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番外編
お片付けは後で……
しおりを挟む「ちょっとっ。もう帰るわよっ」
「ほら、しっかり立て」
陽気に飲み過ぎて半分潰れてしまった上原くんを、柴垣くんと楓が二人がかりで支えながら玄関まで運んでいる。
「はーい、右足から靴履きますからねぇ。足上げてくださーい」
高めの声で上原くんの靴を履かせている沙耶ちゃんは、まるで看護師さんか保育士さんのようだ。
「もぉいいよぉ。きょおはココにとまるぅ」
フラフラしながら駄々をこねる上原くんを支えながら、楓は反対の手で彼の頭をペシンと叩く。
「何言ってんの。ホント面倒くさい男ね。結菜もいるのに泊まれるわけないでしょ」
「楠原の言う通りだ。とっとと帰れ、酔っ払い。めちゃくちゃ邪魔だ」
「そんなにおれをおいだしたいのかよぉ」
「当たり前だ」
上原くんの相手をするのも面倒くさいとでもいうかのように、柴垣くんは支えながらも沙耶ちゃんを手伝って靴を履かせた。
「おれたちかえして、なにすんだよぉ」
「ナニすんだよっ」
「よしと、さいてー」
「うるせ」
……男って……ほんとにアホだ。
しらっとした顔で男二人を見る楓と沙耶ちゃんが目に入り、私はどう反応したらいいのかわからなくてヘラっと笑って誤魔化した。
「ほら行くわよ上原。仕方ないから沙耶と送ってあげる」
「仕方ないですね。住所は言えますか?」
呆れながらも優しい二人が上原くんに聞くと、彼は突然シャキッと背筋を伸ばした。
「うん、ありがとう。でも大丈夫。女の子二人から送ってもらったりしたら、俺の命が危険にさらされる」
「今すぐ消してやりたい」
ポツリと呟いた楓の気持ちはわからなくない……。
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