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王都突入編
121話 それぞれの道
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王宮をでると、外でナコとゴザルが待っていた。
僕は先ほどの出来事を共有するよう一字一句正確に伝える。
リボルというプレイヤーの存在、その男が持つ脅威の超越者スキル、"Freedom"というギルド、どういった意志で活動しているのかということ。
プレイヤー同士ではあるが、理解し合うという道は皆無だろう。
「……やっぱり、そういった思想もでてくるわよね」
「そうだね。これはゲーム時にも共通したことだけど、PKを楽しんでいる連中だってたくさんいた」
「ディスク1枚目という話も気になるわね」
「ゴザルは初期のストーリーとか記憶に残ってる?」
「さすがに1枚目はうろ覚えよ。昨日の晩御飯すらパッとでてこないのに、何年も前のことなんてすぐに思い出せないわ」
「私のお婆ちゃんもよく同じことを言っていました」
「待ってナコちゃん。今のは言葉の比喩みたいなものだから。確かに私の記憶力は年々弱まってはいるけれど、まだ大丈夫だと信じているわ」
「私のお爺ちゃんもよく同じことを言っていました」
「待ってナコちゃん。どんどん対象を増やしていかないでちょうだい」
「キャロルさんはどうかな?」
「はぅう、自分はゲームのシステム自体が好きだったので、ストーリーよりダンジョン構造が脳の大半を占めているのです」
残念ながら、ここにいるメンバーの記憶は揃って曖昧のようだ。
ふとした拍子にパッと思い出すこともあるだろう。
今は当初の予定を遂行していくのがベストに違いない。
「冒険所でも話した通り、僕たちは王都に行くつもりなんだけど、キャロルさんはこれからどうするの?」
「自分は大都市をもう少し探索してみようと考えているのです。メモリー紙に名前も書いていただけましたので」
キャロルさんは言う。
「なので、自分はここで一度お別れになるのです」
偶然の出会いからのパーティー。
寂しい気持ちはあるが無理に付いて来てもらうわけにもいかない。
僕はキャロルさんの意思を尊重するためそれ以上は口にしないでおく。
「やだやだやだっ! キャロルさん、私たちに付いて来てっ!」
「ゴザル! 僕はそれ言うの我慢していたのに!」
「私もキャロルさんが離れてしまうのは寂しいです」
「……皆さん、こんな自分にありがとうなのです」
キャロルさんは嬉しそうに笑みを浮かべながら、
「また必ずお会いすると誓うのです。大都市の探索、まだ掴めていない有益な情報があると踏んでいます。手にすることができたら皆さんにお伝えしに行くのです。こちらは自分にお任せください――得意分野なのです」
「ありがとう、キャロルさん。リボルに対抗できる秘策が見つかるといいんだけどね」
「自分もそれは考えていました。あの男は野放しにするには危険すぎるのです。いつかこの世界を悪い意味で揺るがすはず、こちらも強い力を手に入れる必要性は高いと思っているのです」
それぞれの行き先は決まった。
明日からは各々、進むべき道の準備をしていくことになる。
王都はもう目の前、僕はプレイヤー名をサーチし、よく知る名前を再確認するのであった。
――Ramyua、Homura、Nyanyan。
ラミュアとホムラは王都、ニャニャンは以前と同じく、サーチには引っかかることはなかった。
サーチ設定をオフにしているのか、転生して来ていないのか。
「まあ、ニャニャンのことだから、どっかでひょっこり現れそうだけど」
僕はそう独り言ち、サーチ画面を閉じるのであった。
僕は先ほどの出来事を共有するよう一字一句正確に伝える。
リボルというプレイヤーの存在、その男が持つ脅威の超越者スキル、"Freedom"というギルド、どういった意志で活動しているのかということ。
プレイヤー同士ではあるが、理解し合うという道は皆無だろう。
「……やっぱり、そういった思想もでてくるわよね」
「そうだね。これはゲーム時にも共通したことだけど、PKを楽しんでいる連中だってたくさんいた」
「ディスク1枚目という話も気になるわね」
「ゴザルは初期のストーリーとか記憶に残ってる?」
「さすがに1枚目はうろ覚えよ。昨日の晩御飯すらパッとでてこないのに、何年も前のことなんてすぐに思い出せないわ」
「私のお婆ちゃんもよく同じことを言っていました」
「待ってナコちゃん。今のは言葉の比喩みたいなものだから。確かに私の記憶力は年々弱まってはいるけれど、まだ大丈夫だと信じているわ」
「私のお爺ちゃんもよく同じことを言っていました」
「待ってナコちゃん。どんどん対象を増やしていかないでちょうだい」
「キャロルさんはどうかな?」
「はぅう、自分はゲームのシステム自体が好きだったので、ストーリーよりダンジョン構造が脳の大半を占めているのです」
残念ながら、ここにいるメンバーの記憶は揃って曖昧のようだ。
ふとした拍子にパッと思い出すこともあるだろう。
今は当初の予定を遂行していくのがベストに違いない。
「冒険所でも話した通り、僕たちは王都に行くつもりなんだけど、キャロルさんはこれからどうするの?」
「自分は大都市をもう少し探索してみようと考えているのです。メモリー紙に名前も書いていただけましたので」
キャロルさんは言う。
「なので、自分はここで一度お別れになるのです」
偶然の出会いからのパーティー。
寂しい気持ちはあるが無理に付いて来てもらうわけにもいかない。
僕はキャロルさんの意思を尊重するためそれ以上は口にしないでおく。
「やだやだやだっ! キャロルさん、私たちに付いて来てっ!」
「ゴザル! 僕はそれ言うの我慢していたのに!」
「私もキャロルさんが離れてしまうのは寂しいです」
「……皆さん、こんな自分にありがとうなのです」
キャロルさんは嬉しそうに笑みを浮かべながら、
「また必ずお会いすると誓うのです。大都市の探索、まだ掴めていない有益な情報があると踏んでいます。手にすることができたら皆さんにお伝えしに行くのです。こちらは自分にお任せください――得意分野なのです」
「ありがとう、キャロルさん。リボルに対抗できる秘策が見つかるといいんだけどね」
「自分もそれは考えていました。あの男は野放しにするには危険すぎるのです。いつかこの世界を悪い意味で揺るがすはず、こちらも強い力を手に入れる必要性は高いと思っているのです」
それぞれの行き先は決まった。
明日からは各々、進むべき道の準備をしていくことになる。
王都はもう目の前、僕はプレイヤー名をサーチし、よく知る名前を再確認するのであった。
――Ramyua、Homura、Nyanyan。
ラミュアとホムラは王都、ニャニャンは以前と同じく、サーチには引っかかることはなかった。
サーチ設定をオフにしているのか、転生して来ていないのか。
「まあ、ニャニャンのことだから、どっかでひょっこり現れそうだけど」
僕はそう独り言ち、サーチ画面を閉じるのであった。
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