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幕間
ある一室で part②
しおりを挟む煌びやかな一室。明らかに必要ないだろうと思える壺などの置き物・絵画.....その部屋に置いてあるものはどれも高価なものばかりだった。
そんな部屋に4人の青年が居た。
コの字型に最奥にひとつ、向かい合う形に2つづつデスクが並べられている。
しかし埋まっているのは四席のみ。
「会長~、俺もう帰っていい~??」
向かい合っている内の会計という立て札が置いてある席に座る青年が甘えるようにそう言った。
暗緑色の短髪から見える耳に空けられた夥しい量のピアスは見るものが思わず自身の耳を抑えてしまうほど痛々しい。しかし会計の最もたる特徴はその身体だ。彼の身体には至る所に縫い目があり、まるで人間をバラバラにし繋ぎ合わせたように肌の色がところどころ違う。それは恐怖を与えるような見た目だが、男が持つミステリアスな雰囲気のせいかその見た目さえ魅力的に映るらしく生徒から人気がある。
「ダメに決まってるだろう。俺がいる限りサボりはさせんぞ」
「副会長には聞いてません~!!」
会計に釘を刺したのは副会長と呼ばれる生徒。
サラサラな藍色の髪のサイドを少し残し後ろを括っている。涼し気な翡翠色の瞳は鋭く、どこか硬い雰囲気を醸し出していた。
副会長はカタカタとパソコンに向き合いながら口を開く。
「それに会長も同じことを言うはずだ」
「ちぇー....つまんないなぁ」
「つまんなくて結構。貴様を野放しにすれば必ず俺に救援信号が届くからな。こちらも仕事が山ほどあるというのに貴様の尻拭いまでやってられん」
「副会長ってホント退屈そうな人生歩んでるよね~......というか別に俺は副会長に尻拭いして~って頼んでねーし!アンタが勝手にやってんじゃん」
「.....会計、これ追加の書類だ」
「う''わ~~~ん!!副会長酷いぃぃ!!会長も何か言ってよ~」
副会長は内心『俺よりデカいくせになよなよしいな』と呆れながらも最奥に座る会長へチラリと目を向けた。
「うーん、まぁキリがいいとこまでやったら休憩でもしようか」
穏やかな低い声。艶やかな黒髪をツーブロックショートにし、前髪を七三で後ろに流すようにセット。それだけなら知的な生徒に見えるのだが、彼はダークブラウン色の色付き丸眼鏡をかけていた。瞳を窺えさせないその丸眼鏡のせいでどこか胡散臭さを感じてしまう。
しかし彼はこの学園で絶大な人気を誇る。つまり胡散臭く見えようがそれでも隠しきれない顔の良さをしているわけだ。
そして単純に性格がいい。『人格者』という異名を持つほどに。
「さっすが会長~!やっさしぃ!!どこかの誰かさんとは違ってね」
「竜一!あまり会計を甘やかすな!!こいつは厳しく接してやらんと調子に乗るぞ!?」
「まぁまぁ、丁度僕もどこかで休憩したいと思ってたし。いいじゃないか」
にへっと笑う会長と喜ぶ会計の姿に副会長は思わず頭を抱える。もうすぐ入学式だというのに二人の気楽さに目眩がしたのだ。新入生と持ち上がり組の部屋割りを考えるのも生徒会だし、所々血で汚れた道の清掃手配もしなければならない。その他にもまだやることがある。
副会長は眉間を揉むように唸っていると、そこへ「じゃあ私はお茶淹れますね。あっ!神崎様がお好きだと仰った有名店のケーキを取り寄せたんです。それも出しますね!」と会計の隣の席に座っていた生徒が立ち上がった。
今現在の生徒会最後のメンバーである書記だ。
水色の髪を腰まで伸ばし澄んだ青い瞳をした和風美人。左目尻に入れられた青い薔薇の刺青が目立っていた。
書記はいそいそと給湯室へ行き人数分用意し出す。その姿を見た副会長はまたもや頭を抱えたくなった。
(俺以外マイペースすぎる!!取り敢えず今年学園に入ってくる新入生の中からマトモで真面目でマイペースじゃない奴を勧誘しよう。でなければ俺の胃が死ぬ)
「っていうか優秀だからってまだ入学してない俺達を働かせるこの学園がおかしくない?」
副会長が悩みながら黙々と手を動かしているというのに、会計は既に書記によって用意された紅茶を片手に客用テーブルのソファに座って寛いでいた。
会計は学園への不満を吐き出すが、会長は仕方なしと首を振る。
「しょうがない。それがこの学園の特性なんだから。それに僕達だけじゃないよ。風紀も今頃てんてこ舞いだろうね。あそこは僕達のように少数ではなく隊という群で動かないといけないから、それに上級生達をまとめるのも大変だ」
「ぶー.....俺も新入生みたいに下から壇上を見上げたいなぁ」
「私達は新入生側ではなく生徒会として壇上に上がらなければいけませんからね。嗚呼!神崎様の勇姿を同じ舞台で見られるなんて....!!」
「あーこのケーキ美味し~!会長いいセンスしてるね」
書記の会長への思いを聞いていると日が暮れる。それを知っている会計はわざとスルーし、会長に語りかけた。
「あははは、どうも。咲谷もありがとう。すごく美味しいよ」
「はうっ!?い、いいえそんな!!神崎様の為なら毎日買います!」
「いや、それはやめようか。恭弥もどうだい?」
未だにデスクに座って仕事をしている副会長に向かって会長は誘う。しかし副会長はヒラリと手を振り遠慮の意を示した。
「恭弥はいらないってさ。僕ももういいからどっちか食べるかい?」
「私が!!」
「俺!!」
「「はぁ!?」」
被った声に二人とも顔を合わせ睨み合う。そんな様子に苦笑いした会長はホール型の小さなケーキを半分に切り分け、両者に差し出す。
「仲良くしなね。さて、それ食べ終わったらもうひと頑張りだ。OK?」
「はーい!」
「わかりました!」
こうして生徒会は回る。
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