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王都突入編
127話 負けたら死亡のイベント戦
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大陸龍が王都に飛び立ち、4時間ほどが経過した。
ナコとゴザルは手を繋ぎながらぐっすり、僕は大都市で入手した料理長マルクのランチレシピを読み耽る。
驚くことに、僕の知る素材を使用した料理もたくさんあった。
モンスターの生態系は何千年も前から大して変わっていないのか? それともあの大都市がなにかの理由により地下に眠ってしまったとか?
非科学的な現象、魔法が存在する世界だ。
普通では考えられない事態が生じたとしてもなんら不思議ではない。
その他の書物、流の王国ウィンディア・ウィンド、ガラスティナ戦記、前者は国の生き方を教科書のように綴ったもの、後者はタイトル通りガラスティナの生き様がイラスト付きで描かれていた。
そう、こちらは絵本だったのだ。
「……ガラスティナは四国を統一させ、事実上この地の王となる」
真実か否か、本人の口から聞けることはない。
絵本だからこそ創作の可能性もあるが、四国というワードは『火の都サラマン』が存在していれば今も同じ呼び名だったかもしれない。
……火の都、サラマン?
先ほどの記憶、モヤッとした部分が浮き彫りになってくる。リボルがディスク1枚目と言った言葉が繋がってくる。
「まさか、そうなると最悪の時間軸じゃないかっ!」
瞬間、大陸龍が大きく揺れ動いた。
最悪のタイミングと言っても過言ではない。確かに、大陸龍は落ちたことなんて一度もなかった。
だが、襲撃されて落ちかけた――という事実はあったのだ。
「な、なにっ? 本当に落ちないわよねっ?!」
「び、ビックリしました。お侍さん、手を握っておきましょう」
二人が衝撃により飛び起きる。
その他の乗客たちも大騒ぎ、阿鼻叫喚の図と化していた。僕は今起こっていること、起こるであろうことを説明する。
「ゴザル、これはディスク1枚目の最難関イベントだ」
「最難関イベント?」
「まだゲームバランスが曖昧だったころ、とびっきり強いボス戦があっただろう? そのイベント戦が今始まろうとしている」
「まさか『白龍の騎士』だっていうの?!」
「思い出したようだね」
「その白龍の騎士ってなんですか?」
「ナコもよく聞いてほしい。端的に言うなら『負けイベント』だ。こいつに勝てることは絶対にないんだ」
「えっ!」
ナコがポカンと口を開く。
「勝てないボス戦なんてあるんですか?」
「ゲームには理不尽なイベントってのがあるんだ。このボス戦のクリア条件は白龍の騎士のHPを30パーセント以下にすること。倒さなくていい、条件をはたしたら撤退するんだよ」
白いドラゴンに乗った騎士が視界に、大陸龍に攻撃を続けている。
メインの武器は槍、その鋭利な物体を何度も容赦なく大陸龍に突き刺す。
揺れに揺れる大陸龍、どこまで耐えてくれるのか? ゲーム時だったなら、このボスに負けた時点で大陸龍が撃破されて落下するなんてイベントはなく――このボス戦を勝つまで連戦することができた。
今の僕たちに二度目なんてない。
「……ねえ、ソラ。このボス戦、負けたら大陸龍落ちるんじゃないかしら?」
「絶対に落ちる」
僕はそう断言する。
何故なら、ファーポッシ村と同じく――プレイヤーの行動により世界は変わる、変えられるという事実を僕たちは知っている。
おそらく、今この場にいるプレイヤーは僕たちだけだろう。
つまり、負けるということは死に直結する。しかし、最難関イベントだけあってこの白龍の騎士は死ぬほど強い。
どう対処するか、そう考えていた矢先、
「あーもう、四の五の考えるのはやめるわ」
ゴザルが抜刀する。
「白龍の騎士、確かに理不尽なイベントだったわ。だけどね、私たちはもうディスク5枚目、エンドコンテンツを遊び倒す廃プレイヤーなのよ」
「……ゴザル、まさか」
「そのまさかよ、ディスク1枚目ごときが舐めないでっ! 初期のボスくらい一刀両断してやるわよっ!!」
高さの恐怖は戦闘モードにより上書きか、ゴザルが一直線に突っ込んで行った。
ナコとゴザルは手を繋ぎながらぐっすり、僕は大都市で入手した料理長マルクのランチレシピを読み耽る。
驚くことに、僕の知る素材を使用した料理もたくさんあった。
モンスターの生態系は何千年も前から大して変わっていないのか? それともあの大都市がなにかの理由により地下に眠ってしまったとか?
