羊を数え続けて

カイエ・アイセ

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 僕は、思慮に欠けた人間だ。友達との約束を破っても、それをどこか仕方がないことだと思っている。約束を破って当然だと思っているのだ。同じように、自分に忠実にも生きていないことを仕方がないことだと思っている。それに、卑怯な人間だ。誰がどう考えたって、仕事を止めて僕と一緒にまたゲームを創って欲しいなんて、羊に言えるわけがない。そして、そうやって自分のことを責めることができている自分に、どこか安心感を覚えてしまっている。本当に、本当に、どうしようもない人間だ。どこにでもいる、どうしようもない人間だ。最も軽蔑する大人に僕はなっていた。
 僕の脳にはだいぶアルコールが回っていたけれど、日はまだ暮れていなかった。久しぶりに夕日を見た気がした。あんなに、色は濃かっただろうか。僕の知っている夕日はもっと色が薄かったはずだ。こんなにも、心惹かれる景色ではなかった。
 これが歳を取るということなのだろうか。
 チリチリんと、不快な音がした。ものすごい勢いで自転車が僕のすぐ横を通り過ぎた。
 僕は、自宅に向って歩いた。
 子供達は、まだ公園で遊んでいる。
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