相互の親に未成年ということあり言われていたから
バスで帰路に分かれる途中、なんとなく今日が『分岐点』だと思ったからもう1度言葉にした。
「蓮華のことが好き。」
「知ってる。」
その日から、会ってない。最後に会ったのが高校2年。
通話することが減って、インスタでは繋がっているけど時々ストーリーが流れて当時の彼氏と未だに付き合っていることを見ると「良かった。」という気持ちと「そこにわたしが居れれば。」の極端な想い。これは、どうしようもないのだ。メッセージアプリも繋がっているけど、多分、もういない。たまに通知で知れる貴方のイマの姿。
ねぇ、これは意気地なしのわたしが悪いのですか。
想いに蓋を鍵をかけていることになるのかな。
『好き』にわたしは未だに名前をつけられずに喉まで出ているのに認められずにいて認めたら、終わっちゃうんじゃないかって。
ずっと、ずっと、苦しいのが続いてる。
この想いに名前をつけるになるなら、これは…依存・執着・愛憎?
終止符の想いの区切り方を『誰か』教えてよ。性別なんて関係ない。
貴方だから好きになったんだよ。っていうこの想いを感情を消したくないだけなの。
「あと少しで終わるからー。もうちょい待ってて。」
「蓮華ちゃん、いつもごめんね。」
「柘榴いっつも時間かかるから待ってる間に柘榴ママとお話しする時間も大事にしたい。っていう気持ちもあるし…待ってるの全く気にしない!」
バタバタと蓮華が来てからも身支度を続けている耳にわたしの好きな笑い方をする蓮華の優しい音がする。身支度を整えて玄関に着くとお母さんと蓮華が顔を見合わせて重なるように声をかけてくれた。『おはよう』この声を聞いて初めてわたしの朝が始まる。
「いっつも遅くてごめんね。」
「話、聞いてたの?聞く暇あるなら早く事前に準備終わっててもいいのに。」
「うっっ。急に辛辣にならないでよー。」
「あはは。冗談だよ、柘榴の反応が面白いからついイジワルしちゃうんだよー」
「蓮華以外にされたらめっちゃ嫌だけど蓮華だから許す。」
「どれだけ私のことが好きなのよ。」
聞く意味あんの。と口悪く言いながらもどちらともなく家を出た時から繋いだままの手に少しだけ力を込めると蓮華は中学生とは思えないほど大人びた笑みをわたしに魅せた。
2年でクラスが同じになり分け隔てなくみんなと仲がいい蓮華とは対照的にわたしは既に自分の中で内側と外側という仲間意識の中だけで過ごしていたから存在として気になっていたが眩しい存在で近づき難い感じもあった。それをお母さんにそれとなく『仲良くなりたいけど、どう話かけたらいいかわかんないし、近づき方がわからん。』と相談したら、『好きな物を共有したら?得意でしょ。しかも、柘榴が気になるんだから案外相手のコも気になっているかもよ。ほら、類は友を呼ぶから』案の定というか、提案を受け入れ自分なりの話かけるタイミングで放った言葉がどストレートに性癖に刺さったらしくその日のうちに仲良くなった。そして、蓮華もわたしのことが気になっていたがタイミングと間合いの詰め方に悩んでいたとのことで思わずその言葉を聞いて『わたしは狩りの獲物か。』と笑いながら時間を過ごしたことはわたしにとって凄くあたたかく大切なものだ。
3年でクラス別れをしたことにより距離は物理的に生まれてしまったが、朝から一緒に時間を過ごそう。と蓮華が提案してくれたことをきっかけで朝、一緒に登校して帰宅も一緒。
わたしたちはほぼ一緒だったのだ。途中、彼氏ができたことがあっても先に蓮華との約束があれば優先するのは先約である蓮華だった。告白の返事の時も『何かあって蓮華と天秤にかけることがあったらわたしは迷いなく蓮華を優先するけど、それでもわたしのことが好きで付き合いたいと思える?』と尋ねたら相手は少し困った顔をしたが『世界観は人それぞれだから』と納得してくれたから付き合った。そのことを蓮華に話したら『柘榴のなかに居れて嬉しいけど、それが苦しめることにならなければいいな。』と言ったときの顔はもう覚えていない。覚えていない…多分、いや確実にわたしはソレを記憶から抹消した。
高校進学に向けて各々が動き出す頃、少しだけ距離感が生まれて…今思えばこの頃から蓮華は準備していたのかもしれない。わたしは友達というカテゴリーを飛び越えてひとりのヒトとして蓮華を好きになっていたし彼氏とも気持ちのすれ違いができていた。そうじゃなくても、この頃のわたしはとにかく『愛』に飢えて乾いて苦しくってどうしようもなくバカになっていたから盲目になっていて見落としていたものがあって、そもそも気づいていても見ないことにして自分だけ楽しいコトをしていた。そのくせ、縋って構ってほしい。と一丁前に甘えて都合が合わないと癇癪を起こして…どんどん元々狭い空間にいたが更に狭めて独りなっていくことに自業自得に泣いていた。
