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7章 口に出せない呼び名
第27話 最初から自分らしく
しおりを挟む始業式が終わって、昨日準備をした教室のドアの前に立った。
昨日とは違って、部屋の中からは賑やかな声が聞こえてくる。
「おはようございます」
廊下で一呼吸を入れ、扉を開けると生徒たちが急いで各自の席に戻る。
高校2年生とはいえ、まだ好奇心の塊のようだ。一斉にこちらを注目してくる。「キャー」という黄色い声も世代が変わってもあるもんだなと思った。
「まだ日直もなにも決めてないですからね、最初の挨拶は僕がやります。起立!」
挨拶をして全員を座らせたあと、ざっと教室を見回してみる。
まだ名前と顔が一致していないけれど、確かに言われていたとおり、目立つ子や尖った子もいなさそうだ。
「今年から峰浜高校でお世話になることになりました、長谷川啓太です。正直なところ、いきなり担任を持ってくださいと校長先生から言われたときにはどうしようかと思いました。最初の1年である今年はみなさんの力を借りてなんとか乗り越えようと思ってます。そんな感じなので、これからよろしくお願いします」
黒板の空いたスペースに自分の名前を書いた。
「きっと、1年生の最後で、2年生は中だるみの学年だからしっかり勉強するようにと言われてきたと思いますが、正直そんなものは忘れて欲しいです」
生徒たちがぽかんとして俺のことを見上げている。
「部活も文化祭も、来年度の頭には修学旅行もありますね。遊ぶときは思い切り楽しみましょう。そのかわりに勉強しなければならないときはきっちりやってください。細かい口出しは高校2年生になった皆さんに対して失礼だと思っています。
受験を控えて頭がそちらに行ってしまうこともあるでしょう。ですが必要なときにスイッチが入れられる人の方が本番では強いのです。遊ぶときは思い切り遊んでください。その代わり勉強するときはきちんとしてくださいね。それができている限り、僕は『勉強しろ』と言うつもりありません」
「それは先生の持論ですか?」
誰かが口を開いた。
「こんなことを言えば怒られるかもしれないですね。けじめをきちんとつけられる人の方が成績がいいのは僕の学生時代からの経験からです。勉強するなとは言いません。やりたい人はもちろん勉強してください。もちろんどんな相談にも乗ります。要するにオンとオフの区切りをきっちりということです。1回しかない高校生活です。楽しんで過ごせるのが一番大切なことだと思います」
せっかくの高校時代なのだから。思い切り楽しんだ方が、この先の進路で壁にぶち当たったときに逃がし方を見つけ出せる。
これは持論というよりも、これまでの経験から導き出したものを素直に言ったまでだ。
「その代わり、クラスの外ではオフレコでお願いしますよ?」
学校を卒業したばかりの新人教師がいきなり大胆な発言をしたと、変な言いがかりをつけられるのも得策じゃない。
その辺はやはり高校生だ。俺の意図していることは理解してくれたようだった。
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