ずっと、いっしょにいたいから…

小林汐希

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第6話 またやっちゃった…。

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 それに、海斗は絶対に否定してくると思うけれど、海斗が風邪をこじらせてインフルエンザと診断されてしまうきっかけを作ったのは、私なんだよ……。

 今年の二学期の終業式はクリスマス直前の金曜日だった。

 中学生から双方の家公認でお付き合いが始まって、高校生になった今では、どちらの家からも特に厳しいことは言われない。

 ただね、その日はお母さんが夜勤でお父さんも遅い帰りを言われていたから、家に帰っても誰もいないことは最初から分かっていたんだ……。

「それなら、うちで飯食べていきなよ。一人ぐらい増えたって文句は言われないさ」

 その話をしたとき、海斗はすぐに言ってくれた。

 当日も、約束どおりにお夕食の席に呼んでもらえた。

 お夕食の後の片付けを手伝っても、我が家の灯りがついていなかった。

 私が海斗の家でご厄介になることは話してあったから、お父さんも外食で済ませてくるのだろう。

「外で夜景でも見てこようぜ」

 やることがなくってしまった私を、海斗は外に連れ出してくれた。


 近所に少し大きめの公園があって、毎年そこにはイルミネーションが飾られる。

 地元の人しか知らない隠れスポットなんだよね。

 もちろん、私たちは小さい頃から知っているし、その光の中でデートしたことも初めてじゃない。

「海斗……、いつもありがとうね」

「どうした突然? 俺、何もしてないぜ?」

 もう、気づいてないのかな。

 そういうことをサラッと言えちゃう所がすごいんだよ。

 私たちは、中学時代だけでなく、高校1年の時から交際中だということは隠してこなかった。

 でも、予定通りにサッカー部に入って基礎練習から始めても文句を一つも言わないところに格好いいと思う女子は私だけじゃない。

 時には上級生からの嫌がらせも受けたこともある。

 でも、そんなときには決まってしばらく経つと私に手を出さなくなったり、酷いときには制裁を受けたりしていた。

 サッカー部にいながら生徒会役員というポジションを維持して、私に手を出してくる人たちにお灸を据えているのだとの流れは想像に容易たやす い。

 それを私に言うことなく、サラッとできちゃう。



 私にはもったいないくらいの人なんだよ……。 

 だからね、私も海斗の怪我の手当だったり、調子が悪い時のフォローは変わらずにしてきたつもり。

「年が明けたら、受験生って言われるようになっちゃうんだよね……」

「そうだよな……。高校も無茶したけどさ、大学は学部は別れちゃうけど、キャンパスは同じなんだよな」

 高校受験の時も、あんなに頑張ってくれたんだもん。嬉しかったし逆に私が落ちるわけにいかないと思う原動力にもなった。

 こんな時間をいつまでも続けていきたい。

 言葉にはしていないけれど、そんな想いを共有できている私たち。

「大学も一緒に行けるようになればいいね」

「保証はできないけど、俺もできるだけのことはやるつもりだ」

「私も……」

 それ以上の会話はなかったけれど、自然に繋いだ手を離すことはなく、私たちは冬の夜空を見上げていたんだよ……。
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