狂った世界に中指を立てて笑う

キセイ

文字の大きさ
297 / 401
誰かの話

《親の心子知らず(?)》

しおりを挟む





神崎 彪雅かんざき ひょうが(α)-39歳
五大家である神崎家現当主。対カタラ特化。
シルバーブロンドの髪を結って、肩に流している。鋭利な赤い瞳に感情はなく、常に無表情なことも相まってアンドロイドのような男。


緋賀 永将ひが ながまさ(α)-38歳
五大家である緋賀家現当主。対人特化。
ロングコートを羽織り、ウェストコートとスーツを着用。夏もその装いをしており彪雅からは狂人扱いされている。金色の短髪に猛禽類のごとき赤眼。軽薄な笑みを常に浮かべており何を考えているのか特に不明な輩である。


星菜 鉄斎ほしな てっさい(α)-42歳
五大家である星菜家現当主。補助特化
銀のミディアムヘアーにエメラルド色の右目と紅い左目のオッドアイ。平凡な見た目だが、纏う色は非凡。厄介な性癖のせいで仕事を回して貰えず嘆いている。


美城 弘道みしろ ひろみち(α)-40歳
五大家である美城家現当主。カタラ研究特化
キリッとした太い眉に碧色の髪を高く結った武士っぽい見た目。しかしクマの濃い赤い瞳のせいで頼りない雰囲気がある。人間と結婚したことに後悔がある模様。


在鷹 智貴ありたか ともたか(α)-42歳
五大家である在鷹家現当主。情報、火消し特化
垂れ気味の赤目に、オシャレに整えられた黒髪。家の事で悩み中。メンヘラ製造機と陰で呼ばれている。







五大家。
それは異能者をまとめ、導く役割を持つ家である。つまり全ての異能者の頂点に立つ家々だ。

頂点に立つものが複数いるとなる、本来は蹴落としあいが発生するのだが、歴史上五大家の間で目立った争いはない。それは『時ケ谷』という家の名が関係する。

時ケ谷家。
彼らは代々異能者を研究している古き家である。彼らの存在あって、ヴァイスというものが産まれたと言っても過言ではない。そしてその数々の偉業のせいか、いつしか彼らは五大家に並ぶ影響力を持ってしまった。


もう一度言おう。時ケ谷は五大家に並ぶ力を持っている。

つまり、5つの家が合わさって初めて時ケ谷と対等になるのだ。そのためか、五大家内での権力争いは歴史上起きたことがない。どこかの家が欠ければ時ケ谷に呑まれてしまうからである。


五大家の結束は必要不可欠。
となれば、彼らが仲違いを起こさぬよう定期的にお茶会が開かれるのは仕方のない事と言える。








「で、どうだったのだ?観式みしきの学祭は」


星菜 鉄斎は平凡な顔に見合わない色彩を子供のようにキラキラと輝かした。鉄斎の言葉に神崎、美城、在鷹の目は自然と緋賀へと向く。


「俺に聞くな。お前んとこの爺が行ってるだろ。そっちに聞けや」

「僕を書類仕事漬けにした張本人に何を聞けと??」

「知るか!」


鉄斎の父である譲斎は自身のことを嫌っている。
というのは鉄斎の一方的な言い分であり、この場にいる4人は譲斎の行動にちゃんとした理由があるのを知っていた。

この男が学園祭に行かないよう仕事漬けにしたのも、生徒達の被害を心配してのことであると。


「聞けば神崎の坊ちゃんが鳥籠を使ったらしいではないか!怪我人はどれほどでた?今もまだ苦しんでいる生徒がいるのではないか!?なんなら僕が直々に――」


これだ。
鉄斎は少々特殊な性癖を持っており、簡単に言えば『怪我人に性的興奮を覚える』タチなのである。傷に苦しむ患者を前に我慢できなくなって、襲いかかるということもあった。他にも、さらなる傷を与えようと傷を広げるなどの暴挙は数えれば枚挙にいとまがない。

永将はここに居ない譲斎じょうさいに同情した。

なんせ、この異常性癖は譲斎の孫にまで遺伝したのだから。当主の座を退いたというのに息子や孫のせいで穏やかに暮らせないとは可哀想なものだ。


「変態は置いといて.....神崎はどうするんだ?客に怪我なしとはいえ、竜一君には罰を与えるべきだと思うんだが。謹慎だけでは些か軽いのでは?」


変態に変態と言われちゃ世話ねぇな....と内心思いながら永将は鉄斎から美城 弘道にへと目を向ける。高く結われた海のような青髪は弘道が首を傾げると同時に、サラリと背を移動した。

問いを投げかけられた神崎 彪雅はというと....


「私は何もしない」

「.......そうか」


彪雅の答えに溜息をつきながら弘道は引き下がった。だが、それに待ったをかける声もあった。
在鷹 智貴だ。


「ちゃんと罰は受けてもらわないと。じゃないと不穏分子がわんさか湧くことになる。上の過ちは下にとっての最高の娯楽。放置してたら足元を掬われるよ。スキは作らない方がいい」

