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デート2
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ボーリング。それは技と技のぶつかり合いである。
「あ、シェイラずるいぞ。」
「魔王様こそ、反則ですよ。」
肉体強化の魔法がかかっている二人は当初は、ボーリングを甘く見ていた。
しかし、思ったようにピンに当たってくれない。真っ直ぐいっても残ってしまう。
北見は淡々とスコアを重ねていった。
だんだん二人はイライラしてきていた。
クライドルは風の魔法を行使して、ボールの軌道を修正し。
シェイラは空間魔法で、同じく軌道修正を掛ける。
当然ストライクである。
何せボールがピンに当たった瞬間二人とも魔法ですべて倒れる様に仕込みをしているからだ。
「な、なんだと。」
同じように投げたクライドルのボールが当たらなくなった。魔法は行使した。
シェイラはまたストライクである。
クライドルは気づいた。こいつ、レジストしてやがる。
「あ、シェイラずるいぞ。」
「魔王様こそ、反則です。」
自分の事は棚に上げるシェイラ。
呆れながらも淡々とスコアを重ねる北見。
そこからはまさに魔法合戦だった。
自分達が使えるありとあらゆる魔法技術のぶつかり合いになった。
ただし、周りから見れば多少ボールが変な動きをすることが有るが、普通のカップルのボーリング風景だった。
なんとも地味な魔法合戦である。
しかし、ボールを取る時点から魔法合戦は始まっている。ボールを投げた瞬間も、転がっている間も、当たった瞬間も、ピンが倒れる時まで。
支援魔法、操作魔法をかければ、待っている方は魔法をレジストし、更に妨害の為の操作魔法を行使する。投げた方は妨害の為の操作魔法をレジストし、更に操作魔法をかける。これをボールを投げてピンが倒れるまで数十回行うのである。
途中、隠遁の魔法で、一気に10個のボールを投げるという暴挙にシェイラが出たが、それは禁止になった。
玉詰まりを起こして怒られたのである。
北見がいなければ恐らく出禁になっていただろう。
「つ、疲れた。大魔法を使ったわけでもないのにとんでもなく消耗したぞ。」
「ふふ、魔王様。私の勝ちですね。これで、何でもいう事聞いてもらえる権利3個目ですね。」
ニヤリと笑うシェイラ。
「あ、そんなこと約束していないぞ、ずるいぞシェイラ。」
「口調が乱れております魔王様。それに、勝負とはそういうものでございましょう。」
ガックリと項垂れるクライドルであった。
最高スコアだったのは北見だったのだが…
カラオケ、その部屋は大変カオスな空間であった。
美男一人が美女二人を従えカラオケとは、はたから見たら何とも羨ましい光景なのだろうが、選曲がダメだった。
アニソンにボカロ、美少女アイドルグループの曲。これが二時間延々と流れているのだ。
スーツ姿の北見は歌の王子さまや、夢フェスなるものを熱唱。
北見は恍惚の表情を浮かべ歌い続けている。
クライドルは言えなかったが、若干…いや、大分気持ち悪いと思った。
シェイラは物質変換で某ボーカロイドの格好になってアニソン、ボカロを歌い上げる。
スタイルと顔立ちでボーカロイド姿は大変好評だったようで、トイレに行く度に握手を求められたとか、写真を求められたとこでご満悦の様だった。
「魔王様もこれくらい、いつも褒めて欲しいです。」
「ん?良く似合っているぞ。歌もとても上手い。シェイラが歌うのを初めて聞いた気がする。」
素で答えたクライドルだったが、不意打ちだったようでシェイラは少し赤くなった。
そして、人目を惹くイケメン、クライドルは美少女アイドルグループの曲を熱唱する。
「魔王様、ちょっと気持ち悪うございます。」
「クライドル様、それはないです。」
自分ではうまく歌えたつもりだったが、評価は散々だった。
帰るころには店員さん達から、残念美男美女軍団というありがたい名前を頂く事になった。
最初に日本人の知識をもらった際の、偏らぬようにとは一体何の事だったのだろうか。
なお、途中で「我も日本の知識がある故、踊りもできる。」そういって、シェイラと一緒に踊ったのはオタ芸だった。
