90 / 170
24章 校長室での約束
第89話 放課後に校長室って!?
しおりを挟む2学期の期末試験も終わったあとの土曜日。もう他の生徒たちは帰ってしまっていて、学校内は閑散としている昼下がり。
「松本、そろそろ約束していた時間なので行くぞ」
「はい」
一人、文芸部の部室で待機しているように言われていた私を、長谷川先生が呼びに来てくれた。
「緊張しますか?」
廊下に出てからは、いつもの約束どおり、他の生徒に気づかれないように言葉が変わる。
「それはそうですよ。本当にやってしまうんですか?」
「大々と公表する必要はありませんが、一応校長先生の耳には入れておいた方がいいと思いませんか?」
「そうですけどぉ……」
一般の生徒で校長室に入るなんて事が何回あるかなぁ? 校長先生って集会とか全校朝礼とか遠くで見ることがほとんどだし、それこそ個人的に会うなんてことは、よほどのことがなくちゃね。
それに、これから校長先生の前で話すことを考えると、私の心拍数はさっきから上がりっぱなし。どうして先生は平気なのかな……。
「正直、ここが勝負どころだと思っています。ここを突破しておかないと、安心して松本さんを守れません」
「せ、先生……?」
今日は何だろう。いつもとは違う迫力。
それは、これから先のことは無茶苦茶なことだと思う。それを理解してもらえるか……。普通に考えたら余計にことが大きくなって、先生だって無事じゃすまない。
それとも、何か作戦があるのだろうか……。
私たち二人は校長室の前に着いて、先生がドアをノックした。
「2年5組担任の長谷川です」
『どうぞ』
「失礼します」
先生が扉を開けて先に中に入った。
「松本さんも中へ入ってください」
「はい」
扉を閉めて、応接セットの前に立った私たち。
「ふたりともそんなに緊張しなくていい。松本さんも顔が硬いな」
仕方ないよ。だってこの先の話題は、どんなに緩く考えたって現役高校生としての限界ラインを超えていることだと思うもん。
でも、さっき廊下で話しながら来た時の長谷川先生の緊張感と気迫とは正反対。
不思議なくらい校長室の中に緊張感がなくて、私の方が拍子抜けてしまっているのもまた事実だったの。
校長先生は自分で三人分のお茶を淹れてテーブルに置いてくれた。
「長谷川先生も松本さんも、さぁ座って座って。立ったままできる短いお話ではないでしょう?」
「はい。仰るとおりです。松本さんのこれからに関わる大切な内容となります」
「それなら尚更だ。じっくり聞かせてもらいましょう。でも、この様子だと、松本さんには何も伝えていないのでしょう?」
「詳しいことはまだ話していません」
どういうことなのだろう。
隣の先生が肯いたのを確認してから、先に座った先生の横に私も腰を下ろした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
サクラブストーリー
桜庭かなめ
恋愛
高校1年生の速水大輝には、桜井文香という同い年の幼馴染の女の子がいる。美人でクールなので、高校では人気のある生徒だ。幼稚園のときからよく遊んだり、お互いの家に泊まったりする仲。大輝は小学生のときからずっと文香に好意を抱いている。
しかし、中学2年生のときに友人からかわれた際に放った言葉で文香を傷つけ、彼女とは疎遠になってしまう。高校生になった今、挨拶したり、軽く話したりするようになったが、かつてのような関係には戻れていなかった。
桜も咲く1年生の修了式の日、大輝は文香が親の転勤を理由に、翌日に自分の家に引っ越してくることを知る。そのことに驚く大輝だが、同居をきっかけに文香と仲直りし、恋人として付き合えるように頑張ろうと決意する。大好物を作ってくれたり、バイトから帰るとおかえりと言ってくれたりと、同居生活を送る中で文香との距離を少しずつ縮めていく。甘くて温かな春の同居&学園青春ラブストーリー。
※特別編8-お泊まり女子会編-が完結しました!(2025.6.17)
※お気に入り登録や感想をお待ちしております。
となりのソータロー
daisysacky
ライト文芸
ある日、転校生が宗太郎のクラスにやって来る。
彼は、子供の頃に遊びに行っていた、お化け屋敷で見かけた…
という噂を聞く。
そこは、ある事件のあった廃屋だった~
紙の上の空
中谷ととこ
ライト文芸
小学六年生の夏、父が突然、兄を連れてきた。
容姿に恵まれて才色兼備、誰もが憧れてしまう女性でありながら、裏表のない竹を割ったような性格の八重嶋碧(31)は、幼い頃からどこにいても注目され、男女問わず人気がある。
欲しいものは何でも手に入りそうな彼女だが、本当に欲しいものは自分のものにはならない。欲しいすら言えない。長い長い片想いは成就する見込みはなく半分腐りかけているのだが、なかなか捨てることができずにいた。
血の繋がりはない、兄の八重嶋公亮(33)は、未婚だがとっくに独立し家を出ている。
公亮の親友で、碧とは幼い頃からの顔見知りでもある、斎木丈太郎(33)は、碧の会社の近くのフレンチ店で料理人をしている。お互いに好き勝手言える気心の知れた仲だが、こちらはこちらで本心は隠したまま碧の動向を見守っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる