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誰かの話
《親の心子知らず(?)》
しおりを挟む神崎 彪雅(α)-39歳
五大家である神崎家現当主。対カタラ特化。
シルバーブロンドの髪を結って、肩に流している。鋭利な赤い瞳に感情はなく、常に無表情なことも相まってアンドロイドのような男。
緋賀 永将(α)-38歳
五大家である緋賀家現当主。対人特化。
ロングコートを羽織り、ウェストコートとスーツを着用。夏もその装いをしており彪雅からは狂人扱いされている。金色の短髪に猛禽類のごとき赤眼。軽薄な笑みを常に浮かべており何を考えているのか特に不明な輩である。
星菜 鉄斎(α)-42歳
五大家である星菜家現当主。補助特化
銀のミディアムヘアーにエメラルド色の右目と紅い左目のオッドアイ。平凡な見た目だが、纏う色は非凡。厄介な性癖のせいで仕事を回して貰えず嘆いている。
美城 弘道(α)-40歳
五大家である美城家現当主。カタラ研究特化
キリッとした太い眉に碧色の髪を高く結った武士っぽい見た目。しかしクマの濃い赤い瞳のせいで頼りない雰囲気がある。人間と結婚したことに後悔がある模様。
在鷹 智貴(α)-42歳
五大家である在鷹家現当主。情報、火消し特化
垂れ気味の赤目に、オシャレに整えられた黒髪。家の事で悩み中。メンヘラ製造機と陰で呼ばれている。
五大家。
それは異能者をまとめ、導く役割を持つ家である。つまり全ての異能者の頂点に立つ家々だ。
頂点に立つものが複数いるとなる、本来は蹴落としあいが発生するのだが、歴史上五大家の間で目立った争いはない。それは『時ケ谷』という家の名が関係する。
時ケ谷家。
彼らは代々異能者を研究している古き家である。彼らの存在あって、ヴァイスというものが産まれたと言っても過言ではない。そしてその数々の偉業のせいか、いつしか彼らは五大家に並ぶ影響力を持ってしまった。
もう一度言おう。時ケ谷は五大家に並ぶ力を持っている。
つまり、5つの家が合わさって初めて時ケ谷と対等になるのだ。そのためか、五大家内での権力争いは歴史上起きたことがない。どこかの家が欠ければ時ケ谷に呑まれてしまうからである。
五大家の結束は必要不可欠。
となれば、彼らが仲違いを起こさぬよう定期的にお茶会が開かれるのは仕方のない事と言える。
「で、どうだったのだ?観式の学祭は」
星菜 鉄斎は平凡な顔に見合わない色彩を子供のようにキラキラと輝かした。鉄斎の言葉に神崎、美城、在鷹の目は自然と緋賀へと向く。
「俺に聞くな。お前んとこの爺が行ってるだろ。そっちに聞けや」
「僕を書類仕事漬けにした張本人に何を聞けと??」
「知るか!」
鉄斎の父である譲斎は自身のことを嫌っている。
というのは鉄斎の一方的な言い分であり、この場にいる4人は譲斎の行動にちゃんとした理由があるのを知っていた。
この男が学園祭に行かないよう仕事漬けにしたのも、生徒達の被害を心配してのことであると。
「聞けば神崎の坊ちゃんが鳥籠を使ったらしいではないか!怪我人はどれほどでた?今もまだ苦しんでいる生徒がいるのではないか!?なんなら僕が直々に――」
これだ。
鉄斎は少々特殊な性癖を持っており、簡単に言えば『怪我人に性的興奮を覚える』タチなのである。傷に苦しむ患者を前に我慢できなくなって、襲いかかるということもあった。他にも、さらなる傷を与えようと傷を広げるなどの暴挙は数えれば枚挙に遑がない。
永将はここに居ない譲斎に同情した。
なんせ、この異常性癖は譲斎の孫にまで遺伝したのだから。当主の座を退いたというのに息子や孫のせいで穏やかに暮らせないとは可哀想なものだ。
「変態は置いといて.....神崎はどうするんだ?客に怪我なしとはいえ、竜一君には罰を与えるべきだと思うんだが。謹慎だけでは些か軽いのでは?」
変態に変態と言われちゃ世話ねぇな....と内心思いながら永将は鉄斎から美城 弘道にへと目を向ける。高く結われた海のような青髪は弘道が首を傾げると同時に、サラリと背を移動した。
問いを投げかけられた神崎 彪雅はというと....
