狂った世界に中指を立てて笑う

キセイ

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第十二章 自身の勘は信じろ(ただし真波 御影は除く)

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「最初はみんなで初心者コースで数回滑って練習するつもりだったのに.....」

「あっという間に上級者コースに消えたな」


ゾロゾロと皆でリフトに乗って、初心者コースに登り1回下まで滑ってみた。結果、その1回でコツを掴んだのか、兎君(スノボ)・宮野君・瀧ちゃん・ケーキ君・Mr.ウマシカ(スノボ)プラス教師2人が上級者コースへ突貫とっかん

残りの僕・トサカ君・文ちゃんは初心者コースへとまた舞い戻ってきた訳だが.....


「なんというか、猪突猛進組&心配性組+αと慎重派組の私達でわかれたね」


文ちゃんの言葉に頷く。見事に性格でわかれた。


「ケーキ君が一緒に上級者コースに行くのは意外でした」

「将翔君は燈弥君に会えばいっつもベッタリだもんね」

「そうですか?」

「うん、ベッタリだよ」

「.....緋賀さんも燈弥にベッタリだぞ」

「そこ張り合わなくていいですから」


文ちゃんも『まぁ....!』みたいな驚くリアクションしない。



「常々思ってたんだけど、燈弥君と風紀委員長ってやっぱそういう関係なの?」

「そういう関係だ」

「どうしてトサカ君が答えるんです??聞かれたのは僕ですよね?」


はいそこ、コソコソ話しない!!
全くもー


「否定しないってことはそういう事なんだよね?ああっ、私ドキドキしてきた。燈弥君は委員長のどこが好きなの?」

「全てだ」

「だ~か~ら~!!どうしてトサカ君が答えるんです!?僕はそんなこと一言も言った覚えありませんよ!」

「でも嫌ってないでしょ?」

「緋賀さんのこと嫌いじゃないだろ?」


いきなり2人揃ってそんな事を聞いてくるもんだからたじろぐ。いつもより圧があるような気がするんだけど?


「き、嫌いではないですが.....」

「「じゃあ!!」」

「好きって事だよね」

「好きってことだろ」


双子みたいなシンクロやめて!!


「学園内で2人を見かけたことあるけど、それはもう風紀委員長の目が燈弥君から離れないのなんの。燈弥君の事だから委員長の視線に気づいていないはずがないし、嫌ならキッパリ嫌と言うはず。これはつまり、満更でもないってことだよね」

「緋賀さんから執着されてるって気づいてんのに、突き放したり甘えさせたりと余計に状況悪化させてるのはわざとだろ?それだけ緋賀さんの事好きってことだよな?」

「なに?君ら揃って僕に恨みでもあるのかな?もうメンタルボロボロなんだけど」


というか周りから見たら僕とヒナちゃんってそういう風に見えるんだぁ(遠い目)。
特にトサカ君の解釈が酷い。トサカ君から見た僕ってまさに性悪じゃん。


「緋賀さんは燈弥と一緒にいる時が一番リラックスしてるし、楽しそうだ。俺としてはそのまま緋賀さんを離さないでいて欲しい。....だからこのままどんどん状況を悪化させてくれ」

「君、自分の言ってることがおかしいって自覚してます??」

「おかしくないだろ。――緋賀さんを誑かして燈弥しか見れないようにして欲しい、そしてそのまま燈弥も緋賀さんしか見れなくなればいい。俺はそう言っただけだ」

「......」


絶句


「安心しろ。何かあったら俺ら風紀委員が全力でフォローする。....あぁ、お前と緋賀さんが仲直りしたっていうのは風紀に伝達済みだ。年明けの皆の反応楽しみにしとけよ。特に財前がうぜぇと思う」


