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第11話 酔っぱらい軍団
ギルドのレストラン その2
しおりを挟む「絶対に赤ワインも冷えていた方が美味いと思うんだけどなぁ…お前はどう思う?」
とイツキはカツヤに同意を求めるように聞いた。
「俺はどっちでもええけど、確かに冷えた赤ワインも美味い。特にこの季節は冷たい方が美味いな」
とカツヤはどうでも良さげに答えた。
「そうだろ? 何故俺は赤を常温でしか飲まないのか分からん」
「それはお前が本当のワインの味を知らんからとちゃうんか?」
「そうなのかな?」
「さあ?。適当に言うただけや。」
と言うとカツヤはグラスのワインを飲み干した。
「相変わらず、いい加減な奴だな」
と笑いながらイツキはカツヤのグラスにワインを注いだ。
「まあな。それが売りで今までやって来たからな」
カツヤも笑ってグラスをイツキの前に差し出していた。
こうやってバカ話を二人がするのも五年振りぐらいだろうか?
かつてこのニ人は……と言うか彼らのパーティは、この国で最強のパーティとまで言われるまでになった。そんなパーティの前衛を任されていた二人だった。
「そう言えば、アルは今、皇子様とバルドー峡谷に行っているよ」
イツキはカツヤのグラスにワインを注いだ後、自分のグラスにワインを注ぎながらカツヤに教えた。
「そうなんや。あいつ一回そこに行っているやろ? 行ってなかったけ?」
「さあ? 俺は何回か行ったけどな」
イツキは少し自慢げに話した。
「そうなん? あそこの魔王ってパゾラやっけ?」
その自慢には全く気付かずにカツキは話を続けた。
「そうだよ。熱風の魔王。自分では熱砂の魔王と言っていたが、どっちでも良いわ」
「なんで何回もパゾラを成敗したんや?」
カツヤはそれでも、イツキの聞いてほしそうな顔を無視するのも可哀想なので聞いてあげる事にした。
彼は基本的にイツキには甘い。
「いや、新人クラスを連れて行くにはちょうどいい感じだったのと、あそこの夫婦、案外面白いだろう?」
聞かれたら聞かれたでそれほど膨らむ話でもなかったので、イツキはそれなりに話題を探しながらカツヤに応えた。
「まあな。嫁さんに頭が上がらん魔王だろう?」
「そうそう。あそこは仲が良いのか悪いのか分からんが、よくケンカしてるな」
魔王にも色々と家庭内の事情があり、そこは人間界のそれと変わる事は無かった。
二人にとっては戦うべき相手だが、戦う度に色々と相手の事情も分かり同情さえ生まれる。
そこへ、さっきワインを持ってきたマリアが料理を持ってきた。
「お待たせしました。イツキさん」
マリアは素早く二人分の料理をテーブルに並べた。
「おお、美味そうだ。腹が減っていたんだよ」
イツキはお預けを食らっていた犬のように喜んだ。
料理はサラダとワインで煮込んだ鳥のモモ肉。トマトとチーズのカプレーゼ。それとブレッドはイタリアのフォカッチャに似たものだった。
「この料理が元居た世界で出てきたら地中海料理かイタ飯だな」
とイツキはフォカッチャに手を伸ばして言った。
「間違いないな。本当に似たような国は似たような料理になるんやな」
とカツヤも同意見だった。
「このカプレーゼはワインに合うな」
このニ人の会話を傍で聞いたら、最強の冒険者と言われる者たちの会話とも思われない。単なるグルメで酒飲みの会話にしか聞こえない。
その二人に後ろから忍び寄る二つの影があった。
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