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第6話 アサシン
ギルマス
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朝からイツキはデスクを前に深々と椅子に座り、寝ぼけた様な顔でボーと無の境地に浸っていた。
それは何か考え事をしていると見えなくも無かったが残念ながらそうではなく、ただ単に昨晩遅くまで酒を飲んでいて、二日酔いで頭が回っていなかっただけだった。
そう、昨晩の事だ。
昨日、イツキはいつになく遅くまで仕事をしていた。
ギルド長……このギルドではギルドマスターと呼ばれているが……に、イツキもこのギルドの専属キャリアコンサルタントという事で、月に一回は報告書を提出しなければならなかった。
それを書いていたら思わぬ時間がかかり、気が付いたらすっかり陽が落ちてしまっていた。
「きりがないな……」
イツキはペンをペン皿に置き、背もたれに体を預けて脱力した。
「ふぅ、今日はこれぐらいにしておこうか……」
そう呟くとイツキは立ち上がって部屋の明かりを消して部屋を出た。そしてギルド内のレストランで遅めの夕食をとる事にした。
受付の前を通ったがもう誰も居なかった。夜も遅い時間だ。受付時間はもう終了している。
「マーサも帰ったか……」
もしマーサがまだ居れば食事に付き合ってもらおうと思っていたのだが、マーサは既に帰ったようだ。
イツキはギルドのレストランでワインとパンとビーフシチューを注文した。
イツキはこのレストランのビーフシチューが大のお気に入りだ。多分この世界では、これに限って言えばこのレストランが一番美味いと思っている。
なので、大抵このレストランで夕食をとる時は、ビーフシチューを注文している。
レストランは思った以上に空いていた。
――こんな時間じゃ誰もいないか……――
イツキは他人の目も気にせずにテーブルの上にギルド新聞を広げながら食事をしてた。しばらく経った時、向かいの席に誰かが座った気配がした。
イツキが顔を上げて見るとそこにはギルドマスターのヘンリー・ギルマンが座っていた。
「ここ、良いかな?」
とヘンリーはイツキに聞いてきた。
「どうぞ」
イツキは見上げながら応えた。
「今日は遅いね。仕事?」
とヘンリーが尋ねた。
「そうですよ。誰かさんに出す書類を書いてました」
「それは結構結構」
とヘンリーは笑いながら応えた
そして
「ところで、この前、『魔王になりたい』って奴が来たんだって?」
とイツキに聞いた。
「情報が回るのが早いですね……そうですよ。来ましたよ。あほな貴族が……」
「貴族だったのか……」
因みにギルドマスターのヘンリー・ギルマンも貴族である。
「ええ。スチュワート伯のヒキニートなバカ息子が来ましたよ」
――ヘンリーは何か話があるみたいだな。新聞は家に帰ってから読むか――
とイツキは新聞を脇へ片付けた。
「ほほぉ、スチュワート伯かぁ……伯も大変だな……それで、なんて応えたの?」
とヘンリーは興味津々で聞いてきた。
「う~ん。あまりにもバカバカしすぎて追い返そうかとも思いましたが、『魔王になる前に魔人とか魔獣で修行しなくちゃいけない』って適当に応えておきましたけどね。そもそもうちに『魔王』って職種はうちにないでしょう?」
「ないな」
ヘンリーは笑いながら頷いた。
「まあ、その『修行が必要だ』で心が折れていた様だったので、それ以上は話が進みませんでしたけど、『どうしても魔王になりたい』って諦めの悪い事を言ったら、ロンタイルの魔王に宅急便で送りつけてやろうかと思ってましたよ」
「ははは、それは良いアイデアだ」
とヘンリーは声をあげて笑い、相槌を打った。
「ま、八つ裂きにされるのがオチでしょうけど」
そういうとイツキはグラスを手にしワインを一口飲んだ。
「だな」
ヘンリーはニコニコして聞いている。なんだか今日は機嫌が良い様だ。何か良い事でもあったのだろうか?
