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先輩
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女子高生エリは、山手線ゲームで負けた。
負けたらクラスの陰キャ、高橋に告白するという約束だったので、放課後、エリは高橋を校舎裏に呼び出した。
「高橋くん、いきなりなんだけど……ずっと好きでした。あたしと付き合ってくれませんか?」
慣れないことに動揺しているのだろう、高橋はしばらく口をパクパクさせるばかりだった。エリはそれを眺めながら、噴き出しそうになるのを必死でこらえていた。
ようやく、高橋はまともに言葉を発した。
「あの、その……よろしくお願いします!」
「おう、シゲル! こんなとこで何やってんだ?」
やたらガタイのいい男子生徒が、のっしのっしと歩いてきた。
「あ、兄ちゃん」
高橋が返事をする。
二人の男子の顔を見比べて、エリは青ざめた。
「え、高橋くんて、高橋先輩の弟だったの!?」
エリとしては正直、関わり合いになりたくない先輩だった。何しろ悪い噂が絶えない。同級生の女子を監禁し、レイプした上で写真を撮っていいなりにしている、などという話まである。
「お、なんだ、女子と一緒か」
兄が尋ねると、弟は恥ずかしげに顔を赤くした。
「うん、クラスの佐々木さん。ぼくたち、その……付き合うことになったんだ」
おい馬鹿やめろ、早まるな高橋、と思ったが手遅れだった。
「へえ、お前が! こんな可愛い子と、ねえ!」
高橋兄は、大喜びのようだった。
「そうかそうか……佐々木さん。こいつはおとなしいけど、すげえ優しいやつなんだ。仲良くしてやってくれよ」
「え、あ、はい。そうですね……」
エリは顔を引きつらせながらも、なんとか返事をした。
「しかし、こんな可愛い子と……なあ、お前ら、どっちから告ったんだよ?」
「それが、信じらんないんだけど、佐々木さんからなんだ」
「へえ! よかったな、シゲル。けどお前、彼女は大事にしろよ」
高橋兄は上機嫌で、弟と、その彼女の肩を叩いた。
「三ヶ月で別れたなんて言ったら、承知しないからな!」
負けたらクラスの陰キャ、高橋に告白するという約束だったので、放課後、エリは高橋を校舎裏に呼び出した。
「高橋くん、いきなりなんだけど……ずっと好きでした。あたしと付き合ってくれませんか?」
慣れないことに動揺しているのだろう、高橋はしばらく口をパクパクさせるばかりだった。エリはそれを眺めながら、噴き出しそうになるのを必死でこらえていた。
ようやく、高橋はまともに言葉を発した。
「あの、その……よろしくお願いします!」
「おう、シゲル! こんなとこで何やってんだ?」
やたらガタイのいい男子生徒が、のっしのっしと歩いてきた。
「あ、兄ちゃん」
高橋が返事をする。
二人の男子の顔を見比べて、エリは青ざめた。
「え、高橋くんて、高橋先輩の弟だったの!?」
エリとしては正直、関わり合いになりたくない先輩だった。何しろ悪い噂が絶えない。同級生の女子を監禁し、レイプした上で写真を撮っていいなりにしている、などという話まである。
「お、なんだ、女子と一緒か」
兄が尋ねると、弟は恥ずかしげに顔を赤くした。
「うん、クラスの佐々木さん。ぼくたち、その……付き合うことになったんだ」
おい馬鹿やめろ、早まるな高橋、と思ったが手遅れだった。
「へえ、お前が! こんな可愛い子と、ねえ!」
高橋兄は、大喜びのようだった。
「そうかそうか……佐々木さん。こいつはおとなしいけど、すげえ優しいやつなんだ。仲良くしてやってくれよ」
「え、あ、はい。そうですね……」
エリは顔を引きつらせながらも、なんとか返事をした。
「しかし、こんな可愛い子と……なあ、お前ら、どっちから告ったんだよ?」
「それが、信じらんないんだけど、佐々木さんからなんだ」
「へえ! よかったな、シゲル。けどお前、彼女は大事にしろよ」
高橋兄は上機嫌で、弟と、その彼女の肩を叩いた。
「三ヶ月で別れたなんて言ったら、承知しないからな!」
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