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episode 6
決着
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立ち止まってドアノブを回し入った場所は小会議室。
三崎が竹下と決着を付けたという場所だ。
俺もここで津田さんから引導を渡されるのだろうか。
「せっかく早く出勤したのに時間取らせてごめんね。手短に済ませるから」
津田さんはゆっくりと椅子に腰かけると、手で俺にも座れと促した。
「構いませんよ。仕事の話ならいくらだって時間割きますから」
そう言うと津田さんは眉を寄せて申し訳なさそうに笑った。
「ごめん。仕事じゃないんだ」
その返事に、俺の胸に何とも言えない苦しさが生まれた。
仕事じゃないのに、津田さんが呼び出してまで俺にしたい話とは。
三崎のことに決まってる……。
「柴垣、昨日三崎さんと一緒なら聞こえちゃったかもしれないけど……」
例の言葉のことか。
返事もできず、俺はぐっと噛み締める。
「気付いたかな?」
随分とわざとらしい問いに、俺は腹ただしくて仕方がない。
「三崎と……付き合うことになったんですか……?」
絞り出すような俺の言葉に、津田さんは憎らしいほどニコリと微笑んだ。
三崎が竹下と決着を付けたという場所だ。
俺もここで津田さんから引導を渡されるのだろうか。
「せっかく早く出勤したのに時間取らせてごめんね。手短に済ませるから」
津田さんはゆっくりと椅子に腰かけると、手で俺にも座れと促した。
「構いませんよ。仕事の話ならいくらだって時間割きますから」
そう言うと津田さんは眉を寄せて申し訳なさそうに笑った。
「ごめん。仕事じゃないんだ」
その返事に、俺の胸に何とも言えない苦しさが生まれた。
仕事じゃないのに、津田さんが呼び出してまで俺にしたい話とは。
三崎のことに決まってる……。
「柴垣、昨日三崎さんと一緒なら聞こえちゃったかもしれないけど……」
例の言葉のことか。
返事もできず、俺はぐっと噛み締める。
「気付いたかな?」
随分とわざとらしい問いに、俺は腹ただしくて仕方がない。
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絞り出すような俺の言葉に、津田さんは憎らしいほどニコリと微笑んだ。
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