「結局、その時は吟遊詩人で落ち着きましたけど……どうしたんですか? そんな与太話をするなんて」
とイツキは怪訝な表情を浮かべながらヘンリーに聞いた。
それは何か考え事をしていると見えなくも無かったが残念ながらそうではなく、ただ単に昨晩遅くまで酒を飲んでいて、二日酔いで頭が回っていなかっただけだった。
そう、昨晩の事だ。
昨日、イツキはいつになく遅くまで仕事をしていた。
ギルド長……このギルドではギルドマスターと呼ばれているが……に、イツキもこのギルドの専属キャリアコンサルタントという事で、月に一回は報告書を提出しなければならなかった。
それを書いていたら思わぬ時間がかかり、気が付いたらすっかり陽が落ちてしまっていた。
「きりがないな……」
イツキはペンをペン皿に置き、背もたれに体を預けて脱力した。
「ふぅ、今日はこれぐらいにしておこうか……」
そう呟くとイツキは立ち上がって部屋の明かりを消して部屋を出た。そしてギルド内のレストランで遅めの夕食をとる事にした。
受付の前を通ったがもう誰も居なかった。夜も遅い時間だ。受付時間はもう終了している。
「マーサも帰ったか……」
もしマーサがまだ居れば食事に付き合ってもらおうと思っていたのだが、マーサは既に帰ったようだ。
イツキはギルドのレストランでワインとパンとビーフシチューを注文した。
イツキはこのレストランのビーフシチューが大のお気に入りだ。多分この世界では、これに限って言えばこのレストランが一番美味いと思っている。
なので、大抵このレストランで夕食をとる時は、ビーフシチューを注文している。
レストランは思った以上に空いていた。
――こんな時間じゃ誰もいないか……――
イツキは他人の目も気にせずにテーブルの上にギルド新聞を広げながら食事をしてた。しばらく経った時、向かいの席に誰かが座った気配がした。
イツキが顔を上げて見るとそこにはギルドマスターのヘンリー・ギルマンが座っていた。
「ここ、良いかな?」
とヘンリーはイツキに聞いてきた。
「どうぞ」
イツキは見上げながら応えた。
「今日は遅いね。仕事?」
とヘンリーが尋ねた。
「そうですよ。誰かさんに出す書類を書いてました」
「それは結構結構」
とヘンリーは笑いながら応えた
そして
「ところで、この前、『魔王になりたい』って奴が来たんだって?」
とイツキに聞いた。
「情報が回るのが早いですね……そうですよ。来ましたよ。あほな貴族が……」
「貴族だったのか……」
因みにギルドマスターのヘンリー・ギルマンも貴族である。
「ええ。スチュワート伯のヒキニートなバカ息子が来ましたよ」
――ヘンリーは何か話があるみたいだな。新聞は家に帰ってから読むか――
とイツキは新聞を脇へ片付けた。
「ほほぉ、スチュワート伯かぁ……伯も大変だな……それで、なんて応えたの?」
とヘンリーは興味津々で聞いてきた。
「う~ん。あまりにもバカバカしすぎて追い返そうかとも思いましたが、『魔王になる前に魔人とか魔獣で修行しなくちゃいけない』って適当に応えておきましたけどね。そもそもうちに『魔王』って職種はうちにないでしょう?」
「ないな」
ヘンリーは笑いながら頷いた。
「まあ、その『修行が必要だ』で心が折れていた様だったので、それ以上は話が進みませんでしたけど、『どうしても魔王になりたい』って諦めの悪い事を言ったら、ロンタイルの魔王に宅急便で送りつけてやろうかと思ってましたよ」
「ははは、それは良いアイデアだ」
とヘンリーは声をあげて笑い、相槌を打った。
「ま、八つ裂きにされるのがオチでしょうけど」
そういうとイツキはグラスを手にしワインを一口飲んだ。
「だな」
ヘンリーはニコニコして聞いている。なんだか今日は機嫌が良い様だ。何か良い事でもあったのだろうか?
「結局、その時は吟遊詩人で落ち着きましたけど……どうしたんですか? そんな与太話をするなんて」
とイツキは怪訝な表情を浮かべながらヘンリーに聞いた。
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