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最強の武者Gozaru編
71話 天使の雫
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ゴザルさんのパラサイト装備、駆除作業を実行する。
使用方法は――以前ナコに使った天使の鍵と同じく、対象に近付けるか当てるかのどちらかだろう。アイテムボックスから取り出すと小さな瓶に虹色の液体、なんともわかりやすい形状である。
さすがに、使用方法は一つに違いない。
「じゃあ、天使の雫をかけるよ」
「つ、ついに解放される――嬉しい! お願いします」
まず、両腕に一滴ずつ垂らす。
その瞬間、青紫色の瘴気のようなものが噴き出し、鎧の両腕部がバラバラになって外れた。
続けて、胴体、両足、ゴザルさんの姿が露わになっていく。
「え? ゴザルさん?」
思わず、僕は声を漏らす。
ザ・マッチョです的な男性がでてくるかと思いきや――透き通るように白い肌、ナコより少し大きいくらいの小柄な背丈、控えめながらもしっかり膨らんだ胸、兜の隙間からは煌めく銀色の髪が流れ出ている。
全身が女性であることを物語っていた。
「く、クーラ、見ちゃ駄目!」
ナコが僕の目を隠す。
基本的に装備の下は軽装がメイン、完全に乙女の下着だったよな。
そんな僕たちの態度を不思議に思ったのか、
「二人共、慌ててどうかした?」
「……いや、どうしたもなにも。ゴザルさんって女性だったの?」
「私? そうだけど」
ゴザルさんはなにかを思い出したように手を叩き、
「あ、そういえば、私今まで皆の前で装備外したことなかったもんね。中身を見せるのはソラが初めてかもしれないわ」
キャラクターの性別はリアルと共通していることが多い。
オンリー・テイルのゲームは仕様上、キャラクターを作成する段階にて個人の証明書が必須となっている。個人の証明書に記載されている性別でしかキャラクターは作成できないのだ。
僕のよう家族に協力してもらい自身の性別とは逆のキャラクターを作成することも可能ではあるが、手間もかかるため大多数はありのままいく人が多いだろう。
ゴザルさん、男性にしては声が高いなぁとは思っていたけれど――厳つい装備の見た目からは女性だったなんて想像もしていなかった。
僕は反対方向を向き、ナコの目隠しを外してもらう。
「ゴザルさん、上からなにか羽織ってくれると嬉しいな。そんな裸に近い状態僕に見られたらまずいでしょ」
「まずいもなにも、女の子同士気にしないわよ?」
「僕の中身男だよ」
「あ、そっか――そうだった?! すっかり見た目から、女の子って意識が根付いて忘れちゃってた。は、恥ずかしい、見なかったことにして」
ゴザルさんがドタバタすること数秒の後、
「も、もう大丈夫。こっち向いていいわよ」
赤を基調とした袴姿。
慌ててアイテムボックスから取り出し装備したのだろう。
まさに『和』を感じさせる風貌でゴザルさんの雰囲気によく相まっていた。
……首から下はである。
絶妙に残った一部分。
兜のせいで全体的なバランスがおかしくなっている。
早いところ駆除してあげよう。
「ゴザルさん、ラストの寄生装備――兜に天使の雫をかけるよ」
「うぅー。ソラ、本当にありがとう。これで美味しい空気が吸える」
僕は天使の雫を振りかけようと瓶をふりふり、
「やば、もう一滴も残ってなかった」
「は?」
「胴体、両手、両足で全部使い切っちゃったみたい」
「え? 今、私どんな格好になってるの?」
「夜道で出会ったら全力で逃げるレベルかなぁ」
「痴女に言われたくないっ!」
「唐突にひどいっ! 僕の姿見てそんなこと思ってたの?!」
「うわーん、助けてソラぁあああああっ!」
そうは言われても、天使の雫は使い切ってしまった。
天使の雫はSランクに該当するアイテム、すぐに取りにいける代物でもない。
「お侍さん、兜だけなら重さはマシになったんじゃないですか?」
「そうだ、その通りよナコ殿! ううん、ナコちゃんっ!!」
ナコの何気ない一言、ゴザルさんがガバリと立ち上がり、
「今の姿だったら最強に近いくらい動けるはずだわっ!」
ゴザルさんが刀を抜いて構えを取る。
「火の刃―― 緋炎」
ステップを踏むよう、それはまるで演舞のようだった。
風の刃、水の刃、土の刃、氷の刃、雷の刃、ゴザルさんは流麗な動きにて太刀筋を刻んでいく。
「うわぁ、綺麗です」
ナコが感嘆の声を上げる。
奇抜な兜姿という点はスルーするとして、ナコの言う通り美しいの一言に尽きる。素人目にもわかるくらいに、無駄のない鮮麗な動きをしている。
「……うんっ! 頭が重すぎて少しバランスが崩れるけど、ナコちゃんの言う通り全然許容範囲っ!」
ゴザルさんはパンっと両手を打ち合わせながら、
「というわけで、上級ダンジョンに行くの手伝って」
どういうわけで?
