自称病弱の姉に婚約者を奪われたけど、もう気にしない

蒼葉

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第1章

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 何故、今までおかしいと思わなかったのだろうか。
 公爵家ウチに来ている事すら知らなかったウィリアムが婚約者であるリリアローズに挨拶しに会いにも来ず、姉ターミアの部屋へと一直線に歩いていく姿があった。
 幼い頃から公爵家ウチへよく遊びに来ていた為、公爵家ウチの使用人すら連れていない。
 当然、姉の部屋が何処で、いつ居るか、など熟知している。
 何故熟知しているのか・・・姉は自称病弱なのだ。
 だから、部屋から出ない。
 出ても庭かサロン。
 だから、今の時間はを発症して部屋に引き篭もる。
 公爵家に居る者達なら誰もが知っている事だが、何故ウィリアムが正確に知っているのか。

 ウィリアムの姿が姉の部屋へと消えたのと入れ違いに姉の侍女が出てきた。

「ミア」

「リリアローズ様⁉︎」

「・・・今、ウィリアム様がお姉様のお部屋に入って行きましたよね?」

「・・・」

 分かっている。
 彼女は『はい』とは言えないのだ。
 ウィリアムは私の婚約者なのだから。

「ごめんなさい。困らせてしまって」

「いいえ‼︎申し訳ございません・・・お止め出来ず・・・本当に申し訳・・・」

「いいのです。貴女が悪いわけではないのでしょう?」

 そう。これはきっと、私への罰なのだ。

 姉は幼い頃、本当に大病を患って生死を彷徨ったらしい。
 そんな姉を両親を始め、周りの皆んなが気を使う。
 それを私は幼い頃から見てきた。
 少しでも熱が出れば良い医者を呼び、回復すれば快気祝いにパーティーを開いてドレスや宝石をプレゼント。

 そんな姉とは正反対に、病気一つなく健康で生まれたのが私。
 転んで怪我をしても、姉の熱が下がらないと医者を姉の元へと向かわせる。
 家庭教師から出されたテストで満点を取っても、姉が倒れたからと見てもらえなかった。

 だから、一度『どうしてお姉様ばかり構うの‼︎』と喚いた事があった。
 その時も姉は熱を出していた。
 両親は病弱の姉に気も使えないのかと私を叱った。

 それから両親に期待するのを止めた。
 しても無駄だから。
 もちろん、姉にも。
 使用人達も両親の命令には逆らえず、姉の世話に掛かりきりになった為、私は自分の事は自分でするしかなかった。

 そんな私にも婚約者が出来た。
 両家両親共に仲が良く、若い頃両家に性別の違う子供が生まれたたら婚約させ、いずれ結婚・・・と約束をしていたそうで、私とウィリアムが婚約者となった。

 姉より先に婚約者が出来た私に対する罰。
 それが、今この状況だ。
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