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火の都サラマン激突編
180話 嘘も方便
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「すまない。前後の記憶が飛んでいて――私を介抱してくれていたのだな。モンスターの多いこのエリア、本当に助かった」
和風姿の女性が深々とお辞儀する。
「私の名は風花、お主たちは命の恩人だ」
「いや、そんな、滅相もない――僕はクーラです」
「そちらの子は?」
「ほら、ライカ、挨拶くらいしないと」
「……ライカ」
ライカがぶっきらぼうに言い放つ。
どうやら、人見知りと捉えたようで――風花と名乗る女性は特に気にせず、ライカに笑顔を向けていた。
とてもじゃないが、襲ったのはライカですとは言えない。
「しかし、お主たちはこんなところでなにをしていたのだ? ここはモンスターが蔓延る危険区域とされていてな。入るためには許可がいるのだぞ」
「実は事情がありまして」
僕は当たり障りのないよう話す。
伏せた方がいい部分は伏せ、魔力の暴走により――気付いたらここに転移していたということにしておく。
ライカが変なことを言う前に、釘を刺す意味もあった。
「……それは、災難であったな。まあ、クーラ殿の話が真実だとはわかる。お主たちが身に付けている装備、こちらの国では見たことがない。異国のものであると、ひと目で感じ取れた」
「ちなみに、ここはなんていう国なんですか?」
「陽の国――『サンサン』だ」
陽の国、サンサン?
僕とライカは目を見合わせ――言葉を失う。ライカも同じことを思ったのだろう。風花さんが僕たちの様子を見て首を傾げる。
「どうした? サンサンは聞いたことがなかったか?」
「初めて聞きました」
ゲーム時にはなかった未開の地、か。
今はマップ機能も障害中、完全に自身の目で確認していく以外に――道はない。想像以上に大変な場所に転移したようだ。
「風花さん、ウィンウィン――風の都ウィンディア・ウィンドは知っていますか?」
「いや、聞いたことがないな」
風花さんは顎に手を置きながら、
「行く当てがないのであれば、一度私の住んでいる街に来てみるか? お主たちの故郷がどこにあるか私にはわからぬが、街の行商人であれば知っているものもいるやもしれぬ」
ありがたい申し出だった。
いつまでも、森の中でライカとサバイバルしているわけにもいかない。
情報が集まる街中、イエス以外の選択肢などないだろう。
風花さんは笑顔で僕に握手を求めながら、
「受けた恩は必ずお返しせよと、局長に常日頃から散々言われていてな。手助けになれば嬉しい、身元は私が一時的に保証しよう」
「ぁ、ありがとうございます」
僕は弱々しく握り返す。
恩、恩かぁ――心苦しいが、今はこの嘘を突き通すしかなかった。
和風姿の女性が深々とお辞儀する。
「私の名は風花、お主たちは命の恩人だ」
「いや、そんな、滅相もない――僕はクーラです」
「そちらの子は?」
「ほら、ライカ、挨拶くらいしないと」
「……ライカ」
ライカがぶっきらぼうに言い放つ。
どうやら、人見知りと捉えたようで――風花と名乗る女性は特に気にせず、ライカに笑顔を向けていた。
とてもじゃないが、襲ったのはライカですとは言えない。
「しかし、お主たちはこんなところでなにをしていたのだ? ここはモンスターが蔓延る危険区域とされていてな。入るためには許可がいるのだぞ」
「実は事情がありまして」
僕は当たり障りのないよう話す。
伏せた方がいい部分は伏せ、魔力の暴走により――気付いたらここに転移していたということにしておく。
ライカが変なことを言う前に、釘を刺す意味もあった。
「……それは、災難であったな。まあ、クーラ殿の話が真実だとはわかる。お主たちが身に付けている装備、こちらの国では見たことがない。異国のものであると、ひと目で感じ取れた」
「ちなみに、ここはなんていう国なんですか?」
「陽の国――『サンサン』だ」
陽の国、サンサン?
僕とライカは目を見合わせ――言葉を失う。ライカも同じことを思ったのだろう。風花さんが僕たちの様子を見て首を傾げる。
「どうした? サンサンは聞いたことがなかったか?」
「初めて聞きました」
ゲーム時にはなかった未開の地、か。
今はマップ機能も障害中、完全に自身の目で確認していく以外に――道はない。想像以上に大変な場所に転移したようだ。
「風花さん、ウィンウィン――風の都ウィンディア・ウィンドは知っていますか?」
「いや、聞いたことがないな」
風花さんは顎に手を置きながら、
「行く当てがないのであれば、一度私の住んでいる街に来てみるか? お主たちの故郷がどこにあるか私にはわからぬが、街の行商人であれば知っているものもいるやもしれぬ」
ありがたい申し出だった。
いつまでも、森の中でライカとサバイバルしているわけにもいかない。
情報が集まる街中、イエス以外の選択肢などないだろう。
風花さんは笑顔で僕に握手を求めながら、
「受けた恩は必ずお返しせよと、局長に常日頃から散々言われていてな。手助けになれば嬉しい、身元は私が一時的に保証しよう」
「ぁ、ありがとうございます」
僕は弱々しく握り返す。
恩、恩かぁ――心苦しいが、今はこの嘘を突き通すしかなかった。
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