242 / 292
episode 8
甘い未来へ
しおりを挟む
柴垣くんの出勤する時間に合わせると、電車の中はいつもよりも混んでいる。
ぎゅうぎゅうと押される私を壁にやり、柴垣くんが守ってくれた。
そう言えば以前もこんなことがあったなと思いだし、その時と違う今の関係性に頬が緩んだ。
私は思い切って柴垣くんのスーツの胸元を引き寄せて、不安定ながらもそっと抱きついた。
「どうした?苦しい?」
優しく聞いてくれる柴垣くんに向かって首を振る。
「ううん。違うの。前もこんなことあったの覚えてる?」
あの時は柴垣くんに寄り添った私は、『勘弁してくれ』と冷たい言葉を投げかけられて苦しかった。
「あの時できなかったことを今してるの。本当は柴垣くんにこうやって抱きつきたかったから」
私がそう言って笑うと、柴垣くんは心底驚いたように目を剥いた。
「マジかよ……。あの時の俺はちゃんと同期として接するってバカな宣言したもんだから、お前の上目遣いが辛かった。気ぃ抜いたら力いっぱい抱きしめちまいそうでさ。あんな顔して俺を見るなんて、マジで勘弁してくれって思ったよ」
溜め息交じりの柴垣くんの胸元に、私は顔を押し付ける。
なんだ……そうだったんだ……。
私は勝手に拒絶されたと思っていたけど、本当はそうじゃなかったんだ……。
ぎゅうぎゅうと押される私を壁にやり、柴垣くんが守ってくれた。
そう言えば以前もこんなことがあったなと思いだし、その時と違う今の関係性に頬が緩んだ。
私は思い切って柴垣くんのスーツの胸元を引き寄せて、不安定ながらもそっと抱きついた。
「どうした?苦しい?」
優しく聞いてくれる柴垣くんに向かって首を振る。
「ううん。違うの。前もこんなことあったの覚えてる?」
あの時は柴垣くんに寄り添った私は、『勘弁してくれ』と冷たい言葉を投げかけられて苦しかった。
「あの時できなかったことを今してるの。本当は柴垣くんにこうやって抱きつきたかったから」
私がそう言って笑うと、柴垣くんは心底驚いたように目を剥いた。
「マジかよ……。あの時の俺はちゃんと同期として接するってバカな宣言したもんだから、お前の上目遣いが辛かった。気ぃ抜いたら力いっぱい抱きしめちまいそうでさ。あんな顔して俺を見るなんて、マジで勘弁してくれって思ったよ」
溜め息交じりの柴垣くんの胸元に、私は顔を押し付ける。
なんだ……そうだったんだ……。
私は勝手に拒絶されたと思っていたけど、本当はそうじゃなかったんだ……。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
363
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる