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もふもふの都開国編
274話 最後の言葉
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かくかくしかじか。
僕は今日までの経緯を、全て事細やかに伝える。フレイムドルフによる世界の侵略を阻止したこと、僕の話を聞いた皆は――そっと胸をなで下ろした。
サンサンの平和は守られたのだ。
要塞で出会った様子から察するに、フレイムドルフの野心は――燃え尽きている。やつがどう生きていくかは不明だが、今後出会うことはないかもしれない。
一つの強大な脅威が――この世界から消失した。
「クーラ殿、世界を巻き込む炎を鎮火したこと――心より感謝するぞ。サンサンの平和も守られたに等しかろう」
局長は言う。
「やはり、主は英雄といっても過言ではなかった」
「僕がそんな偉大な人物かはわかりませんが、今できる限りのことはやってみようと思います」
「以前より、心境に変化があったのではないか――目に力が宿っておる。ワシにも助力できることがあったら、遠慮せずになんでも言ってくれい」
風花さん、その場にいた隊員たちも強く頷く。
この陽の国サンサンは――僕が目指すべき象徴でもあった。皆の心が温かく、種族など関係なしに分け隔てなく過ごしている。
僕はこの国に来た理由、もう一つの本題を口にする。
「風花さん、レイナさんは今どこにいますか?」
「レイナ殿なら、姫様の付き人となっている。彼女の回復魔法は素晴らしい、姫様の教師役としても大活躍だぞ。回復魔法も見る見る上達していてな、可能であれば彼女には長期で滞在してほしいものだ」
まさかまさかの話であった。
レイナさんが教師――向いてそうな雰囲気はあるが、彼女は色々なことがあってこの国に流れ着いている。
精神的な面は――解決したのだろうか。
「レイナ殿のたっての希望でな、なにかして気を落ち着かせたいとのことだった」
僕の表情から気付いたのか――風花さんが言う。
「私も気にかけてはいるが、大事な人が亡くなったという悲しみ――こればかりは周囲がどうにかできるものでもない。自身と向き合い、時間の経過と共に新しい気持ちを構築していくしかないからな」
と、風花さんは苦笑いしながら、
「まあ、私は恋愛方面には疎いから――あまり、力になれないというのが本音だ。恥ずかしながら、この年齢まで特別な異性はいたことがない」
「風花はモテるんじゃがのう。顔もよい、乳もでっかい、料理も上手とあっては国中の男が放ってはおかん」
「局長、サラッと変態発言はやめてください」
局長が大きなため息を吐き、
「とにかく、王子様思考がすごいのじゃ。理想が高いとでもいうのか、紅桜組でも隊員が幾度となくアタックしておるが――まずは、剣で勝ってからと男気に溢れておる」
「べ、別に王子様思考じゃありませんっ! 最低限、私より強いものでないと駄目なだけですっ!!」
風花さんがハッキリと言う。
その言葉に対し、周囲にいた隊員の何人かが――局長に続いて、悲しそうにため息を吐いたのがわかった。
風花さんは仕切り直すよう咳払いを一つ、
「失礼、話が脱線してしまったな。レイナ殿に会いたいのなら、今は姫様のお屋敷で授業中のはずだ。私が案内しよう――付いて来てくれ」
「……クーラ」
その瞬間、ナコが僕の手を握る。
小さくではあるが、震えているのがわかった。レイナさんに会うことが――例の一言を伝えるのが怖いのだろう。
ナコは責任感が強く――優しい子だ。
あの時、サマロを守れなかったこと――逆に守られて命が助かったことを、深く思い詰めているに違いない。
「ナコ、大丈夫だよ」
「本当、ですか? 私、私のせいで」
「君のせいなんてことはない。レイナさんも必ずわかってくれる」
「……はい」
僕が代わりに、なんてことはできない。
彼の口から直接聞いた言葉、最後の言葉だけは――ナコの口から伝えてあげてほしかった。
僕は今日までの経緯を、全て事細やかに伝える。フレイムドルフによる世界の侵略を阻止したこと、僕の話を聞いた皆は――そっと胸をなで下ろした。
サンサンの平和は守られたのだ。
要塞で出会った様子から察するに、フレイムドルフの野心は――燃え尽きている。やつがどう生きていくかは不明だが、今後出会うことはないかもしれない。
一つの強大な脅威が――この世界から消失した。
「クーラ殿、世界を巻き込む炎を鎮火したこと――心より感謝するぞ。サンサンの平和も守られたに等しかろう」
局長は言う。
「やはり、主は英雄といっても過言ではなかった」
「僕がそんな偉大な人物かはわかりませんが、今できる限りのことはやってみようと思います」
「以前より、心境に変化があったのではないか――目に力が宿っておる。ワシにも助力できることがあったら、遠慮せずになんでも言ってくれい」
風花さん、その場にいた隊員たちも強く頷く。
この陽の国サンサンは――僕が目指すべき象徴でもあった。皆の心が温かく、種族など関係なしに分け隔てなく過ごしている。
僕はこの国に来た理由、もう一つの本題を口にする。
「風花さん、レイナさんは今どこにいますか?」
「レイナ殿なら、姫様の付き人となっている。彼女の回復魔法は素晴らしい、姫様の教師役としても大活躍だぞ。回復魔法も見る見る上達していてな、可能であれば彼女には長期で滞在してほしいものだ」
まさかまさかの話であった。
レイナさんが教師――向いてそうな雰囲気はあるが、彼女は色々なことがあってこの国に流れ着いている。
精神的な面は――解決したのだろうか。
「レイナ殿のたっての希望でな、なにかして気を落ち着かせたいとのことだった」
僕の表情から気付いたのか――風花さんが言う。
「私も気にかけてはいるが、大事な人が亡くなったという悲しみ――こればかりは周囲がどうにかできるものでもない。自身と向き合い、時間の経過と共に新しい気持ちを構築していくしかないからな」
と、風花さんは苦笑いしながら、
「まあ、私は恋愛方面には疎いから――あまり、力になれないというのが本音だ。恥ずかしながら、この年齢まで特別な異性はいたことがない」
「風花はモテるんじゃがのう。顔もよい、乳もでっかい、料理も上手とあっては国中の男が放ってはおかん」
「局長、サラッと変態発言はやめてください」
局長が大きなため息を吐き、
「とにかく、王子様思考がすごいのじゃ。理想が高いとでもいうのか、紅桜組でも隊員が幾度となくアタックしておるが――まずは、剣で勝ってからと男気に溢れておる」
「べ、別に王子様思考じゃありませんっ! 最低限、私より強いものでないと駄目なだけですっ!!」
風花さんがハッキリと言う。
その言葉に対し、周囲にいた隊員の何人かが――局長に続いて、悲しそうにため息を吐いたのがわかった。
風花さんは仕切り直すよう咳払いを一つ、
「失礼、話が脱線してしまったな。レイナ殿に会いたいのなら、今は姫様のお屋敷で授業中のはずだ。私が案内しよう――付いて来てくれ」
「……クーラ」
その瞬間、ナコが僕の手を握る。
小さくではあるが、震えているのがわかった。レイナさんに会うことが――例の一言を伝えるのが怖いのだろう。
ナコは責任感が強く――優しい子だ。
あの時、サマロを守れなかったこと――逆に守られて命が助かったことを、深く思い詰めているに違いない。
「ナコ、大丈夫だよ」
「本当、ですか? 私、私のせいで」
「君のせいなんてことはない。レイナさんも必ずわかってくれる」
「……はい」
僕が代わりに、なんてことはできない。
彼の口から直接聞いた言葉、最後の言葉だけは――ナコの口から伝えてあげてほしかった。
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