転生したら倉庫キャラ♀でした。

ともQ

文字の大きさ
105 / 426
最強の武者Gozaru編

105話 最強種

しおりを挟む
「久々に魔人化をしたが、核が一つでも問題はないか」

 ガラスティナが呟く。
 魔人、オンリー・テイルに置いて一切聞いたことがない情報だった。だが、世間一般的な認識からしてどう考えても最強種の一角だろう。
 ドラゴン族、デーモン族、ヴァンパイア族等々。
 はたして、既存の最強種を超えてくるのか? 僕はなにが起きても対処できるよう、ガラスティナの最初の一手を最大限に警戒する。

「来い、魔剣――ベルヘリア」

 ガラスティナの周囲に剣が4本出現した。
 主を守護するかのよう、ゆっくりと回転し続けている。その内の1本が高速で僕目掛けて飛来して来た。
 僕は間一髪でそれを避ける。
 すさまじい速度、傀儡糸で強化した状態でなければ、容易く僕の身体を貫いていただろう。
 ガラスティナが剣を1本、また1本と飛来数を増やしていく。
 回避しても舞い戻り、捌いてもすぐに軌道を修正して襲い来る。剣自体に意思が宿っているかのような精密さであった。
 攻め入るタイミングもなく、僕の全身に傷が斬り刻まれていく。

「どうした、金の方? このまま為す術もなく力尽きるかっ?!」

 ガラスティナが吼える。
 このままではジリ貧、僕の魔力が先に尽きる。
 出し惜しみしている場合ではない。
 ガラスティナの最後の核、大体の位置に目星は付いている。やつが無意識ながらも庇っているであろう箇所、僕はそこ目掛けて疾走した。
 腹部を蹴り入れた際、普通ではない反応があったのだ。
 僕は残りの魔力をフルバーストし、ガラスティナの体内に右手を突き入れる。僕の推測は正しかった、ドクンと波打つ鼓動が伝わって来る。
 ゴフッとガラスティナが血を吐き出し、

「……く、くくっ。魔人となった、余の反応速度を軽々と、凌駕して来るか」

 掴んだ。
 最後の核を握り潰せば――僕の勝ちだ。あとは力を入れるだけというだけなのに身体が動かない。
 痺れ、目眩、動悸――状態異常? いつくらった?

「動かぬであろう? 余の返り血を受けた代償だ。魔人の血はな、人間にとっては毒になる。あと一歩、お前は種族という超えられぬ壁により敗北するのだ」

 ガラスティナが僕の首を掴む。

「人間には限界がある、年月が経てば老いる。なにをどう足掻いても不可能なことが存在する。今の余とお前のように、どちらが優れているかは一目瞭然であろう」

 僕は触診を解き、通常の状態に戻る。

「……限界があるからこそ、人は強くなれるんだ」
「矛盾している。限界は文字通り限界、その壁を超えることはできぬ」
「それは、一人で越えようとするからだろう」

 限界という言葉は自分を縛り付けるだけだ。

「信頼できる仲間と高め合っていく。一人で登ることのできない壁だって二人なら、三人なら、四人なら――どこまでだって行けるんだ。ガラスティナ、君も国王としてそういった人たちが周りにいたんじゃないか」
「……」
「上の階層にいた、ネクロマンサーがそうなんだろう」
「黙れ。ならば、余はお前を殺して――自身が正しかったことを証明しよう。その大層な言葉を放つ喉を砕いてやる」

 ガラスティナが右手に力を入れる。
 その瞬間、天井から衝撃音が鳴り響き、黒い流星が僕とガラスティナの間に高速で割り込んで来る。
 一閃、ガラスティナの右腕を斬り飛ばし、

「クーラ、お待たせしました!」

 どちらが正しいか、勝負はまだ終わっていない。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

処理中です...