トサカ君はニッと八重歯を剥き出しに笑うと、ストックで地面を押してスーッと山を下りて行った。

なんとなく文ちゃんに目を向ける。
彼はニマニマと生暖かい目で僕を見ていた。


「外堀埋められたね」

「.....」

「ふっwふふふふw燈弥君が放心するなんて珍しい」

「あ''~~っ、もう....!どうしてこうなるんですか!?何でもかんでも恋愛に結びつけるのなんて小学生じゃあるまいし.....!」

「いや、だって委員長と燈弥君の距離近いもん。それこそ恋人同士に見えるくらい」

「う、嘘ですよね」


そう聞けばニッコリ笑みを返され言葉を失う。これはマジで自分の行動を見直さなければならない。


「ふふっ、燈弥君。恋バナしようよ」


誘うような笑みのまま、彼は滑りだす。僕もそれに続いた。....いつまでもここに突っ立っている訳には行かないのため仕方なくだ。決して恋バナがしたい訳では無い。


麓まで滑り終えると、先に到着して待っていたトサカ君と合流。休憩のためか、それとも本当に恋バナがしたいのか、スキー板を外され休憩所もといスキー場内レストランに連れてかれた。

まだ2回しか滑ってないのに....


「お、燈弥ー。こっちこっち」


名前を呼ばれ目を向ける。店の隅の席、そこにケーキ君とぐったり気味のモッチー先生が飲み物を啜っていた。


「将翔君早いね?」

「それを言うなら文貴お前らもだろ?俺は....湊都のペースに付き合ってたら夜動けなくなると思ったから離脱した」

「あー....湊都君とセットの真波先生・芙幸君はわかるけど清継君が居ないのは――」

「あの二人を残して俺だけ降りれんとさ。ほんと難儀な性格だよなぁ」


文ちゃんとケーキ君の会話を割ってMr.ウマシカはどうしたのか聞く。すると彼は苦い顔をして....


「知らん。今頃遭難してんじゃねーの?」


なんでも目を離した次の瞬間には消えていたらしい。真波先生のせいか?と疑ったが、兎君が居るためそれは無いと結論づけられ....結局自分勝手にどこかへ行ったということに話は落ち着いたと。

Mr.ウマシカ....本当に君は....


​────ピロン


メールが届いた。
差出人は今話題になっているMr.ウマシカその人。


『趣深い空き家を見つけたッス!!場所は上級者コース中腹辺にある一際大きな木から斜め右下に滑って​──』


文章を流し読みして写真を拡大。
写っているのは木々に囲まれた小さな平屋。次々送られてくる写真からして、どうやら人は住んでいないらしい。


『探検してくるッス!』


放置でいいかな。
行ってらっしゃいのスタンプを送ってスマホを切った。....というか電波通るんだそこ。普通圏外だろうに。




「で、お前らも休憩か?」

「うん。休憩という名の恋バナをしようと思って」

「「恋バナ?」」


屍状態だったモッチー先生が起き上がる。
あーヤダヤダ。今からでも逃げれないかな?....無理か。だって両隣をトサカ君と文ちゃんにがっちり抑えられてる。


「ね、燈弥君」

「あぁ、なるほど。標的は燈弥か」

「青春だなぁ....」


ケーキ君とモッチー先生の目がこちらに向いた。ケーキ君!!僕達は友達でしょ?助けてくれてもいいじゃない!なんで文ちゃんと揃ってニヤニヤするの!?


「ズバリ本命は誰だ」


代表してモッチー先生が聞いてきた。


「僕の本命はモッチー先生です」

「はい解散!!こいつ絶対に話さないぞ」

「テキ先の聞き方が悪いだけだろ。緋賀か神崎、イカれた双子....どれが本命だ?」


もうちょっとろくな選択肢ないの?庇護するべき友人と弟、あと狂人って....君らが僕の立場だったら誰を選ぶの?ねぇ?(キレ気味)

ということを聞いてみたくなったが、さすがにそれを言えば色々突っ込まれるため口を噤む。ヒナちゃんとチビちゃんのことは言えない。

どう誤魔化そうか.....

