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2番手の心持ち(茉莉の物語)
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そらにとって、1番手はさとる。
私は2番手でいい。
初めから1番手になれると
思っていない。
初めてさとるを彼氏として
紹介されたのは二十歳の時だった。
不思議と藍色の嫉妬が
巻き上がってこなかった。
中性的な顔立ちで、
可愛さがある男性だった。
そらの方がどちらかと言うと、
強さがあったのかもしれない。
優しい表情のおどけた感じの
言いまわしは、どこか小動物を
イメージさせる。
そして、私にとって最も
好印象だったのが、
「そらさんの事、
まだ僕はあまり知らなくて…。
茉莉さんに教えてもらわなきゃ」
と初めてあった時に言ってきたことだ。
私とそらの関係を認めた上で
それを大切に扱ってくれる。
さとるが彼氏なら、
私は醜い嫉妬がなくて過ごせる。
それから、3人で会うことも増え、
さとると私の間にも
友だち関係が出来上がっていった。
そらのことを相談されることも
しばしばあった。
プレゼントは何が良いか?
今までの男性経験なども聞かれた。
不意に私がそらを思う気持ちに、
気付いてるのか、
私を気遣うように、
Christmasに3人で過ごす計画を
さとるの方から提案してくれた
こともある。
私はその提案を断った。
その気持ちは嬉しかったが、
親友のデートをそこまで
邪魔はしたくない。
だけど、Christmasの日の夜。
実家で過ごしながら眠る時に、
きっと今はそらはさとるに
抱かれているんだと考えると、
身が熱くなったこともある。
その時も不思議と嫉妬はなかった。
しかし、転機はやってきた。
さとるが浮気をしたのだ。
そらはショックで食事が取れなくなった。
その時もそらがどうしているか、
私に連絡が来た。
「貴方のせいでしょ!ほんと、
信じられない。どうしてくれるの!?」
私はさとるを叱咤した。
さとるは何も言えず嗚咽を
堪えていた。
貴方だから私は身をひいたのに…
そらを慰める為に会った時、
私は自分の気持ちを抑えきれなくなった。
「……私じゃ駄目?」
そらに、キスをした。
そらは一瞬困った顔していたが、
何も言わなかった。
「私だったらこんな思いはさせない。」
多分意味がわからず、
返事をしたのだろう。
「……うん。」
「私はずっとそらが好きだった。」
そらを抱きしめると、
キスを返してくれて、
笑顔で応えてくれた。
「うん。」
ーーー親友から恋人へーーー
小学四年生から想い抱いていた
ことが実現した瞬間だった。
私はそらに会うたびに、
キスをした。
ずっと抱き合いながら
時間をすごした。
だけど、そらの気持ちが
まださとるにある事も
知っていた。
キスから先に進めないのは、
その事もあったからだ。
土曜日の午前中に、
喫茶店にさとるを呼び出した。
さとるに報告すると、
あまり驚かなかった。
「茉莉ちゃんは、そんな気がしてた。
そらは…その…オッケーだったんだ?」
「うん、キスしてくれた。」
一瞬さとるは、目を瞑って
俯いたが、すぐ顔を上げてこう言った。
「それで、今日はその報告かな?」
「それもあるけど、まださとるの
事を忘れてないの。それに、私は
さとるとそらに別れてほしくない。」
さとるは意味がわからないと
首をかしげた。
「俺だって別れたくないよ。
でも2人はもう付き合ってるんでしょ?」
「うん…そらは、子どもが好きなのよ。
結婚して子どもを産んでもらいたいの。
それがあの子の昔から描いてる幸せだから。」
「………」さとるは黙っていた。
「馬鹿な事を言ってるのはわかってる。
でも、他の男性だと私耐えられないの。」
「茉莉ちゃん…それは、
そらが決める事だよ。俺だって、
そらが好きだから、そらがそう望むなら。」
さとるはそう言って、
私がそらとつきあうことも
了承してくれた。
別れたくないという気持ちが
彼にもあって、私がそらの
相手なら自分も安心できると言うことだ。
こうして、私とさとるとそらの
3人の関係が出来上がった。
しかし、そらは納得しなかった。
二股は誠意がないと訴え、
説得するまでに時間を要した。
そらが2人と別れると
言っていたこともあった。
私とさとるは、そらを
繋ぎ止めることに必死で、
彼女の事を束縛するようになった。
愛情が度を越すと、
去られる恐怖で相手を
必要以上に拘束する。
今思えば、その成れの果てーーー
だったと思う。
私は2番手でいい。
初めから1番手になれると
思っていない。
初めてさとるを彼氏として
紹介されたのは二十歳の時だった。
不思議と藍色の嫉妬が
巻き上がってこなかった。
中性的な顔立ちで、
可愛さがある男性だった。
そらの方がどちらかと言うと、
強さがあったのかもしれない。
優しい表情のおどけた感じの
言いまわしは、どこか小動物を
イメージさせる。
そして、私にとって最も
好印象だったのが、
「そらさんの事、
まだ僕はあまり知らなくて…。
茉莉さんに教えてもらわなきゃ」
と初めてあった時に言ってきたことだ。
私とそらの関係を認めた上で
それを大切に扱ってくれる。
さとるが彼氏なら、
私は醜い嫉妬がなくて過ごせる。
それから、3人で会うことも増え、
さとると私の間にも
友だち関係が出来上がっていった。
そらのことを相談されることも
しばしばあった。
プレゼントは何が良いか?