完全に黒歴史である。
しかし、三人は大変満足そうにカラオケボックスを後にした。
「あ、シェイラずるいぞ。」
「魔王様こそ、反則ですよ。」
肉体強化の魔法がかかっている二人は当初は、ボーリングを甘く見ていた。
しかし、思ったようにピンに当たってくれない。真っ直ぐいっても残ってしまう。
北見は淡々とスコアを重ねていった。
だんだん二人はイライラしてきていた。
クライドルは風の魔法を行使して、ボールの軌道を修正し。
シェイラは空間魔法で、同じく軌道修正を掛ける。
当然ストライクである。
何せボールがピンに当たった瞬間二人とも魔法ですべて倒れる様に仕込みをしているからだ。
「な、なんだと。」
同じように投げたクライドルのボールが当たらなくなった。魔法は行使した。
シェイラはまたストライクである。
クライドルは気づいた。こいつ、レジストしてやがる。
「あ、シェイラずるいぞ。」
「魔王様こそ、反則です。」
自分の事は棚に上げるシェイラ。
呆れながらも淡々とスコアを重ねる北見。
そこからはまさに魔法合戦だった。
自分達が使えるありとあらゆる魔法技術のぶつかり合いになった。
ただし、周りから見れば多少ボールが変な動きをすることが有るが、普通のカップルのボーリング風景だった。
なんとも地味な魔法合戦である。
しかし、ボールを取る時点から魔法合戦は始まっている。ボールを投げた瞬間も、転がっている間も、当たった瞬間も、ピンが倒れる時まで。
支援魔法、操作魔法をかければ、待っている方は魔法をレジストし、更に妨害の為の操作魔法を行使する。投げた方は妨害の為の操作魔法をレジストし、更に操作魔法をかける。これをボールを投げてピンが倒れるまで数十回行うのである。
途中、隠遁の魔法で、一気に10個のボールを投げるという暴挙にシェイラが出たが、それは禁止になった。
玉詰まりを起こして怒られたのである。
北見がいなければ恐らく出禁になっていただろう。
「つ、疲れた。大魔法を使ったわけでもないのにとんでもなく消耗したぞ。」
「ふふ、魔王様。私の勝ちですね。これで、何でもいう事聞いてもらえる権利3個目ですね。」
ニヤリと笑うシェイラ。
「あ、そんなこと約束していないぞ、ずるいぞシェイラ。」
「口調が乱れております魔王様。それに、勝負とはそういうものでございましょう。」
ガックリと項垂れるクライドルであった。
最高スコアだったのは北見だったのだが…
カラオケ、その部屋は大変カオスな空間であった。
美男一人が美女二人を従えカラオケとは、はたから見たら何とも羨ましい光景なのだろうが、選曲がダメだった。
アニソンにボカロ、美少女アイドルグループの曲。これが二時間延々と流れているのだ。
スーツ姿の北見は歌の王子さまや、夢フェスなるものを熱唱。
北見は恍惚の表情を浮かべ歌い続けている。
クライドルは言えなかったが、若干…いや、大分気持ち悪いと思った。
シェイラは物質変換で某ボーカロイドの格好になってアニソン、ボカロを歌い上げる。
スタイルと顔立ちでボーカロイド姿は大変好評だったようで、トイレに行く度に握手を求められたとか、写真を求められたとこでご満悦の様だった。
「魔王様もこれくらい、いつも褒めて欲しいです。」
「ん?良く似合っているぞ。歌もとても上手い。シェイラが歌うのを初めて聞いた気がする。」
素で答えたクライドルだったが、不意打ちだったようでシェイラは少し赤くなった。
そして、人目を惹くイケメン、クライドルは美少女アイドルグループの曲を熱唱する。
「魔王様、ちょっと気持ち悪うございます。」
「クライドル様、それはないです。」
自分ではうまく歌えたつもりだったが、評価は散々だった。
帰るころには店員さん達から、残念美男美女軍団というありがたい名前を頂く事になった。
最初に日本人の知識をもらった際の、偏らぬようにとは一体何の事だったのだろうか。
なお、途中で「我も日本の知識がある故、踊りもできる。」そういって、シェイラと一緒に踊ったのはオタ芸だった。
完全に黒歴史である。
しかし、三人は大変満足そうにカラオケボックスを後にした。
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