自称病弱の姉に婚約者を奪われたけど、もう気にしない

蒼葉

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第3章

間話 非業の魔女 ③

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 次期皇帝がコレでは、先が思いやられる。
 魔女は魅了魔法を行使する為に近付いた皇太子の近い将来が心配になる。
 男が報告を上げた皇太子の性格や日常の生活、側近達との会話等を分析して好みの容姿と性格になり切って転入初日にわざと遭遇した。

 ありきたりだが、頼りなさそうな女が好みらしく登校してきた皇太子の目の前で躓いて転んでみせた。
 当然、無視をする事のない皇太子は思惑通り魔女を助け起こし、潤んだ目でお礼を告げ、はにかんで見せたら瞳の奥が少しだけ熱が孕んだ。

(青いね。この程度で惚れるとは・・・)

 内心馬鹿にしながらも第一遭遇はこの程度で終わらせた。

 次に遭遇したのは中庭で皇太子一人でいると精霊に聞いたからだ。
 突撃するのではなく、偶然を装って『あれ?』程度で終わらせるはずだった。
 しかし、意外にも呼び止めた皇太子の方から校内を案内すると言い出した。

「転入して間もないだろう?良ければ校内を案内しよう」

「ありがとうございます」

 柔らかく、儚げに・・・。
 己の正反対な性格で皇太子を翻弄するなんて、体の中からむず痒くなる。
 蕁麻疹が出そうな体調を叱咤し、演技を続けて後をついて行った。





 順調に皇太子との仲を深めて行く中、元からいた婚約者を切り捨て、皇太子は魔女をその座に据えた。
 男の作戦が進んでいく時、ふと疑問が頭の中から離れずにいた。
 しかし、思考の最中も皇太子との接触は必須となり、罪のない皇太子の元婚約者の為にも仲睦まじくする必要があった。

 そんなある日、思いもよらない事が起きた。
 学園の卒業パーティーでの最中、最近皇太子妃の授業で皇太子と会えない日々があったが、元から想いも何もない相手に費やす時間がなかった魔女はあまし気にもせずにいた。
 それでも、婚約者としての最低限の気遣いをお互いにしていた。
 パーティーで着るドレスもそうだ。
 皇族だけあって用意はされていた。
 しかし、今までとはどこか違う感じがしたが、やはり気にも留めなかった。
 
 当日、皇太子の側近が迎えに行けないから一人で先に行って欲しいと伝言を持って来た。

「わかりました」

 そう納得すると、側近の目が少しだけ侮蔑の色に染まったが、何も言わずに踵を返した。

 言われた通り時間に一人で会場入りすると、何故か静寂が訪れる。
 何事かと困惑する中、目の前には皇太子がこちらを睨みつけて向かい合っていた。

「皇太・・・」

「お前には失望した」

「え?」

 突然何を言い出すのか?

「お前が私の婚約者になった経緯を聞いた。皇族を騙すとは、感心する」

「騙す?何を根拠に・・・」

「魔女なのだそうだな」

 何故知っている?
 姿変化は完璧なはず。
 しかも、魅了魔法でそれも強化されているのだから気づかれるはずがない。
 なのに、何故⁉︎

「聖女の力がある彼女が教えてくれた」

 そう言って皇太子の後ろにいた小柄な少女が躊躇いながら姿を現したに驚愕した。

「お前が魔女で、私達に魅了魔法を行使していると警告を受けた。調べたら警告通り痕跡が見つかった・・・皇帝である父上にもだ。父上に擦り寄っていた女がお前だな?」

 何か言っている皇太子の台詞も耳に届かない。
 魔女の全神経は皇太子の後ろにいる少女に向けられていたからだ。

「魔女であるお前を放置すれば、悪用する者が現れる恐れがある。よって、生かしておくわけにもいかない。皇族への詐欺及び不敬。無許可の魔法行使。国内を混乱に陥れた罪などから、お前は絞首刑とする」

「何故だ⁉︎私は・・・」

「連れて行け‼︎」

 元々の予定に組み込まれていた様な迅速な騎士達の動きによって魔封じの首輪を嵌められ、引きずられながら会場を引っ張り出された。

 執行の日まで魔法使いを収容する牢に封じられ、魔女は孤独な時間を過ごす。
 何処で間違えた?
 言われた通り皇太子を魅了した後は、元婚約者への罪滅ぼしではないが妃教育も手を抜かなかった。
 嫁した後の事は婚儀の後にまた話す段取りになっていた為に、男との接触はなかった。
 だから、今の状況が更に困惑させる要因となっていた。





 結局、訳の分からない捕縛劇は魔女だけが取り残され、本人不在のまま裁判が終わった。
 どんな罪人も一度は裁判が開かれる。
 その理由は、罪人に申し開きの機会を与えるというのと罪人の罪を全国民に知らしめると言う二面性だった。
 申し開きの機会さえも与えられず、罪だけを曝された魔女は城外の広場で刑に処された。

(呪ってやる・・・必ず復讐しやる・・・覚えていろ・・・)

 魔女の呪いの言葉は全員の耳には届かなかった。
 しかし、確実にこの地に呪いは残ることとなった。
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