考えていると隣から助け舟が出された。


「そんな尋問めいた聞き方はやめようよ将翔君。私は純粋に燈弥君の恋愛観を知りたいんだ。もちろんここに居る人達の恋愛観もね」


文ちゃん.....貴方は女神ですか?
ここは話に乗らせてもらおう。


「僕は適切な距離感を保った恋愛がしたいです。事情に踏み込まず、寄り添うような....そういう関係」


身近な例であげれば....まさに文ちゃん。

僕は色々と内緒にしてることが多いという自覚がある。だから皆が耐えきれず僕に問い詰めるようなことをしてくるのも理解出来る。彼は、文ちゃんはそういう時必ず間に入って、みんなを宥めてくれる。そして聞くんだ僕に。『大丈夫?』って。

それは踏み込んでもいい話?という確認であり、困ってない?という心配が込められた投げかけ。

.....心地いい。僕、恋愛するなら文ちゃんとがいいな。彼となら互いを慈しんでゆっくり進める。

まぁ残念ながら文ちゃんは番がいるんですけどネ。


「へぇ、適切な距離感を保った恋人か。.....友達でよくねソレ」


ケーキ君が首を傾げながら言った。うん、ぶっちゃけ僕もそう思う。


「燈弥君の恋愛観だと相手に忍耐を強いることになるね。でも恋って、相手のことがなんでも知りたくなっちゃうものでしょ?だって好きな人が暗い顔してたら、貼り付けた笑みをしていたら、力になりたいと強く思うのは自然なことだし。もし彼が苦しんでるなら、その元凶を完膚なきまでに叩き潰したいと思うのは当然ことだよ。.......いや、叩き潰す前に精神的苦痛を味合わせなきゃ私の気が済まないな」


恋人に対しては結構ガツガツ行くんだね文ちゃんって。最後ら辺なんて結構陰湿さ香る発言してたし。
今の文ちゃんからは全然想像出来ない内容だなぁ。僕に対する距離感は友人だからというわけかな?

....それにしても、文ちゃんの言うことは別に友達でも通るような気がする。
なんて言うんだっけ....あぁ、そう――



「それは庇護欲ではないんですか?」

「庇護欲は弱い立場の人に向ける言葉だよ。まぁ守りたい・守ってあげなきゃと思う気持ちは似てるかもしれないけど.....でも庇護欲ってさ、自己満足なところがあるでしょ。相手の気持ちを考慮しないで、自分が可哀想だと思ったから手を掴み引っ張りあげる。こうすれば彼は救われる、大丈夫だって思い込んで。そこに慈しみはあるかもしれないけど....酷く一方的だと思わない?」

「文ちゃんの気持ちは違うと?」

「もちろん!僕はね....愛しい人を助けたいと思うその一方で、一緒に苦しみたいという思いもあるんだ」

「くるしみたい....苦しみたい!?え、なんでです?マゾなんですか?」

「ははっ、違うよ。私の言い方が悪かったね。つまり気持ちを共有したいんだ」


――共有かぁ....理解できないな。どうして他人の苦しみを味わいたいのか。誰だって苦しいのは嫌だろうに。


「庇護欲は一方的な施し。恋愛は気持ちの共有。....私はそう思ってる。だから気持ちの共有ができない燈弥君の恋愛観は、私には少し歪なものに見えちゃうね」


はぁ~....歪か。僕からしたら文ちゃんの恋愛観の方がよっぽど歪に見えるのに。気持ちの共有?この気持ちは決して自分以外に理解できないし、共有出来たとしても簡単に共感して欲しくない。

あれ、案外僕ってプライドが高いのかな?


「俺はどっちかっていうと鳥羽派かな。.....気持ちの共有云々は置いといて、相手のことを知らなきゃ何もしてやれないし」

「トサカ君は尽くす系と....」


普段の委員長への献身っぷりを見てるから然もありなんと言ったところか。


「俺は一条派かね。あんまり構われるのは苦手だ」

「意外です.....望月先生はデロデロに構われたい人だと思ってました」

「鳥羽から見る俺ってそんなんなのかよ」


モッチー先生はゲームがあればいいから.....他人の温もりなんていらないんだよ文ちゃん。


「ケーキ君は?」

「俺は.....どっちも、かな。相手が話してくれるまで待つし、あんまりにも思い詰めてて今にも死にそうな顔してたら詰め寄る」

「「「「あぁ~.....」」」」


4人揃って唸る。
ケーキ君がまともというか、普通というか。彼が一番バランスがとれている。僕達が極端すぎるのか.....。


「100点」

「100点だね」

「100点だな」

「100点」

「なんの点数だよ」



君の彼氏力の高さだよ












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