異世界無宿

ゆきねる

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第六章 ダンジョン発見

第七十一話 ゴリ押しのマスタング

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「それだと援護に間に合わない可能性が高い」

イズミが斥候のソラに言った。
俺達の移動速度はソラと比較しても明らかに遅い。

今から援護に向かっても、到着した時には全滅している可能性の方が高い。

「でも!大切な仲間なんだにゃ!」

ソラがイズミの服を握って声を上げる。
彼女にとっては、仲間を失うか否かの瀬戸際なのだ。

「お願いにゃ…」

その場にへたり込むソラを2人して落ち着かせようにも、何も解決策が出て来ない以上どうしようもない。

「マスター。何か問題がありましたか?」

マスタングからの通信が入って来た。
地下にいても魔法通信は繋がるのかと感心してしまった。

「あぁ、調査隊に問題が発生したようでな。急いで援護に向かうにも距離がある」

イズミはマスタングへ情報共有をする。

「マスターは助けたいのですか?」

「出来る事なら」

「…分かりました」

マスタングから少し間を置いて返って来た言葉に、イズミは首を傾げてしまった。

分かりました。とは?

その直後、階段の方からけたたましい轟音が響いて来た。

広場のせいで反響もあるが、これはガトリングガンの音だ。
最初は遠くから聞こえる感じだったが、どんどん近付いて来る。

階段を見ると石や土埃が舞っている。

「カレン、ソラ!階段から離れろ」

イズミが咄嗟に2人へ指示を出す。
2人はすぐに階段から距離を取った。

ガトリングガンの発砲音、爆発音、金属が擦れる嫌な音が響き渡る。
イズミは耳を塞ぎつつ階段を睨みつけた。

爆風に身体を飛ばされそうになりつつ、なんとか持ち堪えたイズミは土煙が口に入らないように服で覆い目を細める。

音が止むと先程までの爆音轟音が嘘のように静かになった広場から、土煙がゆっくりと消えてゆく。

土煙の奥で見慣れた明かりがイズミを照らす。
そこには擦り傷や凹み傷が無数にあるマスタングが居た。


「マスター。お待たせしました」


何事も無かったかのように話すマスタングに、思わず苦笑いを浮かべるイズミと、それを呆然と見ているカレンとソラ。

「皆大丈夫ですか!?」

ボロボロになった階段からガルシアが現れた。

「突然アーティファクトが動き出したかと思えば、いきなり階段に対って攻撃するもんだから、本当にビックリしたぞ!」

若干興奮気味のガルシアに対して、イズミが簡単ながら説明をする。

「どうも調査隊に問題が発生したみたいでな。これから援護に行く…てな訳でガルシア、門の見張りを頼む」

そう言ってイズミはマスタングの周りを確認する。
傷や凹みはあるが、窓ガラスやタイヤにはダメージがあるようには見えない。

「見張りって…俺は接近戦がメインで、遠距離は弓しか無いのだが」

カーブミラーが左右とも破損しているが、イズミは構うこと無くカレンとソラを手招きする。
ソラを後部座席に座らせると、カレンは助手席に乗り込む。

「マスタング、ガルシアでも使えそうな遠距離武器は出せるか?」

マスタングへ相談すると、ベコベコのトランクが開いた。
見ると剣…片手剣だろう武器が入っていた。
どちらかと言えばククリとかマチェットに近い。

「これならば対応可能です」

イズミが片手剣を手に取り、バリケードに固定していたライトを回収する。

「魔物に向かって剣を振って下さい。ウインドカッターが発動します」

飛ぶ斬撃みたいなものだろうか?
イズミは少しだけ自分も使ってみたい衝動に駆られたが、ライトと一緒にガルシアへ剣を渡した。

「だそうだ。じゃ頼んだ」

イズミはガルシアの肩を軽く叩くと、弾薬の入った布袋を後部座席へ押し込みマスタングへと乗り込んだ。

「頼んだって、もう少し説明してくれても!!」

ガルシアの声は、マスタングのエンジン音で直ぐにかき消された。
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