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第十二章 自身の勘は信じろ(ただし真波 御影は除く)
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しおりを挟む目が覚めると知らない天井が目に入った。
病院の白さはなく、年代を感じる山吹色の天井だ。
「......ケホッ」
喉乾いた。
「あ!燈弥が目を覚ました!!!おーい!将翔!燈弥が目を覚ましたーーーー!!」
寝起きに元気いっぱいの兎君の声はしんどい。グワングワンと目が回る。まるで耳元で叫ばれたよう。
「気分はどうだ?」
ケーキ君の問いに最悪の気分ですと答える。すると彼は「だろうな」と笑いながら僕の身体を起こしてくれた。
そこで気づく。びっくりするほど身体が動かないことに。ケーキ君の支えがないと、引っ張られるように布団に逆戻りしてしまう。
「ほら水」
「.....手が動かない」
「あー、結構反動が酷いな。口移しするか?」
「新手の拷問ですかね?」
「俺の口移しを拷問と言うか」
「あ、はははは.....冗談ですよ。でもしないでくださいね。口元に水を持ってきてもらえれば飲めます」
「はいはい」
「ん.......ぷはぁ」
生き返るぅー。脱水症状になりかけてたかもしれないなぁ僕。
「それで今どんな状況?」
「みんな無事に雪崩を回避。旅館で飯食って自由時間中だ」
「懐石料理?」
「懐石料理」
ぐぅ、食べ損ねた。
ほんと、マジで、真波先生ーーーー!!!!ポルターガイストのこの野郎!!!僕を見捨てたモッチー先生のTEMデータは絶対に消去する......。
「うぅ、お腹空いた.....」
「流石にいつ起きるかわからん燈弥のために懐石料理を残しとくことは出来ないとよ。代わりにっておにぎり握ってくれたぜ。鮭と明太子」
「食べる.....ア、でも腕上がらない」
「任せろ」
口元に持ってきてくれるのかな?と期待していたが、ケーキ君はよっこらせと立ち上がり襖の奥に消えた。
支えを失った僕はは再度布団に逆戻り。ケーキ君が戻ってくるまで部屋を眺める。
和室。既に布団が敷かれており、本来あるはずの机や椅子達はない。並べられた布団は.....僕入れて10人分、すっごい大部屋だ。12じゃなくて10ってことは、別室取ってるのか~うーちゃんと猫又先輩。
それにしても部屋に僕とケーキ君しか居ないなんて....あれ?最初兎君居たよね???どこ行ったのあの子。
「待たせたな」
「お腹ペコペコ────なにそのクッション」
戻ってきたケーキ君の両手にはドデカいクッションが.....見たことある――yagiboじゃん。
「俺も楽な体勢で居たいからな」
クッションを布団の上に置くと、ケーキ君は僕を姫抱っこし、そこに座った。
「クッションのおかげで楽だぜ」
「クッションのおかげでとんだ辱めを受けました」
「ほら、あーん」
「あーん(死んだ目)」
うーん、いいご飯。いい塩味。
もぐもぐもぐもぐ.....うまぁ。疲れた体にしみるぅ
「燈弥!!起きた――取り込み中だったようだな、スマン」
勢いよく襖が開けられたと思ったら、秒で閉じられた。瀧ちゃーん、戻ってきて戻ってきて。これは介護だから、全然取り込み中じゃないから。身体が全く動かなくてさぁー、仕方なくこうやってるの。
ということを慌てて弁明。
「クッションまで持ち出して、介護にはに見えない近さだな」
「俺が楽なんだよ」
「....まぁ、何も言うまい。それで?体調はどうだ」
「ボチボチです。身体は全く動きませんが」
「重症じゃないか。――あの時は助かった。ありがとう。こうしてここに居られるのはお前のおかげだ」
「お礼なんていりませんよ。僕はあの時、自分が助かる事だけを考えていましたから。それにお礼を言うのはこちらのほうです。動けない僕を連れてってくれたのは君らでしょう?」
「それこそ礼はいらないだろ。あれで見捨てたら俺達はとんだクソ野郎になっちまう....なぁ清継」
「恩人を置いていくなど有り得ない」
「あはは、じゃあお互い様ということで」
瀧ちゃんと文ちゃんを守るためについて行ったのに、パニックを前に存在を忘れるなんて僕はアホか??
まぁ結果として守れたから良かったけど....今後気をつけよ。僕のあの一撃で助かったってことは、僕の後方に居たのだろうか?
「それと.....あの雪崩を前にした燈弥の行動は誰にも言ってないから安心しろ。隠したいんだろ?」
あー、僕の真後ろに居たのか君達。これはリッパーの事色々見られたと判断していいね。
......瀧ちゃんの気遣い嬉しい。モッチー先生や兎君辺りがどうやってあの状況を凌いだのかしつこく聞いてきただろうに....ご迷惑おかけしました。
でも、
「隠したいけど、瀧ちゃんならいいですよ僕は」
「?」
口をへの字に曲げて、眉間にシワ寄せる瀧ちゃん。困惑してる困惑してるw
「ほら、今年から僕達は2年生になって、代わりに新しい子達が入ってきますよね?」
「なんの関係が?」
「厄介事に巻き込まれるのは決定していまして....」
背後にいるケーキ君のおかげで。あとヒナちゃんへの対応も変わったから、それ影響で何かあるかもしれない....サマ臣君らへんが煩くなりそうだなぁ。
「僕関係の何かに巻き込まれたら、遠慮せず僕を売ってください。庇わなくていいです」
「それは流石に――」
「僕は瀧ちゃんに死んで欲しくないんです。ケーキ君のように裏があるわけでなく、純粋に仲良くしてくれる君は僕にとって得難いとても大切な存在なんです。君が無事学園を卒業し、今後も僕と交流してくれるためなら幾らでも僕を売り飛ばしても構いません。いや、というかなりふり構わず売り飛ばしてください」
マージで瀧ちゃんとは今後とも仲良くしたい。
たとえ瀧ちゃんがサマ臣君に僕の情報売っても全然怒らない。むしろ喜ぶ。「僕に矛先を変えさせるなんて、偉いね!」と褒めるよ僕は。
「――すまない燈弥。俺は友人を売るような真似は死んでもしないと決めてるんだ。それに....そこまでしなくても俺は今後とも燈弥と遊びたいと思ってる」
んぐぐぐぐぐっ。
動かない身体が恨めしい。目の前で照れ笑う瀧ちゃんを抱きしめられないなんて、なんて拷問なんだ。
うぅ瀧ちゃん....尊い。そういうとこも好き。絶対に守る。
「どんな事情があろうと、あんまり自分を粗末に扱うような真似はして欲しくない。2人ともな」
ちょっとケーキ君、なんかバレてるっぽいよ?僕と君がよからぬ事に首突っ込むってことに。
「さて、言いたいことも言えたし、俺は芙幸と湊都を見てくる。燈弥が目覚めたことを伝えに来てくれた湊都が戻ってないのは不安だからな」
瀧ちゃんはそう言って部屋から出て行った。
いつ見ても兎君と宮野君のお父さんしてるなぁ彼。いや、世のお父さんは高校生にこんな過保護にはならないか。
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