「柘榴は…わたし以外とも仲良くならないとダメだよ。」
「なんで?わたしには蓮華が居てくれれば他はどーでもいいよ。」
「そうじゃなくて、進学先違うし今まで以上に予定が合わないことも増える。
私だって柘榴のことが大事だよ。でも、柘榴は極端すぎるから、自分で自分の首を絞めることをして泣いてるんだ…。好きだから、好きだからこそ、これを機に距離を置いてみよ?」
卒業まであと僅かの帰路の道中、いつものように手を繋ぎながら紡がれた言葉。
嫌だ。嫌だ。好きなのに離れるとか意味わかんない。クラスだって離れてるし、学校だって離れるのに、これ以上距離が、ココロが離れていくようなコトしたくない。独りにしないで。完全なるメンヘラ思考回路。震える声で聞こえるかギリギリの声で『嫌だ』と伝えたとき泣きそうな顔だった気がする。このときの顔は表情は消してない。だって、わたしの目の前には未だ一度も染めたこともなければ、香水の匂いもなければピアスもしていない真っさらで綺麗な貴方の全てで埋めつくされていたから。
「今日は、ここでサヨナラしよ。また、明日ね。」
言葉とともに離された繋いでいた手。彼女の姿が見えなくなるまでわたしは立ち尽くして
気づいたときには家に自分の部屋に居て、夜は苦しさと愛しさを抱えながら過ごした。
翌日の朝は、『いつも通り』帰りも…先に帰っていた。呆然と下駄箱を見つめるわたしは怪しや半端ないし、気味が悪いだろう。
「柘榴。」
名前を呼ばれて振り向くと彼氏がいた。いや、コイツは彼氏なんだろうか。一緒に出掛けていないしお互いにトモダチに戻っているような感覚なんじゃなかろうか。
「何?」
「今日、空いていたら夜通話しようぜ。」
「今じゃ、帰りながらじゃダメなの?」
「大事な話。」
ああ。コイツもか…。とどことなく冷めている自分を自覚しつつ、「わかった。」とそっけなく返事をすると、彼氏は菊離は目を細めてとても中学生の顔にそぐわない残虐性を秘めた表情でわたしを見つめながら、わたしにだけ聞こえる声で言ったのだ『空っぽなお前が俺は好きなんだ。初めて好きになった理由言った。』ざわっと嫌悪感がしたがコイツと一緒に居て何が一番良いのか一瞬にしてこのときに自覚した。同族嫌悪、クズだから一緒にそばに居ても居心地が悪くないんだ。認めたくないことを自覚してまた、別のことがわたしの中で芽を出していたことに気づいた。いや、嘘だ。芽を出すどころか蕾じゃないか。あとは…名を付けるだけじゃないか。
菊離から連絡が来て1時間ほど通話をしている間に蓮華から『起きてる?』と確認のメッセージが来ていたが、敢えてこのときは蓮華よりも菊離を優先させた。
「俺は柘榴のこと、空っぽでかわいそうなヤツだと思って近づいて早めに終わらせたい気持ちも好奇心含めて利用しようとしたけど、ガードが強いわけでもないのに何故か凄く触れるのに戸惑いがあった。意外と、好きなコとして認識していた部分があったのかもしれない。でも、蓮華と関わってから良く笑うようになったし、冷たい空気感が柔らかくなるのが心底、気に食わなくって、蓮華に『距離をおけ』と言ったこともあったけどアイツは気にすることなく逆に常にそばに居ることを徹底しはじめてそうでもなかったが今では蓮華は俺の中では敵認定だ。まあ、学校変わるし関わることも柘榴を仲介しなければ全くないと思うから警戒すんなよ。」
「結局、何が言いたいの。」
「柘榴は柘榴が思っているよりも危うい橋を渡っていること、俺の癖を歪めたことを自覚してもらおう。と思っての通話。柘榴、最初から俺のことそんなに好きじゃなかったし他に
異性の依存先いんだろ。」
「いろんな意味で気づいていたんだ。」
「卒業したら互いに連絡先消そう。」
「好きになってくれてありがとう。」
なんとも淡白なクソガキ2人だろか。これが、中学3年の男女の会話か。
クソ見てえ。綺麗事だけ述べて結局は自己都合の言葉の殴り合いだ。
卒業して、連絡先は互いに消して蓮華とは月1回の通話がルーティンだったが
半年を迎えた頃にそれは無くなった。わたしは普通科だったけど蓮華は偏差値が高い学校で進みもそこで出逢った関係性も大切にしていたから。わたしも仲の良いコと出逢えたが
