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episode 6
実った初恋
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私達の遣り取りを見ていた皆は、険悪なムードになるどころか、和やかなムードになってしまった。
「いや……なんかこの感覚って久し振りだよな」
藤瀬くんの隣に座っていた男性が、昔を懐かしむように呟いた。
「そうだな。真斗と橘がこうやって一緒にいるなんてなぁ」
「どうなることかと思ったけど、二人がこうやって一緒にいてくれてよかったわ」
「なんだかんだで、やっぱり続いてたんだ?」
「そうだと思ってたぁ」
「真斗にちゃんと話そうにも居場所わかんねぇし」
「六人組の誰にも言っちゃダメって言われてたし、高校に入ったらそのうち忘れちゃって」
「だから本当によか……」
一部の人間が次々に吐露していく過去への後悔に待ったをかけたのは。
「なにがよかっただ、バカヤロウ共がっ!」
大声で一喝した田原君だった。
「てめぇら、何隠してやがったんだ!全部話せっ!」
テーブルを拳で殴る音が響くと、皆一斉に縮み上がる。
皆は嬉しさと気分の良さで心の内を話していたかもしれないけれど、私達はそうじゃない。
私と藤瀬くんだけでなく、亜弓と奈緒、田原くんと小沢くんにまで巻き込んでた……。
半数以上の同級生は、何が何だかわからないといった表情でそわそわし始める。
せっかくの同窓会なのにこんな空気にしてしまって、本当に申し訳ないと思っている。
けれど今、田原くんを止めるわけにはいかないんだ。
「今さら過去が変わるわけじゃないし。もう時効と思って全部話せば?じゃないと永久が暴れても、俺達は止めないよ?」
とても冷たく蔑んだような笑みを浮かべる藤瀬くんに、私達の拗れた過去の原因を知っているであろう男二人女三人は俯いて、先程の勢いをすっかりなくしてしまった。
「いや……なんかこの感覚って久し振りだよな」
藤瀬くんの隣に座っていた男性が、昔を懐かしむように呟いた。
「そうだな。真斗と橘がこうやって一緒にいるなんてなぁ」
「どうなることかと思ったけど、二人がこうやって一緒にいてくれてよかったわ」
「なんだかんだで、やっぱり続いてたんだ?」
「そうだと思ってたぁ」
「真斗にちゃんと話そうにも居場所わかんねぇし」
「六人組の誰にも言っちゃダメって言われてたし、高校に入ったらそのうち忘れちゃって」
「だから本当によか……」
一部の人間が次々に吐露していく過去への後悔に待ったをかけたのは。
「なにがよかっただ、バカヤロウ共がっ!」
大声で一喝した田原君だった。
「てめぇら、何隠してやがったんだ!全部話せっ!」
テーブルを拳で殴る音が響くと、皆一斉に縮み上がる。
皆は嬉しさと気分の良さで心の内を話していたかもしれないけれど、私達はそうじゃない。
私と藤瀬くんだけでなく、亜弓と奈緒、田原くんと小沢くんにまで巻き込んでた……。
半数以上の同級生は、何が何だかわからないといった表情でそわそわし始める。
せっかくの同窓会なのにこんな空気にしてしまって、本当に申し訳ないと思っている。
けれど今、田原くんを止めるわけにはいかないんだ。
「今さら過去が変わるわけじゃないし。もう時効と思って全部話せば?じゃないと永久が暴れても、俺達は止めないよ?」
とても冷たく蔑んだような笑みを浮かべる藤瀬くんに、私達の拗れた過去の原因を知っているであろう男二人女三人は俯いて、先程の勢いをすっかりなくしてしまった。
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