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第4話 エルフの村
地震
しおりを挟むそうしている間にも荷物を積んだ荷車を押して避難してきたエルフの民がやって来る。
「明日……いや、もう今日、地震が来ますからね。荷物は広場の真ん中に集めておきましょう。それと建てるのも地震が終わってからです。まずはどこに誰が住むのか縄張りを決めましょう」
とイツキは次々にエルフたちに指示を与えた。
クルスは
「地震はそんなに大きくはないんですか?」
と尋ねた。
「この辺は揺れるだろうけど、都はそれほどでもないでしょう。だから宮殿は安全だと思う。万が一の事もあったのでシラネに近衛兵と神官には伝えるように言ったけどね」
「それは伺っております」
クルスはそう答えた。
「それにしてもクルス君に会うのも久しぶりですね」
イツキは懐かしそうにクルスに笑いかけた。
「はい。ご無沙汰しております。教練以来です」
「ああ、そうでした。ギルドの教練がありましたね。あれ以来ですか……」
この街のギルドは都の中心にあるギルドだけあって、色々と手厚いイベントがある。
その中で職業訓練……それも冒険者向けの教練をたびたび行う。
その教官の1人がイツキであった。
「教官は5大陸を全て制覇したって本当ですか?」
「それは本当ですよ。でも教官と呼ぶのは止めてくださいね。もう違いますから」
「あ、済みません。でも本当だったんですね」
クルスは謝りながらも、イツキを仰ぎ見た。
「ええ。それしか能が無かったですから」
イツキは苦笑いしながら答えた。
「ま、後は運が良かったので生き延びただけですね」
「そんな事はないでしょうけど……あ、そう言えばうちの団長もイツキさんの教練を受けた事があるんですね」
「まあ、あれは僕の教え子みたいなもんですからね」
「そうなんですかぁ」
クルスはいつか一度イツキに手ほどきを受けたいと思っていた。
「ところで、ヨッシーはクルス君のところに居るのですか?」
「はい。居ますよ。頑張ってますよ。呼びましょうか?」
「いえいえ。それには及びません。彼が頑張っているのが分かればそれで良いですよ」
「あ、そうかぁ。ヨッシーはイツキさんが連れてきたんでしたね」
「そうです。シラネにお願いしました。そうですか頑張っていますか……それは良かった」
イツキはクルスの話を聞くと安心して笑みがこぼれた。
疲れきった村人たちは広場のたき火を囲むように眠り、その周りをクルスたちの部隊が見守った。
そして昼前にその地震はやってきた。
一瞬、横に揺れたかと思うと、上下に激しい揺れがやって来た。
今まで何度も魔獣や魔王やラスボスと戦ってきたが、これほど地面が揺れた経験はイツキも無かった。
イツキは本当に世界の果てでラスボスとの戦いが始まったような気がした。それほど激しい揺れだった。
揺れは十数秒続いた後に止まった。
それは今まで経験したことがないほど長く感じられた十数秒だった。
そして遠くで雷が鳴っているような音が響いた。
その音を聞いたここに居る全てのエルフが、自分たちの故郷が今この世から消えた事を知った。
皆、泣いていた。
声を殺して泣く者、大きな声で泣く者、あるいは歯を食いしばって我慢している者、表現は違えど思いはみな一緒だった。
「村長、見に行きますか?」
「そうだな。見届けねばなるまい」
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