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怪物から世界を守るヒロインの最期1
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まだ色は残っているものの、シワシワになって俯く花を見つめ、私はため息をつく。
私はどうすればいいのだろう。
椅子に座り、机に突っ伏しながら、薄暗い部屋のなかで、これからのことを考えた。
花に触れて、いつもやっていたように“力”を込める。
しかし、花は元気を取り戻すことはなかった。
それは私の“力”が消えた証拠だ。
この花をくれた、カウボーイハットの男を思い浮かべる。
目の下に隈をつくりながら、無精髭の生えた口元で、胡散臭い笑みを見せる男。
でも誰よりも優しく、私たちを最も理解してくれた人で、命の危機があっても私たちに協力してくれた大人だ。
私はもう一度ため息を吐いた。
私も彼のように……ボスのように、せめて皆のサポートをしたいな。
「ナデシコ姉ちゃん、今テレバシーいい?」
いつものように音もなく部屋へ入ってきたようで、私の後ろにはアルビノの男の子、テルが立っていた。
「誰から?」
「ボス」
今考えていた人物から連絡が来たようだ。
テルの能力はテレパシーなので、盗聴不可能な電話がわりとなっている。
「繋げてちょうだい」
「うん」
テルが目を瞑った直後、頭の中にノイズが響き始める。
すぐにそのノイズは、低い男の声に変わった。
『ナデシコ、聞こえるかー? こちらシニガミだ』
シニガミと名乗る私たちのボス。
今日はなんの連絡だろう。
また、怪物が現れたのだろうか?
『こちらナデシコ。ボス、聞こえてます』
『おう。消えかけていた力の調子はどうだ?』
『……今日の朝、綺麗に消え去りました』
出来るだけ声の調子が暗くならないように気をつけながらボスに伝える。
『……そうか。今までご苦労だった。今まで危険な任務についてくれて、ありがとう。お前のお陰で沢山の人の命が救われた』
『いえ、それが私たち能力者の使命ですから』
『ナデシコは立派だな』
『ボスと比べたらまだまだですよ』
『はっはっは。俺と比べるなって』
たわいもない話をしてから、本題へと移る。
『ナデシコの力が消えかけてるっていうから、サポート組に入らないかと提案に来た。もちろん、普通の人間の生活に戻ることもできる』
『もちろんサポートに入らせてください』
『ナデシコならそう言うと思ったぜ。明日、お前に会いに行くから、すぐに引っ越せるように準備しておいてくれ』
『すぐにですか?』
『出来るだけ早く仕事を覚えて欲しいからな』
『わかりました。私もすぐに皆のサポートができるなら、文句はありません』
テレパシーが切れた後、私はテルに礼を言ってから荷物をまとめ始めた。
しかし、いつもならさっさと部屋を出て行くテルが、まだいることに気がついた。
「テル、どうしたの」
「……ナデシコ姉ちゃん、ごめんね。僕はボスを裏切れない」
「え?」
テルは泣きそうな顔をして、走って部屋から出て行ってしまった。
一体どうしたのだろう。
首を傾げながらも、私はボスと皆のために、準備を始めた。
私はどうすればいいのだろう。
椅子に座り、机に突っ伏しながら、薄暗い部屋のなかで、これからのことを考えた。
花に触れて、いつもやっていたように“力”を込める。
しかし、花は元気を取り戻すことはなかった。
それは私の“力”が消えた証拠だ。
この花をくれた、カウボーイハットの男を思い浮かべる。
目の下に隈をつくりながら、無精髭の生えた口元で、胡散臭い笑みを見せる男。
でも誰よりも優しく、私たちを最も理解してくれた人で、命の危機があっても私たちに協力してくれた大人だ。
私はもう一度ため息を吐いた。
私も彼のように……ボスのように、せめて皆のサポートをしたいな。
「ナデシコ姉ちゃん、今テレバシーいい?」
いつものように音もなく部屋へ入ってきたようで、私の後ろにはアルビノの男の子、テルが立っていた。
「誰から?」
「ボス」
今考えていた人物から連絡が来たようだ。
テルの能力はテレパシーなので、盗聴不可能な電話がわりとなっている。
「繋げてちょうだい」
「うん」
テルが目を瞑った直後、頭の中にノイズが響き始める。
すぐにそのノイズは、低い男の声に変わった。
『ナデシコ、聞こえるかー? こちらシニガミだ』
シニガミと名乗る私たちのボス。
今日はなんの連絡だろう。
また、怪物が現れたのだろうか?
『こちらナデシコ。ボス、聞こえてます』
『おう。消えかけていた力の調子はどうだ?』
『……今日の朝、綺麗に消え去りました』
出来るだけ声の調子が暗くならないように気をつけながらボスに伝える。
『……そうか。今までご苦労だった。今まで危険な任務についてくれて、ありがとう。お前のお陰で沢山の人の命が救われた』
『いえ、それが私たち能力者の使命ですから』
『ナデシコは立派だな』
『ボスと比べたらまだまだですよ』
『はっはっは。俺と比べるなって』
たわいもない話をしてから、本題へと移る。
『ナデシコの力が消えかけてるっていうから、サポート組に入らないかと提案に来た。もちろん、普通の人間の生活に戻ることもできる』
『もちろんサポートに入らせてください』
『ナデシコならそう言うと思ったぜ。明日、お前に会いに行くから、すぐに引っ越せるように準備しておいてくれ』
『すぐにですか?』
『出来るだけ早く仕事を覚えて欲しいからな』
『わかりました。私もすぐに皆のサポートができるなら、文句はありません』
テレパシーが切れた後、私はテルに礼を言ってから荷物をまとめ始めた。
しかし、いつもならさっさと部屋を出て行くテルが、まだいることに気がついた。
「テル、どうしたの」
「……ナデシコ姉ちゃん、ごめんね。僕はボスを裏切れない」
「え?」
テルは泣きそうな顔をして、走って部屋から出て行ってしまった。
一体どうしたのだろう。
首を傾げながらも、私はボスと皆のために、準備を始めた。
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