皇女殿下の飛空艇~皇女殿下は鬼畜な艇長にしごかれています~

うにおいくら

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第二章 皇女様の飛空艇

腹を括る

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 誰もクロード達の事を知らない。知っていたところでそんな些細な事は視野にさえ入らない。
要するにモルタリア帝国の皇女殿下が乗り込んだのが世界最強の航空戦艦であり、彼女が行くところその戦艦がいつもその傍にあるという事だった

――誰がどう見ても肩入れしているようにしか見えないのか……――


 今までそういう勘繰りを避けるために、フレデリック三世が帝位に就くとシバたちは敢えて彼との距離を取るようにしたし、フレデリック三世もそれを理解してシバたちとの接触をなるべく避けるようにしていた。
それを自らの手で無駄にしてしまっていた事に、カタリーナに指摘されるまで気が付いていなかった。

――迂闊うかつだった――

とシバは心の中で反省した。


「お前も腹を括る時が来たのかもしれぬ。いい機会だ」
カタリーナはそう言ってシバの肩に手を置くと、かすかな笑顔を見せて乗艦した。

――皇女殿下の飛空艇か……それも有りかもしれないな。でもお抱え運転手呼ばわりは納得できんぞ!――

とシバもこの機会を前向きに捉える事にした。
その時、シバにソフィアが声を掛けた。

「私の我儘わがままでご迷惑をおかけしてしまったようで申し訳ありません」
と頭を下げた。

「なんだ……まだ乗っていなかったのか……気にするな」
とシバはソフィアを安心させようと笑顔を見せて言った。

「でも……」

「ソフィアをメンバーに入れたいと言ったのはクロードだ。そしてこのふねへの乗艦を許したのは俺だ。それだけだ。ソフィアが気に病むことはない」

「しかし……」

「皇女殿下の飛空艇……良いじゃないか、それで」

「本当にそれで良いんですか?」

「ま、もう少しこの世界で穏便に過ごしていきたいと思っていたけどね。しかし、このおかげでこれからはフェリーともおおっぴらに会えるからな」
とシバはサバサバとした表情を見せて言った。どうやら彼も踏ん切りがついたようだ。

「そっかぁ……そうですよね」

「だから、ソフィアも気に病むな」

「はい。分かりました。お言葉に甘えて、もう余計な事は考えません」

「そうそう。『さくら』はいつもの調子で頑張れ!」
とシバはソフィアの前世での名前で呼んだ。

「はい。柴崎さん」
とソフィアもシバの事を前世の名前で呼び返した。

「久しぶりにその名前で呼ばれても、あんまり違和感を感じないもんだなぁ……」
とシバは意外そうに言った。今ではアキトでさえシバの過去の名前で呼ぶことは無い。それなのに思った以上に違和感もなく自然に感じていたのがシバ自身、驚きだった。

「実は私もそうなんです」
とソフィアは笑った。


「ところでシバ艇長、良いですか?」
とソフィアは改まって切り出した。

「なに?」
ソフィアは
「父も今日のこの事は知っていたのですよね」
とシバを軽くにらみながら聞いた。

「もちろん」

「なんだか、私だけ仲間外れにされた気分です」
とソフィアは愚痴った。

「ま、大人の都合だからね。心配しなくてもこれからどんどん首を突っ込むことになるよ」

「そうなんですか……」

「ま、苦情はこの艇の貴賓室でふんぞり返っているどっかの皇帝陛下に直接言ったら?」

「え? 父上もこの艇に?」
とソフィアの顔が一気に明るくなった。

「乗ってるよ。あのオッサンはこういう揉め事が大好きだからな。自分では何もしないくせに」
と諦め顔でシバは言った。

「重ね重ね親子でご面倒をおかけします」
とソフィアは慌てて頭を下げた。でも表情はとても嬉しそうだった。

「行っておいでよ。お父上が首を長くしてお待ちしております。皇女殿下」
とシバは笑った。

「はい。行ってまいります」
とソフィアは飛空艇に飛び乗ると貴賓室に向かった。

 シバが飛空艇の周りを一度確認してから乗り込むとアキトが
「お疲れさん」
と声を掛けた。

「ふん。これからが大変だ」
とシバは苦笑いを浮かべて操縦席へと向かった。

「カーゴドアを閉めよ。離陸するぞ!」
とアキトが叫んだ。

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