「私は何もしない」
「.......そうか」
彪雅の答えに溜息をつきながら弘道は引き下がった。だが、それに待ったをかける声もあった。
在鷹 智貴だ。
「ちゃんと罰は受けてもらわないと。じゃないと不穏分子がわんさか湧くことになる。上の過ちは下にとっての最高の娯楽。放置してたら足元を掬われるよ。スキは作らない方がいい」
「足元を掬われるほど神崎は愚かでは無い」
「いやいや、神崎は愚かじゃなくてもあんたの息子は違うだろ。神崎の血が一滴も入ってない元孤児じゃん」
智貴は嘲笑うように吐き捨てた。
それでも彪雅の表情は崩れず、ただ淡々と言葉を返した。
「優秀であれば血などどうでもいい。貴様もいい加減諦めて養子をとったらどうだ?腐った種に水を撒き続けても大輪は咲かんぞ」
ピリリとした緊張感が部屋を包む。
永将はニヤニヤと、鉄斎は退屈そうに、弘道は明後日の方向を向くなど、3人は2人の間に入るつもりはないようだ。
鉄斎はついにはスマホを弄り出す始末。その様子からしてこのような殺伐とした会話は珍しくないのだろう。
「....そういえば年末にパーティを開く運びであったな。会場は緋賀の屋敷で違いないか?実は息子に話すのを忘れていてな.....」
ふとスマホから顔を上げ二人の間に割った鉄斎。彼の言葉に傍観に徹していた永将は目を剥く。
「はぁ!?!?初耳だぞおい!!俺は美城から集会って聞いたんだが!?」
「そう言ったか?」
「俺が嘘を言うわけねぇだろ」
「ふむ、確かに。なら俺が間違えたのだろう。悪い」
「素直に謝んなよ....謝るくらいならテメェの家を会場にしろ。というかパーティなんざする必要あるのか?いつも通り集まるだけでいいだろ」
「あー....パーティは俺の案。でも理由はちゃんとあるんだよ?――君ら自分の息子達が学園でどういう風に言われてるか知ってる?」
智貴の突然の投げかけに4人はそれぞれ反応を返す。
「.....知らん」
「.....だからそれを知ろうと学祭に行こうとしたのだが」
「.....研究でもしてるんじゃないか?」
「まぁ、慕われていたな」
「はぁ....緋賀以外全員知らないというわけか。もう少し自分の息子に興味持とうよ。それでも親か??」
智貴は語る。
緋賀と神崎のいがみ合いを。
星菜と美城の引きこもりを。
神崎の暴走を。
緋賀の暴虐を。
「何よりマズイのは生徒達が神崎と緋賀が犬猿の仲だと思っていることだ」
頭が痛いというように智貴は言った。
「これじゃ時ケ谷につけ込まれる」
「もう遅いだろ。観式は時ケ谷のクソ爺の箱庭だぞ?情報はダダ漏れだ。今更パーティなんて無駄。普通の集会で充分――」
「いいんじゃないか。パーティくらい」
滅多に自分から話すことの無い彪雅が、自身の言葉を遮ってまで発言したことに永将は眉を顰める。しかもパーティに賛成という意見で....だ。
「なに企んでやがる」
「なにも。お前と一緒にするな。私は竜一のことを思って発言したまでだ。他意はない」
「.....他はどうなんだ?」
永将が視線を送れば、他の3人もパーティに賛成のようだった。覆らない決に舌打ちをする。せめて自身の屋敷での開催を免れようと話を切り出すが.....
「私の屋敷は2人しか使用人が居ない。しかも片方は棺桶に片足突っ込んでいるほど老齢だ。パーティの準備などとても出来ない」
「藤間なら100人分働くだろ」
「無理だ」
彪雅は首を横に振る。
「美城は?テメェまた新しい使用人雇ったらしいじゃねぇか」
「どうして他家の使用人事情を把握している?キモイぞお前」
「よーし、テメェの汚っねぇ屋敷に俺の部下を送ってやる。更地になるまで綺麗にしてくれるだろうよ、楽しみにしとけ」
美城はカタラの研究によって、屋敷は人を招ける環境ではないらしい。
「星菜んとこでいいじゃねぇか!!譲斎爺の目が届いてるお前んとこなら適任だろ」
「僕は今、家を追い出されてるから無理なのだよ。職場が家だ」
「お前、五大家当主として恥ずかしくないのか??はっきり言うが、大人としても情けないぞ?」
星菜は論外だった。
「在鷹.....」
「うちはゴタゴタしていて無理だ。お前のことだ、事情は知ってるだろ」
「くそっ!!」
家事情で在鷹も無理と来た。
別に場所を借りてやってもいいのだが、それだと不穏分子が混ざる可能性がある。
「.....はぁ.....」
仕方ない....と永将は髪を掻きあげながら諦めた。
「んじゃよろしく。僕は書類仕事があるからこれで失礼する。....早く終わらしいてふかふかのベッドで寝たいものだ。まったく、親父はどうして大人しくしといてくれないのか。理解出来ないのだよ」
「俺も失礼する。カタラについての論文が途中でな」
「俺は....帰りたくないけど、帰らなきゃなぁ。優秀な息子がいる緋賀が羨ましいよ」
「特に用はないが、緋賀とお茶をするくらいなら私は帰る」
お茶会所要時間、約30分
結果として仲が深まった.....わけでもなく、かと言って悪化したわけでもない。だが仕方なし。これは所詮、時ケ谷に向けてのポーズ。五大家は未だ互いに手を取り合っているという、牽制だ。
長時間顔を合わせる必要もない。
1人部屋に取り残された永将は腕を組み天井を仰いだ。
「アイツらはやっぱ、今の現状に何も思うところねぇんだな」
口元に笑みが浮かぶ。
五大家が時ケ谷と同等??
笑わせるな。もう既にバランスは崩れている。
時ケ谷が『アレ』を生み出した時点で五大家は大きく離された。
バランス、バランス、バランス.....
永将は自身より上の存在を許容できない。命令されるのが許せない。
だから今の五大家の現状は憤慨ものだ。やはり頭が5つ居るというのが原因だろうか?それぞれの個性が強いために己のしたいことしかしない。
「まずは在鷹か.....」
永将は水面下で動く。
自身の野望のために。
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