転生したら倉庫キャラ♀でした。

ともQ

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クエスト攻略ランクアップ編

53話 輝きの洞穴オーラ・ストーン

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 後日、僕たちは輝きの洞穴オーラ・ストーンへとやって来た。
 無論、ランクアップに必要となる緑の鉱石を手に入れるためだ。ゴツゴツとした岩場の陰に、モンスターの口のよう大きな穴が開いている。
 ナコがおっかなびっくりとした様子で、

「なんだか、お化け屋敷の入り口みたいです」
「あはは。氷迷宮ホワイト・ホワイトと一緒で基本ダンジョンには魔水晶があるから、入り口の見た目と中の雰囲気は全く違うはずだよ」

 そう話しながら、ダンジョンに入ろうとした時、


 ――「「?!」」


 バッタリと、先日揉めたギルド"Eisen"と出くわす。
 どうやら、彼らもオーラ・ストーンにクエストで出向いてきたようだ。リーダーの剣士を筆頭にヒーラー、盗賊、狩人と遠近共にバランスの取れた編成だった。
 なんともいやな偶然、露骨に不機嫌な態度で剣士が口を開き、

「ちっ、なんでお前らここにいやがる?」
「私のセリフです」
「こ、このクソ猫! ムカつく態度ばっか取りやがって!」
「クソというセリフはお返しします! クーラに手も足もでなかったくせに!」

 すでに重苦しい空気である。

「はいはーい。もう揉めるのはやめときましょう、猫ちゃんたちはランクアップクエストかしら? 私たちは三層目指していてね、お互い頑張りましょうね」
「おい、レイナっ!」

 紅一点のヒーラーが剣士の腕を引き寄せる。

「サマロ、あなたリーダーでしょ? 小物だとかブツクサ言うなら堂々としなさい、相手にする必要ないわよね」
「……わかったよ。行くぞ、皆っ!」
「それじゃあ、そっちも頑張ってね」

 ヒーラーがバイバーイと手を振る。
 サマロは終始睨んでいたが、他のメンバーはいたって普通であった。むしろ、申しわけなさそうに頭を下げながらダンジョンに入って行く。
 まあ、リーダーはあれくらい我が強くて元気ある方が"Eisen"的にはバランスいいのかなぁ。

「クーラ、少し時間を置いて行きましょう」
「えっ、どうして?」
「また中で会ってもいやですから」
「そ、そうだね」

 嫌いな相手には、とことん厳しいナコであった。



   ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 オーラ・ストーンに突入、目的のクエストを開始する。
 内部は鍾乳洞のようになっており、なんとも冒険心をくすぐる神秘的な雰囲気を放っている。
 僕たちは第一層の中腹辺りを陣取り、順調に緑蟹を狩っていた。

「中々落としてくれませんね」
「緑の鉱石はドロップ率が激低なんだよ」

 だからこそ、何匹も倒す必要がある。
 冒険所としては低ランクの冒険者に実戦の機会を与えており、そのついでに緑の鉱石も手に入ればという一石二鳥を兼ねた練習クエストみたいなものだ。

 冒険所としても、冒険者が不必要に死ぬことは避けたい。

 低ランクでのランクアップクエストは基本的にこういった内容が多い。まだまだ実戦経験の少ない僕たちにとってもありがたく、一緒にランクも上げられるのでなに一つ文句のない話だ。

 手当たり次第、僕たちは緑蟹を乱獲していく。

 緑の鉱石は緑蟹の甲羅の内部に存在しており、甲羅を叩き割って倒さないとわからない仕様となっている。ハズレの場合は黒ずんだ鉱石なのでわかりやすい。
 数時間後、ようやく緑の鉱石がドロップする。

「やっと手に入りましたね」
「僕の触手が硬いもの相手に弱すぎる」

 人間相手とは違い、糸状の触手が内部に通りづらい。
 普通の触手でも甲羅を破壊するのに苦戦し、ナコがハッピーの一撃で叩き割る作業の倍以上時間がかかった。
 特殊な形状のモンスター相手には、捕食によるバフがない限り厳しい部分があるかもしれないな。

 ドロップまで倒し続け、山と化した緑蟹の亡骸。
 ダンジョンなのでまた同じ数くらいは生まれてくるだろうが、せっかくなのでなにかに利用できないものだろうか。

 ――ごぎゅるるるん。

 その時、タイミングよく僕とナコのお腹が鳴った。
 それもそのはず、一心不乱に緑蟹を叩き割っていたのだ。突入したのが朝方、時刻を見るとすでにお昼を回っている。

「ナコ、蟹鍋なんてどうかな」
「大好きです」

 念のため、緑蟹を分解してアイテムボックスに入れてみる。
 緑蟹の切り身、緑蟹のミソ、食える気しかしない。
 名称からして毒はなさそうだ。
 僕はお馴染み火竜玉を削り落とし――火を起こす。
 緑蟹の切り身、緑蟹のミソ、グリーンラム草原の野草を鍋の中に放り込み、塩と醤油で味付けしていく。

「くそぉおお! ポン酢がないっ!」
「クーラ! 落ち着いてください!」

 自身の準備不足を心底悔いた。
 煮込むこと十数分、周囲によい香りが漂い始める。加熱したことによってか、甲羅の緑みは一層濃くなっていた。
 見た目は完璧な仕上がり、器に取り分けて二人手を合わせる。

 ――「「いただきます」」

 今、ダンジョン鍋が始まる。
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