非科学的な現象、魔法が存在する世界だ。
普通では考えられない事態が生じたとしてもなんら不思議ではない。
その他の書物、流の王国ウィンディア・ウィンド、ガラスティナ戦記、前者は国の生き方を教科書のように綴ったもの、後者はタイトル通りガラスティナの生き様がイラスト付きで描かれていた。
そう、こちらは絵本だったのだ。
「……ガラスティナは四国を統一させ、事実上この地の王となる」
真実か否か、本人の口から聞けることはない。
絵本だからこそ創作の可能性もあるが、四国というワードは『火の都サラマン』が存在していれば今も同じ呼び名だったかもしれない。
……火の都、サラマン?
先ほどの記憶、モヤッとした部分が浮き彫りになってくる。リボルがディスク1枚目と言った言葉が繋がってくる。
「まさか、そうなると最悪の時間軸じゃないかっ!」
瞬間、大陸龍が大きく揺れ動いた。
最悪のタイミングと言っても過言ではない。確かに、大陸龍は落ちたことなんて一度もなかった。
だが、襲撃されて落ちかけた――という事実はあったのだ。
「な、なにっ? 本当に落ちないわよねっ?!」
「び、ビックリしました。お侍さん、手を握っておきましょう」
二人が衝撃により飛び起きる。
その他の乗客たちも大騒ぎ、阿鼻叫喚の図と化していた。僕は今起こっていること、起こるであろうことを説明する。
「ゴザル、これはディスク1枚目の最難関イベントだ」
「最難関イベント?」
「まだゲームバランスが曖昧だったころ、とびっきり強いボス戦があっただろう? そのイベント戦が今始まろうとしている」
「まさか『白龍の騎士』だっていうの?!」
「思い出したようだね」
「その白龍の騎士ってなんですか?」
「ナコもよく聞いてほしい。端的に言うなら『負けイベント』だ。こいつに勝てることは絶対にないんだ」
「えっ!」
ナコがポカンと口を開く。
「勝てないボス戦なんてあるんですか?」
「ゲームには理不尽なイベントってのがあるんだ。このボス戦のクリア条件は白龍の騎士のHPを30パーセント以下にすること。倒さなくていい、条件をはたしたら撤退するんだよ」
白いドラゴンに乗った騎士が視界に、大陸龍に攻撃を続けている。
メインの武器は槍、その鋭利な物体を何度も容赦なく大陸龍に突き刺す。
揺れに揺れる大陸龍、どこまで耐えてくれるのか? ゲーム時だったなら、このボスに負けた時点で大陸龍が撃破されて落下するなんてイベントはなく――このボス戦を勝つまで連戦することができた。
今の僕たちに二度目なんてない。
「……ねえ、ソラ。このボス戦、負けたら大陸龍落ちるんじゃないかしら?」
「絶対に落ちる」
僕はそう断言する。
何故なら、ファーポッシ村と同じく――プレイヤーの行動により世界は変わる、変えられるという事実を僕たちは知っている。
おそらく、今この場にいるプレイヤーは僕たちだけだろう。
つまり、負けるということは死に直結する。しかし、最難関イベントだけあってこの白龍の騎士は死ぬほど強い。
どう対処するか、そう考えていた矢先、
「あーもう、四の五の考えるのはやめるわ」
ゴザルが抜刀する。
「白龍の騎士、確かに理不尽なイベントだったわ。だけどね、私たちはもうディスク5枚目、エンドコンテンツを遊び倒す廃プレイヤーなのよ」
「……ゴザル、まさか」
「そのまさかよ、ディスク1枚目ごときが舐めないでっ! 初期のボスくらい一刀両断してやるわよっ!!」
高さの恐怖は戦闘モードにより上書きか、ゴザルが一直線に突っ込んで行った。
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