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王都突入編
115話 暗躍するプレイヤー
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静まり返った空間。
カツコツと、歩く音だけがよく響き、異様な雰囲気を感じさせる。
連行された場所は――牢獄でも取調室でもなんでもない、王宮内にあるごく普通の一室だった。
「失礼いたします! ご命令通り、クーラ大罪人を連れて来ました!」
騎士団が敬礼する。
「やーやー、仕事が早くて助かるよ。騎士団の皆、ご苦労さん。あ、もう君たちに用はないし行ってくれていいよ」
軽薄そうな男が返す。
騎士団に命令する権利があるという時点で位が高いということは明白だった。
魔法職のローブ、漆黒を基調としたアクセサリー類、このテンプレート的な装備はゲーム時にもよく見たもの、呪術師が好んで着用することが多かった。
やはり、僕の予感は的中した。
「プレイヤーか」
「ご名答、さすがにわかっちゃうかな。なんやかんやで一周回ってこの格好が落ち着くんだよ」
「ぷ、プレイヤー、ですか?」
聞き慣れぬ単語が気になったのか、騎士団長が言葉を挟む。
「ん? まだいたのか、なにか俺に用でもあるの?」
「い、いえ。投獄しなくてよろしいのですか? こいつは大罪人、あのスカル・キラーを操ったものなのですよ。2人きりは危険かと思うのですが」
「問題ないって。二度も言わせるな――でていけよ」
「し、失礼しましたっ!」
騎士団が部屋から退出する。
「邪魔者もいなくなったところで、まずは初めまして――いや、二度目ましてになるのかな。俺の顔に見覚えはない?」
男が自身を指差して笑う。
ここまで癖がありそうな男は忘れるはずがない。
この軽い感じの雰囲気、僕の記憶の中に一人だけいる。
オンリー・テイルの世界に転生して、僕を女性としてナンパしてきた人物だ。
「アクアニアスの噴水広場で僕に声をかけて来た人だよね」
「大正解、よく思い出せたもんだ」
「初体験の出来事だったからね」
「あっはっは。あの付近で声をかけるのは俺の計画に大事なことだったんだよ」
男は飄々とした態度で言う。
「俺はアクアニアスで転生したばかりの初心者を勧誘していたんだ。いやぁ、君を勧誘できなかったのは大失敗だった。ここまで成長してくれるなんて思わなくてね。最初に変なことを喋りだすからと敬遠するべきじゃなかったよ」
こいつは僕が倉庫キャラということは知らない。
転生時、性別が反対になった僕は混乱していた。リボルは僕のことを頭がおかしいやつだと認識して去っていったのだ。
男は真っ直ぐな視線を僕に向けながら、
「君はこの世界についてどう考える?」
「もとの世界と変わらない。人々が懸命に生きている世界だ」
「俺はそうは考えない。あくまでこれはゲームの世界、俺たちはその延長線上でプレイしていると思っている」
男が満面の笑みを浮かべ、思想を掲げるよう両手を広げる。
「俺たちは最高の世界に来た、ここは自由が制限された世界じゃない! ゲームと同じで好きなことをしても許されるっ! なにをしようが、誰を犯ろうが、男女子供問わずどんな相手を好き勝手殺そうともっ!!」
一生相容れない。
一瞬にしてそう感じ取った。あの時、この男をプレイヤーと知り、同じ境遇という点だけで信用していたら、僕の未来は恐ろしいことになっていたかもしれない。
「俺の名はRevol――リボルだ」
リボルと名乗る男。
この世界を根本から狂わせるかもしれない危険思想、僕は悪意の塊のような存在に出くわしたのだった。
カツコツと、歩く音だけがよく響き、異様な雰囲気を感じさせる。
連行された場所は――牢獄でも取調室でもなんでもない、王宮内にあるごく普通の一室だった。
「失礼いたします! ご命令通り、クーラ大罪人を連れて来ました!」
騎士団が敬礼する。
「やーやー、仕事が早くて助かるよ。騎士団の皆、ご苦労さん。あ、もう君たちに用はないし行ってくれていいよ」
軽薄そうな男が返す。
騎士団に命令する権利があるという時点で位が高いということは明白だった。
魔法職のローブ、漆黒を基調としたアクセサリー類、このテンプレート的な装備はゲーム時にもよく見たもの、呪術師が好んで着用することが多かった。
やはり、僕の予感は的中した。
「プレイヤーか」
「ご名答、さすがにわかっちゃうかな。なんやかんやで一周回ってこの格好が落ち着くんだよ」
「ぷ、プレイヤー、ですか?」
聞き慣れぬ単語が気になったのか、騎士団長が言葉を挟む。
「ん? まだいたのか、なにか俺に用でもあるの?」
「い、いえ。投獄しなくてよろしいのですか? こいつは大罪人、あのスカル・キラーを操ったものなのですよ。2人きりは危険かと思うのですが」
「問題ないって。二度も言わせるな――でていけよ」
「し、失礼しましたっ!」
騎士団が部屋から退出する。
「邪魔者もいなくなったところで、まずは初めまして――いや、二度目ましてになるのかな。俺の顔に見覚えはない?」
男が自身を指差して笑う。
ここまで癖がありそうな男は忘れるはずがない。
この軽い感じの雰囲気、僕の記憶の中に一人だけいる。
オンリー・テイルの世界に転生して、僕を女性としてナンパしてきた人物だ。
「アクアニアスの噴水広場で僕に声をかけて来た人だよね」
「大正解、よく思い出せたもんだ」
「初体験の出来事だったからね」
「あっはっは。あの付近で声をかけるのは俺の計画に大事なことだったんだよ」
男は飄々とした態度で言う。
「俺はアクアニアスで転生したばかりの初心者を勧誘していたんだ。いやぁ、君を勧誘できなかったのは大失敗だった。ここまで成長してくれるなんて思わなくてね。最初に変なことを喋りだすからと敬遠するべきじゃなかったよ」
こいつは僕が倉庫キャラということは知らない。
転生時、性別が反対になった僕は混乱していた。リボルは僕のことを頭がおかしいやつだと認識して去っていったのだ。
男は真っ直ぐな視線を僕に向けながら、
「君はこの世界についてどう考える?」
「もとの世界と変わらない。人々が懸命に生きている世界だ」
「俺はそうは考えない。あくまでこれはゲームの世界、俺たちはその延長線上でプレイしていると思っている」
男が満面の笑みを浮かべ、思想を掲げるよう両手を広げる。
「俺たちは最高の世界に来た、ここは自由が制限された世界じゃない! ゲームと同じで好きなことをしても許されるっ! なにをしようが、誰を犯ろうが、男女子供問わずどんな相手を好き勝手殺そうともっ!!」
一生相容れない。
一瞬にしてそう感じ取った。あの時、この男をプレイヤーと知り、同じ境遇という点だけで信用していたら、僕の未来は恐ろしいことになっていたかもしれない。
「俺の名はRevol――リボルだ」
リボルと名乗る男。
この世界を根本から狂わせるかもしれない危険思想、僕は悪意の塊のような存在に出くわしたのだった。
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