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#9 眷属とはそして詐欺師とは
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なんでもマスター曰く、悪魔の世界は弱肉強食が世の常であり、人間のように弱者を労わることはないのだそうです。弱きものを助けるヒーローはちゃんちゃらおかしいと笑っていました。
ですので、悪魔となった私も郷に入っては郷に従えということなわけです。
「貴様が戦っている間我はここで寝る」
マスターは桜の木の下に横になると、頭の後ろで手を組んで早速寝てしまいました。残された私はマスターの命令を反故にするわけにもいかないので、気の進まないまま瓶の蓋を開けました。
すると、瓶の中の小鳥もといインプがぴょんと飛び出し、私の手に乗って体を震わせます。
「はあーようやく出られたぜ、クソがッ!」
「え? え?」
「何鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしてんだガキ!」
「だってそんな……」
そんな口調だとは思わないじゃないですか! こんな可愛らしい姿なのに!
って、騙されてはいけません。私は慌てて眼鏡をかけ直しました。
これで口調と見た目のギャップが埋まります。
「何見てんだっつてんだよダボ! お前の耳は飾りか?」
「ちゃ、ちゃんと聞こえています!」
「授業だか何だか知らねえが、俺様がお前のダシにされてたまるかよ。さっさとこんな所からおさらばさせてもらうぜ」
「でも授業が……!」
「付き合ってられっか!」
そう言うとインプは蝙蝠の翼を広げてパタパタと飛んでいき……見えない壁にぶつかって戻ってきました。
「おい! あそこで寝ている奴に障壁を解けと言ってこいクソ野郎!」
「自分で言えばいいじゃないですか。それに私はクソ野郎じゃないんですけど」
「言えるわけねえだろ! あいつはマリッドだ、俺様のようなインプなんて一捻りで潰されちまう!」
「駄目です。だって私、マスターにあなたを倒すように言われているんです。そして、『悪魔の目』を会得するのです」
「マスター? あいつが? おいおい、嘘だろ……」
突然インプが膝から崩れ落ちました。
「どうしたんです?」
「お前、もしやしてあいつの眷属か?」
「はい、私はマスターの眷属です」
「おいおい、ふざけんなよ。マリッドが眷属をつくるなんて聞いたこともねえ」
「そうですか? 悪魔は普通眷属を作りたがると学びましたが」
「それはイフリートまでの話だ。マリッドを普通に当てはめるな。あいつらはすべてにおいて規格外なんだからな」
確かに言われてみれば、私が暗記した『悪魔大全』の『悪魔の眷属』という項目で、イフリートまでの眷属についての解説は載っていましたが、私のようなマリッドの眷属については載っていませんでした。
「事情が変わった。不本意だがお前に協力してやる」
「私に倒されるってことですか?」
それは好都合です。できることなら、これからも力で捻じ伏せるやり方ではなく、このようなやり方で行きたいのですが。
「違う! 俺様がインプ共を倒すサポートをしてやるってことだよ」
「え?」
「お前、気が付いていないのか?」
「何にです? インプならあなたがそうじゃないですか」
「ここにいるのが俺様だけだと思ったら大間違いだ。ここにはそれこそ『犇めく』と言っていいくらいのインプ共がいる」
ハッとして目を凝らしてみると、桜の木の上に何やら小さい生き物が無数に跳ねているではありませんか。
「……」
思い返してみれば、マスターはインプを倒せと言っていましたが、数まで指定していませんでした。
ですので、悪魔となった私も郷に入っては郷に従えということなわけです。
「貴様が戦っている間我はここで寝る」
マスターは桜の木の下に横になると、頭の後ろで手を組んで早速寝てしまいました。残された私はマスターの命令を反故にするわけにもいかないので、気の進まないまま瓶の蓋を開けました。
すると、瓶の中の小鳥もといインプがぴょんと飛び出し、私の手に乗って体を震わせます。
「はあーようやく出られたぜ、クソがッ!」
「え? え?」
「何鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしてんだガキ!」
「だってそんな……」
そんな口調だとは思わないじゃないですか! こんな可愛らしい姿なのに!
って、騙されてはいけません。私は慌てて眼鏡をかけ直しました。
これで口調と見た目のギャップが埋まります。
「何見てんだっつてんだよダボ! お前の耳は飾りか?」
「ちゃ、ちゃんと聞こえています!」
「授業だか何だか知らねえが、俺様がお前のダシにされてたまるかよ。さっさとこんな所からおさらばさせてもらうぜ」
「でも授業が……!」
「付き合ってられっか!」
そう言うとインプは蝙蝠の翼を広げてパタパタと飛んでいき……見えない壁にぶつかって戻ってきました。
「おい! あそこで寝ている奴に障壁を解けと言ってこいクソ野郎!」
「自分で言えばいいじゃないですか。それに私はクソ野郎じゃないんですけど」
「言えるわけねえだろ! あいつはマリッドだ、俺様のようなインプなんて一捻りで潰されちまう!」
「駄目です。だって私、マスターにあなたを倒すように言われているんです。そして、『悪魔の目』を会得するのです」
「マスター? あいつが? おいおい、嘘だろ……」
突然インプが膝から崩れ落ちました。
「どうしたんです?」
「お前、もしやしてあいつの眷属か?」
「はい、私はマスターの眷属です」
「おいおい、ふざけんなよ。マリッドが眷属をつくるなんて聞いたこともねえ」
「そうですか? 悪魔は普通眷属を作りたがると学びましたが」
「それはイフリートまでの話だ。マリッドを普通に当てはめるな。あいつらはすべてにおいて規格外なんだからな」
確かに言われてみれば、私が暗記した『悪魔大全』の『悪魔の眷属』という項目で、イフリートまでの眷属についての解説は載っていましたが、私のようなマリッドの眷属については載っていませんでした。
「事情が変わった。不本意だがお前に協力してやる」
「私に倒されるってことですか?」
それは好都合です。できることなら、これからも力で捻じ伏せるやり方ではなく、このようなやり方で行きたいのですが。
「違う! 俺様がインプ共を倒すサポートをしてやるってことだよ」
「え?」
「お前、気が付いていないのか?」
「何にです? インプならあなたがそうじゃないですか」
「ここにいるのが俺様だけだと思ったら大間違いだ。ここにはそれこそ『犇めく』と言っていいくらいのインプ共がいる」
ハッとして目を凝らしてみると、桜の木の上に何やら小さい生き物が無数に跳ねているではありませんか。
「……」
思い返してみれば、マスターはインプを倒せと言っていましたが、数まで指定していませんでした。
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