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火の都サラマン激突編
234話 エアー
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白く輝く機体。
戦艦というよりは飛空船という方が正しいだろう。乗船人数は本体の大きさから察するに――5~6人ほどが限界と考えられる。
機体の真横には――大都市の騎士団施設で目にした剣と盾が描かれていた。
流の王国ウィンディア・ウィンドのシンボルなのだろう。
「……この剣と盾、昔父に見せてもらった記憶があるな」
カレアスが言う。
「その記憶に間違いはないと思う。これは流の王国ウィンディア・ウィンド、なにかしらの形でここに――歴史の欠片が残されていてもおかしくはない」
「……流の王国、か。まだまだ俺の知らないことは多いな」
「この白い機体は、カレアスの祖先が残した偉大なものだよ」
「クーラ。いつの日か、詳しく話を聞かせてくれないか」
「もちろん。僕が見てきたことを――全て話すよ」
ガラスティナの生涯についても、カレアスならば受けとめるだろう。
国の繁栄だけを願い、人外の道を選択した王――その魂はすでになく、今は天に散っている。
「キャロルさん、説明してもらってもいいかな」
「はい。自分にお任せなのです」
快諾、キャロルさんは飛空船を擦りながら、
「アイテム名は『エアー』と表示されているのです。大都市はかなり広く、まだまだ未開のエリアは多いのです。探せば――クーラさんの言う空中戦艦もある可能性は高いのです」
「この規模で――アイテムボックスに収納できる。ゴザルの持つポケットハウスみたいな扱いなのかな」
「ただ、持ち運びは簡単なのですが――難点がありまして」
「……難点?」
「原動力が――魔力なのです。機体の中心に風の魔石が鎮座していまして、そこに大量の魔力を常に注ぎ込まない限り動きません。自分たちの限られた魔力量では、10人以上がフルに消費し続けて30分ほど飛べるかといった程度なのです」
燃費量が――異次元すぎる。
とてもじゃないが、乗船人数と魔力の消費が釣り合っていない。これでは動かすこともままならないだろう。
キャロルさんの話で――僕はある点に気付く。
「……大量の、魔力? この構造、フレイムドルフが使っている空中戦艦も同様のシステムなんじゃないか?」
「その判断が妥当かと思われるのです」
「まさか」
「フレイムドルフは人の魔力を強制的に搾り取り、命を燃料に空中戦艦を動かしているのではないか――というのが自分の推測なのです」
ゴミを扱うかのように。
フレイムドルフの残虐な行為は――とどまるところを知らない。
戦艦というよりは飛空船という方が正しいだろう。乗船人数は本体の大きさから察するに――5~6人ほどが限界と考えられる。
機体の真横には――大都市の騎士団施設で目にした剣と盾が描かれていた。
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「……この剣と盾、昔父に見せてもらった記憶があるな」
カレアスが言う。
「その記憶に間違いはないと思う。これは流の王国ウィンディア・ウィンド、なにかしらの形でここに――歴史の欠片が残されていてもおかしくはない」
「……流の王国、か。まだまだ俺の知らないことは多いな」
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「もちろん。僕が見てきたことを――全て話すよ」
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「はい。自分にお任せなのです」
快諾、キャロルさんは飛空船を擦りながら、
「アイテム名は『エアー』と表示されているのです。大都市はかなり広く、まだまだ未開のエリアは多いのです。探せば――クーラさんの言う空中戦艦もある可能性は高いのです」
「この規模で――アイテムボックスに収納できる。ゴザルの持つポケットハウスみたいな扱いなのかな」
「ただ、持ち運びは簡単なのですが――難点がありまして」
「……難点?」
「原動力が――魔力なのです。機体の中心に風の魔石が鎮座していまして、そこに大量の魔力を常に注ぎ込まない限り動きません。自分たちの限られた魔力量では、10人以上がフルに消費し続けて30分ほど飛べるかといった程度なのです」
燃費量が――異次元すぎる。
とてもじゃないが、乗船人数と魔力の消費が釣り合っていない。これでは動かすこともままならないだろう。
キャロルさんの話で――僕はある点に気付く。
「……大量の、魔力? この構造、フレイムドルフが使っている空中戦艦も同様のシステムなんじゃないか?」
「その判断が妥当かと思われるのです」
「まさか」
「フレイムドルフは人の魔力を強制的に搾り取り、命を燃料に空中戦艦を動かしているのではないか――というのが自分の推測なのです」
ゴミを扱うかのように。
フレイムドルフの残虐な行為は――とどまるところを知らない。
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