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第12話 アンバランスド・パーティ
間者
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「あ~お腹空いたぁ。もう、いつも先に食って飲んでいるんだからぁ」
とナリスは笑いながら席に座った。
グレースが
「お疲れ様」
と言いながらナリスとスチュワートのグラスにワインを注いだ。
注ぎながら
「あれ? スチュー? また花束増えていない?」
とスチュワートに聞いた。
「あ、はぁ」
と遠慮がちにスチュワートは応えた。
「でしょう? 今日は五つも花束貰っているのよ。凄いでしょう」
ナリスが誇らしげに胸を張った。
「あんたが威張らなくてもいいよ」
とグレースが笑いながら言った。
そして続けてナリスに
「でも、この頃、スチュー目当てのお客さんも来ているみたいね」
と聞いた。
「そうそう、舞台から見ていても分かるわ。そろそろスチューもソロで舞台上がってみる?」
とナリスはそう言ってスチュワートに話しかけた。
「いえいえ。とんでもない。そんな事したら僕は死んでひまいます」
と激しく首を振った。
それを見て皆が笑った。
スチュワートも、一日一日成長しているのは誰の目から見ても明らかだったが、唯一分かっていないのが当の本人だった。
その夜遅く、リチャードの寝室の前にたたずむ男が居た。
男はドアのノブに手を掛け、音もなくカギをこじ開けて中に入った。
男はリチャードが寝ているベッドの横に膝間付き、声を掛けた。
「殿下、まだお目覚めでございますか?」
「うむ。その声は、ケントか?」
「やはりお目覚めでしたか。はい。ケントです」
リチャードはゆっくりとベッドから身体を起こした。
ケントはリチャードとは幼なじみで、そのまま王宮の皇太子付き間者としてリチャードの護衛を主な任務として就いていた。
こうやってリチャードが旅をする時は、陰に隠れて護衛する事もあったが、ほとんどの場合リチャードと王宮の連絡員として王宮に残っていた。
「王宮で何かあったのか?」
とリチャードは聞いた。
「はい。この度、ナロワ国を盟主とする連合王国がテミン王国そしてカラク王国の三国でまとまりました」
「何? それはまことか? 急な事だな」
とリチャードは驚きを隠さずに聞き返した。
「はい。カラク王国の申し出で決まりました」
「セオドル国王がか……良く決めたもんだな」
「アルカリ帝国の動きに不穏なものを感じた故に……との事でございます」
ケントはロンタイル三国のこれまでの経緯を語った。同時にアルカリ帝国との関係も語った。
ケントの話を要約すると、アルカリ帝国とはロンタイル大陸の南に位置する、この世界で二番目に大きな大陸アウトロ大陸をほぼ全土手中に収めた大国である。その大国の動きに脅威を感じたロンタイル三国がここで同盟を結んだという事だった。
「アルカリ帝国が原因か……で、父上は何か申しておったか?」
「は、『丁度良い。その眼で帝国をちゃんと見てこい』と仰せになっておりました」
「成る程な。様子を探って来いとな」
「は。言葉通り自分の目で確かめろという事でしょう」
「分かった。自分の目で噂の真相を確かめよう。で、お主はこれからどうする?」
「私はこのまま帝国に潜入します」
とケントは言って頭を下げた。
「分かった。だが、気をつけろよ」
「は! 心得ておきます。でも、そんなヘマは致しません」
とケントは自信たっぷりに応えた。
「そうかぁ? 後ろを見て見よ」
リチャードは薄笑いを浮かべてケントに言った。
ケントはそう言われて振り向いた。その瞬間、彼は息を飲んだ。
とナリスは笑いながら席に座った。
グレースが
「お疲れ様」
と言いながらナリスとスチュワートのグラスにワインを注いだ。
注ぎながら
「あれ? スチュー? また花束増えていない?」
とスチュワートに聞いた。
「あ、はぁ」
と遠慮がちにスチュワートは応えた。
「でしょう? 今日は五つも花束貰っているのよ。凄いでしょう」
ナリスが誇らしげに胸を張った。
「あんたが威張らなくてもいいよ」
とグレースが笑いながら言った。
そして続けてナリスに
「でも、この頃、スチュー目当てのお客さんも来ているみたいね」
と聞いた。
「そうそう、舞台から見ていても分かるわ。そろそろスチューもソロで舞台上がってみる?」
とナリスはそう言ってスチュワートに話しかけた。
「いえいえ。とんでもない。そんな事したら僕は死んでひまいます」
と激しく首を振った。
それを見て皆が笑った。
スチュワートも、一日一日成長しているのは誰の目から見ても明らかだったが、唯一分かっていないのが当の本人だった。
その夜遅く、リチャードの寝室の前にたたずむ男が居た。
男はドアのノブに手を掛け、音もなくカギをこじ開けて中に入った。
男はリチャードが寝ているベッドの横に膝間付き、声を掛けた。
「殿下、まだお目覚めでございますか?」
「うむ。その声は、ケントか?」
「やはりお目覚めでしたか。はい。ケントです」
リチャードはゆっくりとベッドから身体を起こした。
ケントはリチャードとは幼なじみで、そのまま王宮の皇太子付き間者としてリチャードの護衛を主な任務として就いていた。
こうやってリチャードが旅をする時は、陰に隠れて護衛する事もあったが、ほとんどの場合リチャードと王宮の連絡員として王宮に残っていた。
「王宮で何かあったのか?」
とリチャードは聞いた。
「はい。この度、ナロワ国を盟主とする連合王国がテミン王国そしてカラク王国の三国でまとまりました」
「何? それはまことか? 急な事だな」
とリチャードは驚きを隠さずに聞き返した。
「はい。カラク王国の申し出で決まりました」
「セオドル国王がか……良く決めたもんだな」
「アルカリ帝国の動きに不穏なものを感じた故に……との事でございます」
ケントはロンタイル三国のこれまでの経緯を語った。同時にアルカリ帝国との関係も語った。
ケントの話を要約すると、アルカリ帝国とはロンタイル大陸の南に位置する、この世界で二番目に大きな大陸アウトロ大陸をほぼ全土手中に収めた大国である。その大国の動きに脅威を感じたロンタイル三国がここで同盟を結んだという事だった。
「アルカリ帝国が原因か……で、父上は何か申しておったか?」
「は、『丁度良い。その眼で帝国をちゃんと見てこい』と仰せになっておりました」
「成る程な。様子を探って来いとな」
「は。言葉通り自分の目で確かめろという事でしょう」
「分かった。自分の目で噂の真相を確かめよう。で、お主はこれからどうする?」
「私はこのまま帝国に潜入します」
とケントは言って頭を下げた。
「分かった。だが、気をつけろよ」
「は! 心得ておきます。でも、そんなヘマは致しません」
とケントは自信たっぷりに応えた。
「そうかぁ? 後ろを見て見よ」
リチャードは薄笑いを浮かべてケントに言った。
ケントはそう言われて振り向いた。その瞬間、彼は息を飲んだ。
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