転生したら倉庫キャラ♀でした。

ともQ

文字の大きさ
285 / 426
もふもふの都開国編

284話 忍者と武者

しおりを挟む
 ライカが忍び装束の上部を破り捨てる。
 藤色の衣が舞い、空に花が咲いているかのようだった。闇の中、鋭い視線で敵を見つめる立ち姿は――まさに忍者である。
 アラシはライカを見やり、大きくため息を吐きながら、

「先に言うておくが、子供の裸で興奮する趣味はワイにはないで」
「うげげっ、気持ち悪いこと言わないでほしいなぁ。動きづらいから捨てただけ、下着は着けてるもんねぇ」
「数年後なら守備範囲やったけどな」
「数年後って――まだロリコンの範囲内じゃん」
「はぁ? ワイが二十代ならギリセーフやろが」
「その顔じゃアウトだよ」
「……小生意気な減らず口、永遠に黙らしたるわ」
「それ、ライカのセリフ」

 ライカは背後にいる僕に――言い放つ。

「クーにぃ。"禁術"の使用許可をもらってもいいかなぁ」
「ライカ、気にせずブチかましてくれ」

 僕はその言葉に対して、即座に同意の旨を返す。
 今のライカが、周囲を顧みないという行動を――するわけがない。出会った当初に比べて、ライカの成長は目を見張るものがあった。
 ライカが人差し指を立て――叫ぶ。

「"神詠しんえい"っ!」

 ライカを中心に、花形の陳が咲き乱れる。
 超越者スキル"禁術"――ゲーム時には存在しなかった様々な忍術があり、その概要は僕にはわからない。
 恐ろしい力を秘めていることだけは――確かだった。

「ほんなら、ワイの本気も見せたろか」

 超越者スキルを目の前にしても、アラシに焦った様子はない。
 むしろ、愉快に歪めた表情からは――楽しんでいるというのが見て取れる。
 こいつは"Freedom"の残党、リボルの思想に賛同していたものだ。
 リボルに命を助けられた理由で付き従っていたライカとは本質的な部分が異なる。
 アラシが刀を鞘に納め、深く地面に沈み込む構えを取った。

「死んだことすら――気付かんかもしれんで」

 居合い斬り。
 間違いなく、超越者スキルに超越者スキルを――ぶつけてくるつもりだ。僕とナコも皆の治療が間もなく終わる。
 今、全てが最終局面へと――向かっていた。


 ――「行くよっ!」「行くでっ!」


 忍者と武者、決着の時が――迫る。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

処理中です...