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第2章 幼年編
525 猿獣人ミックス
しおりを挟む「イタイ、イタイ、イタイ‥‥モウイヤダ、モウイヤダ、モウイヤダ‥‥もう嫌だああぁぁーーー!」
ガタガタガタガタガタガタガタ‥‥
自らの額から流れる血に動揺を隠せないでいるデーツがいたんだ。
「団長!?」
「ああチー、わかってる!」
ヤバいな。パニくってるぞデーツ(ウド)は。
「しばらく中に入ってろウド。
土遁。電話ボックスの術!」
ズズズーーッッ!
デーツを土壁の中に入れて、保護っていうか拘束したんだ。パニくって走られでもしたらたいへんだから。コイツはあとで本当に反省会だな。
「ドンドンドンッ‥‥pmgksm@!!」
「チー、1人なら大丈夫だろ。ウドは錯乱するからあとで反省会だ!」
「はい団長!」
そう言いながら手にクナイを構えて腰を落とすチー(ドン)。
「遠慮なく闘っていいぞ。但し、絶対油断するな」
「はい!じゃあ遠慮なく!」
ダッッ!
クナイ片手に後方の獣人たちに斬り込んでいくドンを片目に正面を向く俺。
「テメー、土魔法を使うのか!」
「猿、テメーも魔力を纏えるんだな」
「キッキッキッ。びっくりしたか。猿の怪力にスピードを加えたらそんじょそこらの騎士団員だって敵じゃねぇぞ」
たしかにな。オランウータンの握力は300㎏あるとかっていうもんな。軽く人の10倍はあるって。
「ふーん。てか‥‥お前憐れだな」
「な、なにをー!?」
「だってお前そこらの帝都騎士団員にも負けないんだろ。だったら騎士団に入ったらよかったのにな。
そしたら、ぜんぜん違う人生だろうに」
「う、う、うるさーい!獣人の俺の苦労がテメーになんかわかってたまるか!何もしてないのに人族から蔑まれることの辛さがテメーにわかるのかー!」
「わかんねぇよ。そうやって悪事に染まりきったテメーのことなんか。
でもな、少なくとも獣人を差別しない人間もけっこういるぞ」
「そんな奴なんかいるもんか!何も知らないテメーはこのあと手脚をもいで生き地獄を味わせてやる!キッキッキッー!」
「そうかい。じゃあ俺も遠慮なくテメーを斬らせてもらうよ。来い!」
【 狐仮面side 】
肩から両手に魔力をこめる。目にも魔力をこめて、意識を集中。気をどんどんと高めていく。
「狐仮面、テメーいったい何者だ!?」
「俺?俺はただの人族だよ」
モクモクモクモク モクモク モクモク‥‥
俺の身体からうっすらと白煙が上がり始めた。
「こ、こいつ‥‥」
焦った表情に怯えを併せて。落ち着きのなくなった獣人の男が身構えて向かってくる。
刀を上段に構える。
すううぅぅぅぅーーーっ。
すううぅぅぅぅーーーっ。
すううぅぅぅぅーーーっ。
深呼吸を2つ3つ……。目の前に広がる景色がくっきりと明瞭に見える。
ドンドンドンドンドンッ‥‥
正面の敵、猿の獣人が肩に刀を抱えて突っ込んでくるのがコマ送りのようにゆっくりと見える。
奴が刀を振り下ろそうとした、そのとき。
奴よりも速く刀を振り下ろす。
3歳から今も毎日欠かさない日課を体現するだけなんだ。
「ここっ!」
ザンッッ!
「ギャァァァァァーーーーーッッ!」
オランウータンの刀を掴む手首から肘、肩の可動域までを一直線に斬り込む。
「ウギャァァァァァーーーーッッ」
刀を持てなくなった男がパックリと開いた刀傷の腕を押さえてつっ伏したんだ。
「腕は取らないでやったからな。感謝しろよな」
「ウギャァァァァァーーーーッッ」
奴はこれでもう2度と刀を握ることはできないだろう。でもちゃんとリハビリをすればおそらく生活には支障にはならないくらいには回復するだろうな。
【 チー(ドン)side 】
俺は団長には歯が立たないけど。こんな輩の獣人たちには負けるものか。
海洋諸国5氏族が1つ、ガバス一族の次代当主筆頭の俺が何度も遅れをとるなんて有り得ない。
と言っても‥‥おそらく来年にはうちの一族もアイランド一族の傘下となるらしいんだけど。
アイランド一族の次期当主キム・アイランドさんは団長の兄貴分で団長が心から慕っているのも俺は理解している。
だから近い将来アイランド一族に下るだろうとの本国からの報告に、正直嬉しい思いもしたんだ。
だってそうなれば、俺も自由に動ける。そしたら団長について王国にだって行けるだろうから。
俺はあの日、団長に手も足も出ずに負けたときから、思ったんだ。この人について行きたいって。この人の側にいられるなら、この人と同じ夢を見られたらいいなって。
だから、こんな輩に負けるなんて、まったくあり得ない。
「「な、なんだコイツ!?」」
「「は、速い!」」
ザンッッ!
ザンッッ!
ザンッッ!
ザンッッ!
「ウッッ!」
「ガハッ!」
「グハッ!」
「ギヤッ!」
「「「コ、コイツ強えぇ!」」」
ガクンっ
ガクンっ
ガクンっ
ガクンっ
「殺されないだけ団長に感謝しろよ。団長はお前らにだって優しいからな」
「ヤバい!」
「狐仮面は恐ろしく強いぞ」
「後ろのガキも強いぞ」
「「「コイツら強すぎる!」」」
「「逃げろ!」」
「「逃げろ!」」
「「「うわぁぁぁーーーーー!」」」
あとにはオランウータンの獣人が1人残るのみだった。
「チー、加減してくれてありがとうな」
「いえ、団長こそ」
「さて、おい猿ちょっとばかり動くなよ」
「回復水!」
水にヒール(回復)に合わせた俺オリジナル魔法をオランウータンの血まみれの右腕にかける。
シユユュュューーーッッ
獣人の腕からあっという間に血も止まったんだ。
「な、な、なにが起こった‥‥?」
「おい猿、今度だけは許してやるよ。でもな、次会ったとき‥‥悪事をやめてないなら‥‥遠慮なく殺す」
「う、う、うわああぁぁーーーっ!」
脱兎のように逃げていくオランウータンの獣人だった。
「団長いいんですか?」
「1回は改心するチャンスもあげなきゃな。って俺も思い上がってるかな?」
「いえ、団長らしいです。てか団長、アイツの魔力覚えたんですよね?」
「うん。もうどこにいこうが近づいたらわかるよ」
「団長すごいです」
「てかチー、お前もこれから修行でそんくらいはできるようになってもらわなきゃな」
「はい!」
「グランドでのチーの師匠はマル爺っていうドワーフだからな。すごいんだぜマル爺は‥‥」
そんなことを言いながら港に向かって歩き出したんだ。
「団長?」
「ん?どしたのチー?」
「ウドさん忘れてます‥‥」
「あっ?!ホントだ!」
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