今までの男性経験なども聞かれた。
不意に私がそらを思う気持ちに、
気付いてるのか、
私を気遣うように、
Christmasに3人で過ごす計画を
さとるの方から提案してくれた
こともある。
私はその提案を断った。
その気持ちは嬉しかったが、
親友のデートをそこまで
邪魔はしたくない。
だけど、Christmasの日の夜。
実家で過ごしながら眠る時に、
きっと今はそらはさとるに
抱かれているんだと考えると、
身が熱くなったこともある。
その時も不思議と嫉妬はなかった。
しかし、転機はやってきた。
さとるが浮気をしたのだ。
そらはショックで食事が取れなくなった。
その時もそらがどうしているか、
私に連絡が来た。
「貴方のせいでしょ!ほんと、
信じられない。どうしてくれるの!?」
私はさとるを叱咤した。
さとるは何も言えず嗚咽を
堪えていた。
貴方だから私は身をひいたのに…
そらを慰める為に会った時、
私は自分の気持ちを抑えきれなくなった。
「……私じゃ駄目?」
そらに、キスをした。
そらは一瞬困った顔していたが、
何も言わなかった。
「私だったらこんな思いはさせない。」
多分意味がわからず、
返事をしたのだろう。
「……うん。」
「私はずっとそらが好きだった。」
そらを抱きしめると、
キスを返してくれて、
笑顔で応えてくれた。
「うん。」
ーーー親友から恋人へーーー
小学四年生から想い抱いていた
ことが実現した瞬間だった。
私はそらに会うたびに、
キスをした。
ずっと抱き合いながら
時間をすごした。
だけど、そらの気持ちが
まださとるにある事も
知っていた。
キスから先に進めないのは、
その事もあったからだ。
土曜日の午前中に、
喫茶店にさとるを呼び出した。
さとるに報告すると、
あまり驚かなかった。
「茉莉ちゃんは、そんな気がしてた。
そらは…その…オッケーだったんだ?」
「うん、キスしてくれた。」
一瞬さとるは、目を瞑って
俯いたが、すぐ顔を上げてこう言った。
「それで、今日はその報告かな?」
「それもあるけど、まださとるの
事を忘れてないの。それに、私は
さとるとそらに別れてほしくない。」
さとるは意味がわからないと
首をかしげた。
「俺だって別れたくないよ。
でも2人はもう付き合ってるんでしょ?」
「うん…そらは、子どもが好きなのよ。
結婚して子どもを産んでもらいたいの。
それがあの子の昔から描いてる幸せだから。」
「………」さとるは黙っていた。
「馬鹿な事を言ってるのはわかってる。
でも、他の男性だと私耐えられないの。」
「茉莉ちゃん…それは、
そらが決める事だよ。俺だって、
そらが好きだから、そらがそう望むなら。」
さとるはそう言って、
私がそらとつきあうことも
了承してくれた。
別れたくないという気持ちが
彼にもあって、私がそらの
相手なら自分も安心できると言うことだ。
こうして、私とさとるとそらの
3人の関係が出来上がった。
しかし、そらは納得しなかった。
二股は誠意がないと訴え、
説得するまでに時間を要した。
そらが2人と別れると
言っていたこともあった。
私とさとるは、そらを
繋ぎ止めることに必死で、
彼女の事を束縛するようになった。
愛情が度を越すと、
去られる恐怖で相手を
必要以上に拘束する。
今思えば、その成れの果てーーー
だったと思う。
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