イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛

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イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が、俺

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(ドキドキするのに、こうしていると抱き枕みたいで落ち着く。ずっとこうしてられたらいいのに) 
「……抱き枕みたいで、落ち着く」

 北門も同じように思ってたのか、吐息混じりに囁かれた。
 誰かと同じ気持ちでいられることの喜び。
 胸の中に溢れてきた。
 バスケの試合中の最高のプレイを決めた時、あれも最高だったけど、それとはまたひと味違う最高の心地に俺はちょっと、うっとりしてしまった。
 ざーざーざー。雨の音。窓にぱちぱち、雨粒が打ち付け、弾けてる。
 それ以外はすごく静かで、お互いの吐息や身じろぎする音だけが静かに耳に入ってくる。

「人とずっとこの距離感でいられるの、久しぶり」
「そうか?」
「嬉しい」

 その一言が見た目より重たい雪の塊みたいにずしっと聞こえた。抱きしめられた腕に少しだけ力が籠る。俺はなだめるように手を動かし、小さい子を寝かしつけるみたいにパーカーの袖を軽く叩いた。
 俺にはちょいウザめなほど、スキンシップが激しい兄貴がいる。だけどこいつは両親が離婚して父親と二人暮しで、ちょっとまだ人恋しいのかな。こないだまで中学生だったものな。それもそうかと思った。

「暖かい、ずっとこうしていたい」

 そう言って俺に額を押し付けて、まるで俺がいつもTレックスのぬいぐるみにしてるみたいに、もっと全身を使って毛布みたいに抱え込まれた。
 俺の方がでかかったら逆に包んでやりたかったのにな、って残念に思う。
 首筋に当たる、まだ少し濡れた髪の毛がくすぐったい。

「先輩、いい香りがする」
「これかあ? ラベンダーじゃないかなあ。母さんがはまって買ってる、海外の量り売りの石鹸」
「癒される」
「ラベンダーはそういう効果があるんだって。俺はお前のがいつもいい匂いしてると思うけどなあ」
「俺が?」
「流石イケメン、香りまでイケメンって思ってるもん」

 本人を前にしてついつい『イケメン』とかいったら、後ろで北門がくすっと笑った。

「先輩あのね」
「なに?」
「いい香りだなって思う相手とは本能的に相性がいいんだって」
「へーえ、……えっ?」
「先輩も、いつもすごくものすごくいい匂いだよ。安らぐ」

 ぎゅっとさらに抱きしめてくる腕に力が籠る。だけどなんだか縋られているような感じで放っておけない気分になった。

(あーあ。こいつやっぱり寂しいのかな。こんな風に甘える相手は他にいなかったのかな。……俺にだけ甘えるのは、なんかいいな)

 いや、だけど。そんなこともないだろうと思い直す。
 昼間学校でこいつの周りに友達らしき奴らや遠巻きにでも見守ってる女の子が沢山いただろ。きっと俺だけが特別なわけじゃない。
 不思議だ。そう思ったらなんだか泣きそうな気分だ。
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