どこか蓮華じゃないと嫌だ。という気持ちがいつもあり、飲み込むのが苦しかった。
高校2年の時に「彼氏できた。」と送られてきたメッセージ。「おめでとう。惚気話今度聞かせてね。」と返事をしたら即座に「もちろん!柘榴が一番の仲良しだよ。」と返事が返ってきて嘘つき!!と声を荒げスマホはギリギリの理性でクッションの方向に投げてしばらく塞ぎ込んだ。このとき、わたしは既に先に違う意味で進んでいたが自分のことは棚に上げて『誰かのモノになった蓮華』を想いながらヘラりながら寝て次の日は、ほんと全てが最悪だった。各々のテスト期間が終わり夏のイベント「祭り」の時期になり来たメッセージ。
「久々に会えそうなんだけど、空いてる?」
「空いて無くても意地でもあけて会う!」
「柘榴は相変わらず元気だねー。」
「蓮華限定。」
簡単に日時だけ決めて久々に会った彼女は、黒髪が薄い茶になり『ほんとはダメなんだけどね。』と可愛い笑顔とは裏腹にピアスが耳と舌に開いていた。元々、見た目だけ周りに合わせていた彼女だから校則の厳しさがありつつも自分なりの個性を出して過ごしているんだ。と一目見てわかった。これが解らなければトモダチと言えないだろ。とわたしがわたしを笑ったんだ。顔に似合わない口の悪さ、発育の良い体つき、彼氏と進んだのか。未だに好きなのは、わたしだけなんだろうか。など頭の中をいろんな思考が駆け巡る。
会えて嬉しいのに帰りたい。
「久々に会った柘榴が変わってなくって良かった。わたしが好きな柘榴のままだ。」
「蓮華の好きな、わたし?」
「うん!好きなのを押し殺しながらもそばに居て苦しさ含めて見てくれる瞳と…臆病なくせに虚勢を作ろうと頑張っている感じ。」
「蓮華も…割とクズだよね。」
「だから、わたしたちは一緒なんだよ。」
好き。大好きだ。きっと、この気持ちは感情は他からは理解され難いし、受け取りも飲み込みもかなり時間を要するし、そもそも…わかってもらおうとしてすらいないが、性別なんてどうでもいい。彼女だからわたしは『好き』なんだ。
「蓮華、好きだよ。」
「んー、知ってる。」
それからは喫茶店に入ってお茶したり服見たり、祭りの時間まで楽しく過ごして…。
「彼氏。会ってみる?近くにいるらしい。」
「会わない。」
「即答なら、しゃーないか。」
その言葉とともに鳴る着信音。蓮華が彼氏と通話をするために少し離れた。
近くにあるベンチに座って待機していると「ほい。お手洗い行ってくる。」
「えっ。」
「あー、これってまだ繋がってるよね?」
「えっと、蓮華の彼氏さん?ですよね、お手洗い行くって言って渡されて…。」
「柘榴さん?であってますよね。
蓮華の彼氏のーーです。
めっちゃ仲の良いコと会うから今日は別行動でって言われていたんですが気になって。
邪魔しちゃってすいません。」
「さん付けじゃ無くても良いですよ。ところで、蓮華わたしのこと話したりするんですか。」
「いつも。ってほどじゃないけど、割としてますよ。」
「そうですか。それが聞けて良かったです。蓮華泣かしたら許さないので大切にしてくだいね。思っている以上に蓮華って繊細なんです。」
「わかりました。少しだけど、柘榴と話ができて良かったです。じゃ、蓮華にまたメッセージ送るから通知音だけは入れておいて欲しい。って伝言お願いします。」
最後に伝言を託されて切れた通話。なんだかんだ、蓮華を想っているのが互いに共有できたことが癪だが少なくともこのヒトはいいヒトなんだと戻ってきた蓮華を見て確信した。
完全な夜になる前に帰宅すること。と相互の親に未成年ということあり言われていたから
バスで帰路に分かれる途中、なんとなく今日が『分岐点』だと思ったからもう1度言葉にした。
「蓮華のことが好き。」
「知ってる。」
その日から、会ってない。最後に会ったのが高校2年。
通話することが減って、インスタでは繋がっているけど時々ストーリーが流れて当時の彼氏と未だに付き合っていることを見ると「良かった。」という気持ちと「そこにわたしが居れれば。」の極端な想い。これは、どうしようもないのだ。メッセージアプリも繋がっているけど、多分、もういない。たまに通知で知れる貴方のイマの姿。
ねぇ、これは意気地なしのわたしが悪いのですか。
想いに蓋を鍵をかけていることになるのかな。
『好き』にわたしは未だに名前をつけられずに喉まで出ているのに認められずにいて認めたら、終わっちゃうんじゃないかって。
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