使用方法は――以前ナコに使った天使の鍵と同じく、対象に近付けるか当てるかのどちらかだろう。アイテムボックスから取り出すと小さな瓶に虹色の液体、なんともわかりやすい形状である。
さすがに、使用方法は一つに違いない。
「じゃあ、天使の雫をかけるよ」
「つ、ついに解放される――嬉しい! お願いします」
まず、両腕に一滴ずつ垂らす。
その瞬間、青紫色の瘴気のようなものが噴き出し、鎧の両腕部がバラバラになって外れた。
続けて、胴体、両足、ゴザルさんの姿が露わになっていく。
「え? ゴザルさん?」
思わず、僕は声を漏らす。
ザ・マッチョです的な男性がでてくるかと思いきや――透き通るように白い肌、ナコより少し大きいくらいの小柄な背丈、控えめながらもしっかり膨らんだ胸、兜の隙間からは煌めく銀色の髪が流れ出ている。
全身が女性であることを物語っていた。
「く、クーラ、見ちゃ駄目!」
ナコが僕の目を隠す。
基本的に装備の下は軽装がメイン、完全に乙女の下着だったよな。
そんな僕たちの態度を不思議に思ったのか、
「二人共、慌ててどうかした?」
「……いや、どうしたもなにも。ゴザルさんって女性だったの?」
「私? そうだけど」
ゴザルさんはなにかを思い出したように手を叩き、
「あ、そういえば、私今まで皆の前で装備外したことなかったもんね。中身を見せるのはソラが初めてかもしれないわ」
キャラクターの性別はリアルと共通していることが多い。
オンリー・テイルのゲームは仕様上、キャラクターを作成する段階にて個人の証明書が必須となっている。個人の証明書に記載されている性別でしかキャラクターは作成できないのだ。
僕のよう家族に協力してもらい自身の性別とは逆のキャラクターを作成することも可能ではあるが、手間もかかるため大多数はありのままいく人が多いだろう。
ゴザルさん、男性にしては声が高いなぁとは思っていたけれど――厳つい装備の見た目からは女性だったなんて想像もしていなかった。
僕は反対方向を向き、ナコの目隠しを外してもらう。
「ゴザルさん、上からなにか羽織ってくれると嬉しいな。そんな裸に近い状態僕に見られたらまずいでしょ」
「まずいもなにも、女の子同士気にしないわよ?」
「僕の中身男だよ」
「あ、そっか――そうだった?! すっかり見た目から、女の子って意識が根付いて忘れちゃってた。は、恥ずかしい、見なかったことにして」
ゴザルさんがドタバタすること数秒の後、
「も、もう大丈夫。こっち向いていいわよ」
赤を基調とした袴姿。
慌ててアイテムボックスから取り出し装備したのだろう。
まさに『和』を感じさせる風貌でゴザルさんの雰囲気によく相まっていた。
……首から下はである。
絶妙に残った一部分。
兜のせいで全体的なバランスがおかしくなっている。
早いところ駆除してあげよう。
「ゴザルさん、ラストの寄生装備――兜に天使の雫をかけるよ」
「うぅー。ソラ、本当にありがとう。これで美味しい空気が吸える」
僕は天使の雫を振りかけようと瓶をふりふり、
「やば、もう一滴も残ってなかった」
「は?」
「胴体、両手、両足で全部使い切っちゃったみたい」
「え? 今、私どんな格好になってるの?」
「夜道で出会ったら全力で逃げるレベルかなぁ」
「痴女に言われたくないっ!」
「唐突にひどいっ! 僕の姿見てそんなこと思ってたの?!」
「うわーん、助けてソラぁあああああっ!」
そうは言われても、天使の雫は使い切ってしまった。
天使の雫はSランクに該当するアイテム、すぐに取りにいける代物でもない。
「お侍さん、兜だけなら重さはマシになったんじゃないですか?」
「そうだ、その通りよナコ殿! ううん、ナコちゃんっ!!」
ナコの何気ない一言、ゴザルさんがガバリと立ち上がり、
「今の姿だったら最強に近いくらい動けるはずだわっ!」
ゴザルさんが刀を抜いて構えを取る。
「火の刃―― 緋炎」
ステップを踏むよう、それはまるで演舞のようだった。
風の刃、水の刃、土の刃、氷の刃、雷の刃、ゴザルさんは流麗な動きにて太刀筋を刻んでいく。
「うわぁ、綺麗です」
ナコが感嘆の声を上げる。
奇抜な兜姿という点はスルーするとして、ナコの言う通り美しいの一言に尽きる。素人目にもわかるくらいに、無駄のない鮮麗な動きをしている。
「……うんっ! 頭が重すぎて少しバランスが崩れるけど、ナコちゃんの言う通り全然許容範囲っ!」
ゴザルさんはパンっと両手を打ち合わせながら、
「というわけで、上級ダンジョンに行くの手伝って」
どういうわけで?
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