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第11話 酔っぱらい軍団
マザーハニー
しおりを挟む「それができればね」
とイツキはワイングラスを一気に空けた。
それを見たアンナも同じようにグラスを空けた。
「おら! 注がんかい!」
と一気に目が座った状態でアシュリーにグラスを突き出した。
アシュリーはアンナのグラスにワインを注ぎながら、カツヤに向かって『それは聞くな!』と目くばせをしたが遅かった。
「ママは僕らのパーティーの後、他のパーティーに参加して亡くなった」
とイツキが言った。
「あ、そうなんや……悪いな、余計なことを聞いて」
とカツヤは慌てて謝った。
冒険者によくありがちな話だったが、酒の勢いも手伝ってかカツヤはそこまで思いが及んでいなかった。
「いや、良いよ。久しぶりにママの事を思い出せて良かった」
とイツキはあえて笑顔を見せながら言った。
「そうよねえ。冒険者の心得の全てはママに教わったわ。そのママが逝ってしまうなんて。知らせを聞いた時は信じられなかったわ」
アンナは視線を天井に移して、思い出すように話をした。
事実、思い出は沢山湧いて出た。このまま全てを思い出すと声が涙で震えそうになるので、これ以上考えるのを止めた。それでも天井を見ていないと涙が零れそうだった。
「そのママはどっかの魔王に倒されたの?」
カツヤは聞いた。
「確か森の中で出てきた魔獣にやられたとか……素人冒険者を庇ってやられたって聞いたけど」
アンナは応えた。
「俺もそう聞いた」
イツキもアンナと同じようにママの思い出に浸っていた。
イツキに戦い方や戦う相手の見分け方、パーティを組む時の駆け引きなど、色々と教えてくれたのもママだった。
そんな事が一杯イツキの脳裏に浮かんでは消えた。
――また会いたいなぁ――
これがイツキの偽ざる本音だった。
「湿っぽくなったな。今日はこの話は止めよう。今日はアシュレーとアンナの話を聞こう」
とイツキは話題を変えた。
そもそもの二人の馴れ初めはイツキとのパーティーで同じ仲間として冒険の旅に出た事だが、付き合うきっかけになったのはオーフェンとの戦いだった……と二人は白状させられた。
その当時、無敗の魔王と言えばオーフェンの事を指していた。
それほどオーフェンは強かったし負けなかった。
そこへイツキ達のパーティがやって来た。
面子はイツキ(竜騎士)、アシュレー(騎士)、アルカイル(戦士)、アンナ(白魔道剣士)、カツヤ(剣士)、レイラ(魔道士)、ローラ(白魔道士)の七人。
その当時最強の七人と言われたパーティだった。
最強と言われたパーティだったが何度も危うくなり、アシュレーは二回ほどご臨終になったが、その都度アンナとローラの魔法に助けられた。
そして最後に全員ほとんど体力も残っていない状態でオーフェンを倒した。
最後の一太刀を浴びせたのはイツキだった。
終わった瞬間、全員、立つ事もできずその場にへたれ込んで泣いた。勝ったことの喜びよりも生き残った事の安堵感を全身で実感した。
いや、イツキだけは立っていた。最後の一太刀を浴びせた場所で立ちすくんでいただけなのだが、その姿は他のメンバーからは眩しく神々しくもさえ見えた。
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