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イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が、俺
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あの後。商店街の休憩所で雨宿りをさせてもらった。大人たちに囲まれて温かいお茶を貰っている間に、福島出身だという商店街のお店のおじいちゃんが、白虎隊の『蛍狩りの約束』って初耳のエピソードを出してきて、俺たちの事をねぎらってくれた。
雨で蛍狩りは出来ないってわかっているのに、相手との約束を大切にして約束通りに家を尋ねてきた少年の話だそうだ。雨の中でも律儀にやってきた俺たちのことが気に入ったんだってさ。
『商店街で大学生と合同でやるイベントを企画してるんだけど、君たちみたいな高校生にも参加してもらいたいな』と他の商工会の人にも言われた。また二人で商店街の事務所を訪ねる約束をした。商店街の人にタオルで身体を拭かせてもらって、沢山のお菓子やコロッケ、パンなんかのお土産を沢山持たされた。
それで俺たちは、一度俺の家に戻ることにした。北門が俺のせいでタオルじゃどうにもならない程ずぶ濡れになってしまった。
尻もちをついたせいでズボンやパンツはおろか、全身ずぶぬれになっていた。五月間近でも四月の雨は冷たくて、とても家まで帰れる状態じゃない。俺のせいだから、俺が責任を取りたい。
「入っていいよ。誰もいないし」
そういって自宅のドアに手をかけようとした時、もうてっきり出かけているとばかり思っていた兄貴がぬっと扉の向こうから現れた。
「あれ、おかえり」
「げっ、兄貴まだいたの?」
「げっとはなんだ。兄ちゃんに向かって。うりゃっ!」
俺を見るとやたらと構おうとする兄貴は、今日も北門がいるのにお構いなしだ。俺の頭を犬かなにかみたいに、上からわしわし触ってくる。現役バスケ部員の兄貴の腕は筋肉がムキムキとしてものすごく重たい。イケメンとは言われているが顔立ちも俺より大分濃い目で、圧が凄い上に暑苦いし、こういう時はちょいウザめで面倒だ。
「お前なんでこんなにずぶ濡れなんだ! 風邪ひくぞ!」
後ろに北門がいるっていうのに、お構いなしか。うっとおしくて、兄貴の腕をばしっと振り払う。
「やめろって。人、連れてきてんだから。だから着替えに家帰ってきてんだよ」
兄貴がやっと動きを止めて俺の頭越しに「こんにちは。はじめましてかな?」って声をかけてる。
「はじめまして」
「こいつ、高校の……後輩」
一瞬なんて言って説明したらいいのか分からなくなった。
「後輩? 燈真お前部活はいったのか?」
食い気味にそう叫んで兄貴が俺の腕をぎゅっと掴んできたので、俺もでかい声で言い返した。うちの家族、皆話し声がデカいのはこういう原理だと思う。
「え? なんでそうなる?」
「だって後輩ってバスケ部の後輩じゃないのか? 背も高いし」
兄貴の頭の中は大抵バスケの事で埋め尽くされているし。俺がバスケ部に入らなかったことに内心納得がいっていないんだろう。
雨で蛍狩りは出来ないってわかっているのに、相手との約束を大切にして約束通りに家を尋ねてきた少年の話だそうだ。雨の中でも律儀にやってきた俺たちのことが気に入ったんだってさ。
『商店街で大学生と合同でやるイベントを企画してるんだけど、君たちみたいな高校生にも参加してもらいたいな』と他の商工会の人にも言われた。また二人で商店街の事務所を訪ねる約束をした。商店街の人にタオルで身体を拭かせてもらって、沢山のお菓子やコロッケ、パンなんかのお土産を沢山持たされた。
それで俺たちは、一度俺の家に戻ることにした。北門が俺のせいでタオルじゃどうにもならない程ずぶ濡れになってしまった。
尻もちをついたせいでズボンやパンツはおろか、全身ずぶぬれになっていた。五月間近でも四月の雨は冷たくて、とても家まで帰れる状態じゃない。俺のせいだから、俺が責任を取りたい。
「入っていいよ。誰もいないし」
そういって自宅のドアに手をかけようとした時、もうてっきり出かけているとばかり思っていた兄貴がぬっと扉の向こうから現れた。
「あれ、おかえり」
「げっ、兄貴まだいたの?」
「げっとはなんだ。兄ちゃんに向かって。うりゃっ!」
俺を見るとやたらと構おうとする兄貴は、今日も北門がいるのにお構いなしだ。俺の頭を犬かなにかみたいに、上からわしわし触ってくる。現役バスケ部員の兄貴の腕は筋肉がムキムキとしてものすごく重たい。イケメンとは言われているが顔立ちも俺より大分濃い目で、圧が凄い上に暑苦いし、こういう時はちょいウザめで面倒だ。
「お前なんでこんなにずぶ濡れなんだ! 風邪ひくぞ!」
後ろに北門がいるっていうのに、お構いなしか。うっとおしくて、兄貴の腕をばしっと振り払う。
「やめろって。人、連れてきてんだから。だから着替えに家帰ってきてんだよ」
兄貴がやっと動きを止めて俺の頭越しに「こんにちは。はじめましてかな?」って声をかけてる。
「はじめまして」
「こいつ、高校の……後輩」
一瞬なんて言って説明したらいいのか分からなくなった。
「後輩? 燈真お前部活はいったのか?」
食い気味にそう叫んで兄貴が俺の腕をぎゅっと掴んできたので、俺もでかい声で言い返した。うちの家族、皆話し声がデカいのはこういう原理だと思う。
「え? なんでそうなる?」
「だって後輩ってバスケ部の後輩じゃないのか? 背も高いし」
兄貴の頭の中は大抵バスケの事で埋め尽くされているし。俺がバスケ部に入らなかったことに内心納得がいっていないんだろう。
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