「足元を掬われるほど神崎は愚かでは無い」

「いやいや、神崎は愚かじゃなくてもあんたの息子は違うだろ。神崎の血が一滴も入ってない元孤児じゃん」


智貴は嘲笑うように吐き捨てた。
それでも彪雅の表情は崩れず、ただ淡々と言葉を返した。


「優秀であれば血などどうでもいい。貴様もいい加減諦めて養子をとったらどうだ?腐った種に水を撒き続けても大輪は咲かんぞ」


ピリリとした緊張感が部屋を包む。
永将はニヤニヤと、鉄斎は退屈そうに、弘道は明後日の方向を向くなど、3人は2人の間に入るつもりはないようだ。

鉄斎はついにはスマホを弄り出す始末。その様子からしてこのような殺伐とした会話は珍しくないのだろう。


「....そういえば年末にパーティを開く運びであったな。会場は緋賀の屋敷で違いないか?実は息子に話すのを忘れていてな.....」


ふとスマホから顔を上げ二人の間に割った鉄斎。彼の言葉に傍観に徹していた永将は目を剥く。


「はぁ!?!?初耳だぞおい!!俺は美城から集会って聞いたんだが!?」

「そう言ったか?」

「俺が嘘を言うわけねぇだろ」

「ふむ、確かに。なら俺が間違えたのだろう。悪い」

「素直に謝んなよ....謝るくらいならテメェの家を会場にしろ。というかパーティなんざする必要あるのか?いつも通り集まるだけでいいだろ」

「あー....パーティは俺の案。でも理由はちゃんとあるんだよ?――君ら自分の息子達が学園でどういう風に言われてるか知ってる?」


智貴の突然の投げかけに4人はそれぞれ反応を返す。


「.....知らん」

「.....だからそれを知ろうと学祭に行こうとしたのだが」

「.....研究でもしてるんじゃないか?」

「まぁ、慕われていたな」

「はぁ....緋賀以外全員知らないというわけか。もう少し自分の息子に興味持とうよ。それでも親か??」



智貴は語る。

緋賀と神崎のいがみ合いを。
星菜と美城の引きこもりを。
神崎の暴走を。
緋賀の暴虐を。


「何よりマズイのは生徒達が神崎と緋賀が犬猿の仲だと思っていることだ」


頭が痛いというように智貴は言った。


「これじゃ時ケ谷につけ込まれる」

「もう遅いだろ。観式は時ケ谷のクソ爺の箱庭だぞ?情報はダダ漏れだ。今更パーティなんて無駄。普通の集会で充分――」

「いいんじゃないか。パーティくらい」


滅多に自分から話すことの無い彪雅が、自身の言葉を遮ってまで発言したことに永将は眉を顰める。しかもパーティに賛成という意見で....だ。


「なに企んでやがる」

「なにも。お前と一緒にするな。私は竜一のことを思って発言したまでだ。他意はない」

「.....他はどうなんだ?」


永将が視線を送れば、他の3人もパーティに賛成のようだった。覆らない決に舌打ちをする。せめて自身の屋敷での開催を免れようと話を切り出すが.....


「私の屋敷は2人しか使用人が居ない。しかも片方は棺桶に片足突っ込んでいるほど老齢だ。パーティの準備などとても出来ない」

「藤間なら100人分働くだろ」

「無理だ」


彪雅は首を横に振る。



「美城は?テメェまた新しい使用人雇ったらしいじゃねぇか」

「どうして他家の使用人事情を把握している?キモイぞお前」

「よーし、テメェの汚っねぇ屋敷に俺の部下を送ってやる。更地になるまで綺麗にしてくれるだろうよ、楽しみにしとけ」


美城はカタラの研究によって、屋敷は人を招ける環境ではないらしい。


「星菜んとこでいいじゃねぇか!!譲斎爺の目が届いてるお前んとこなら適任だろ」

「僕は今、家を追い出されてるから無理なのだよ。職場が家だ」

「お前、五大家当主として恥ずかしくないのか??はっきり言うが、大人としても情けないぞ?」


星菜は論外だった。



「在鷹.....」

「うちはゴタゴタしていて無理だ。お前のことだ、事情は知ってるだろ」

「くそっ!!」


家事情で在鷹も無理と来た。


別に場所を借りてやってもいいのだが、それだと不穏分子が混ざる可能性がある。


「.....はぁ.....」


仕方ない....と永将は髪を掻きあげながら諦めた。


「んじゃよろしく。僕は書類仕事があるからこれで失礼する。....早く終わらしいてふかふかのベッドで寝たいものだ。まったく、親父はどうして大人しくしといてくれないのか。理解出来ないのだよ」

「俺も失礼する。カタラについての論文が途中でな」

「俺は....帰りたくないけど、帰らなきゃなぁ。優秀な息子がいる緋賀が羨ましいよ」

「特に用はないが、緋賀とお茶をするくらいなら私は帰る」



お茶会所要時間、約30分
結果として仲が深まった.....わけでもなく、かと言って悪化したわけでもない。だが仕方なし。これは所詮、時ケ谷に向けてのポーズ。五大家は未だ互いに手を取り合っているという、牽制だ。
長時間顔を合わせる必要もない。


1人部屋に取り残された永将は腕を組み天井を仰いだ。


「アイツらはやっぱ、今の現状に何も思うところねぇんだな」


口元に笑みが浮かぶ。

五大家が時ケ谷と同等??

笑わせるな。もう既にバランスは崩れている。
時ケ谷が『アレ』を生み出した時点で五大家は大きく離された。

バランス、バランス、バランス.....

永将は自身より上の存在を許容できない。命令されるのが許せない。
だから今の五大家の現状は憤慨ものだ。やはり頭が5つ居るというのが原因だろうか?それぞれの個性が強いために己のしたいことしかしない。


「まずは在鷹か.....」


永将は水面下で動く。
自身の野望のために。














しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話

みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。 数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

平凡な俺が総受け⁈

雫@21日更新予定!
BL
高校生活一日目で車にひかれ異世界へ転生。顔は変わらず外れくじを引いたかと思ったがイケメンに溺愛され総受けになる物語です。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

ビッチです!誤解しないでください!

モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃 「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」 「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」 「大丈夫か?あんな噂気にするな」 「晃ほど清純な男はいないというのに」 「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」 噂じゃなくて事実ですけど!!!?? 俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生…… 魔性の男で申し訳ない笑 めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は未定 ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い ・本格的に嫌われ始めるのは2章から

処理中です...