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火の都サラマン激突編
213話 十八禁
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海パン一枚、マントを覆った肥満体型のお兄さんがいた。
パッチリ二重の長睫毛、王子様のように輝くイケメン顔、全身とのバランスが明らかにおかしい。
加えて、なんという偶然か――このスタイリッシュな格好、僕のイベント装備の♂バージョンである。
あの難易度をクリアした猛者が――こんなところにもいた。
萌太郎さんも耐性装備の優秀さに気付いて勇気ある決断をしたに違いない。普段から着こなしている感が溢れ出ているのは気のせいだろう。
白雪の記憶が移り変わる景色のよう――流れていく。
笑って、泣いて、喜んで、萌太郎さんとの色々な思い出がそこにはあった。
パタりポタりと、地面を濡らすような音に気付き、白雪を見ると――静かに泣いていた。
「……人間の、寿命は、短い」
抑えきれなくなったのか、白雪は嗚咽混じりに呟く。
「理解して、覚悟していた。それでも、さよならの時は――どうしようもないくらいに心が痛む」
「その痛みを知りながらも、また――共存する道を選んでくれたんだね」
「どれだけの年月、妾を待たすのかと憤慨したが――萌太郎の言葉は真実だったと受け止められただけで十分だ」
「師匠、萌太郎さんは何歳に亡くなったの?」
「萌太郎は150歳まで生きたぞ」
「……パワフルすぎる」
「ふっ、貴様もせめてそれくらいは生きろよ。そして、また新たなる懸け橋――未来を繋いでいくんだ」
「ぜ、善処するよ」
回復薬の類でドーピングできないかな。
しかし、萌太郎さん――戦いの記憶もあるのだが、動きがもう人間離れしているなんてレベルじゃない。
半裸で肥満のお兄さんが縦横無尽に戦場を駆け回る姿、白雪が以前言っていた通りに触手の数も僕の数倍を操っていた。
最早、萌太郎さんがモンスターに見える。
「どうだ。萌太郎は――強いだろう?」
「強すぎる。師匠がまだ足の爪先っていう意味がわかるよ」
「にはは、安心しろ。妾のスキルを習得したから――萌太郎の足もとくらいには追い付いているだろう」
「……あんまり変わらない気がする」
「兎にも角にも、妾の記憶はこんなものだ。見ていて勉強になっただろう? 萌太郎の動き――しっかり記憶に残しておけよ」
白雪が言う。
その時、流れる映像が切り替わり――萌太郎さんと白雪が仲良く談笑している場面に移り変わった。
白雪は気付いていないようで得々と喋り続ける。
「萌太郎はな、戦闘の時に、触手を――これこれこうして」
萌太郎さんが白雪を触手で縛り始める。
白雪の言葉が全く頭に入ってこない。見ちゃいけないと思いつつも、好奇心が勝ってしまい目が離せなかった。
白雪は縛られながらも、なんだか乙女のような顔付きで――、
「クーラ、聞いているのか?」
「……」
「なにを熱心に見て」
――僕の視線の先に気付き、白雪の言葉がとまる。
あはーん、うふーん、なんだかエッチな声が空間内に響き渡る。
僕は「おぉっ」と無意識に声が漏れた。
「じゅ、十八禁だ」
「わ、わ、わぁあああーっ! バカ馬鹿ばかっ! ななな、なにを、妾のを勝手に、見ているんだぁあああああぁっ!!」
「……師匠がしっかり記憶に残しておけって言ったから」
「おらぁっ! 記憶消滅パンチっ!!」
「ぐげぇっ!」
白雪の拳骨と共に、僕の視界は黒一色に染まるのであった。
パッチリ二重の長睫毛、王子様のように輝くイケメン顔、全身とのバランスが明らかにおかしい。
加えて、なんという偶然か――このスタイリッシュな格好、僕のイベント装備の♂バージョンである。
あの難易度をクリアした猛者が――こんなところにもいた。
萌太郎さんも耐性装備の優秀さに気付いて勇気ある決断をしたに違いない。普段から着こなしている感が溢れ出ているのは気のせいだろう。
白雪の記憶が移り変わる景色のよう――流れていく。
笑って、泣いて、喜んで、萌太郎さんとの色々な思い出がそこにはあった。
パタりポタりと、地面を濡らすような音に気付き、白雪を見ると――静かに泣いていた。
「……人間の、寿命は、短い」
抑えきれなくなったのか、白雪は嗚咽混じりに呟く。
「理解して、覚悟していた。それでも、さよならの時は――どうしようもないくらいに心が痛む」
「その痛みを知りながらも、また――共存する道を選んでくれたんだね」
「どれだけの年月、妾を待たすのかと憤慨したが――萌太郎の言葉は真実だったと受け止められただけで十分だ」
「師匠、萌太郎さんは何歳に亡くなったの?」
「萌太郎は150歳まで生きたぞ」
「……パワフルすぎる」
「ふっ、貴様もせめてそれくらいは生きろよ。そして、また新たなる懸け橋――未来を繋いでいくんだ」
「ぜ、善処するよ」
回復薬の類でドーピングできないかな。
しかし、萌太郎さん――戦いの記憶もあるのだが、動きがもう人間離れしているなんてレベルじゃない。
半裸で肥満のお兄さんが縦横無尽に戦場を駆け回る姿、白雪が以前言っていた通りに触手の数も僕の数倍を操っていた。
最早、萌太郎さんがモンスターに見える。
「どうだ。萌太郎は――強いだろう?」
「強すぎる。師匠がまだ足の爪先っていう意味がわかるよ」
「にはは、安心しろ。妾のスキルを習得したから――萌太郎の足もとくらいには追い付いているだろう」
「……あんまり変わらない気がする」
「兎にも角にも、妾の記憶はこんなものだ。見ていて勉強になっただろう? 萌太郎の動き――しっかり記憶に残しておけよ」
白雪が言う。
その時、流れる映像が切り替わり――萌太郎さんと白雪が仲良く談笑している場面に移り変わった。
白雪は気付いていないようで得々と喋り続ける。
「萌太郎はな、戦闘の時に、触手を――これこれこうして」
萌太郎さんが白雪を触手で縛り始める。
白雪の言葉が全く頭に入ってこない。見ちゃいけないと思いつつも、好奇心が勝ってしまい目が離せなかった。
白雪は縛られながらも、なんだか乙女のような顔付きで――、
「クーラ、聞いているのか?」
「……」
「なにを熱心に見て」
――僕の視線の先に気付き、白雪の言葉がとまる。
あはーん、うふーん、なんだかエッチな声が空間内に響き渡る。
僕は「おぉっ」と無意識に声が漏れた。
「じゅ、十八禁だ」
「わ、わ、わぁあああーっ! バカ馬鹿ばかっ! ななな、なにを、妾のを勝手に、見ているんだぁあああああぁっ!!」
「……師匠がしっかり記憶に残しておけって言ったから」
「おらぁっ! 記憶消滅パンチっ!!」
「ぐげぇっ!」
白雪の拳骨と共に、僕の視界は黒一色に染まるのであった。
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