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31章 新婚夫婦の初デート?
第124話 まさかこんな組がいたとは…な?
しおりを挟む「今朝はみんな心配だったみたいです。3年生になったときに担任が変わっていたらどうしようって。体育館から帰ってきたらみんな大騒ぎでしたよ」
「まぁ、教室に入った途端にあの歓声だったもんな。嫌われたり、また一からやり直しでシーンとなるよりは全然良かったけれど」
「それだけ、みんな先生に慣れたってことですよね」
結局、この修学旅行の間にうちのクラスの中からこの橘と加藤組を含めて4組の新規のカップルが誕生しているという報告をこの日の夜に花菜から受けた。
それを俺の教室では悪いことと言わない。いや、修学旅行の短時間でそれだけ多くの組が誕生したということは、自分が言っていたことが少しずつ浸透してきた証拠だと花菜も言っていた。
もちろん自分たちは抜いてのカウントだから、まさかもう1組、それも婚姻届まで出した組があるとは思っていないだろう。
心配していた花菜の足は、旅行から帰った翌日に珠実園の医務室で検査してもらったところ、橘の的確な処置のおかげで腫れもすっかり癒えて、関節などにも異常はないと太鼓判を押してもらえた。初動の処置が完璧だったから治りも早いと。
整骨院を経営する両親を持った橘の話をすると、いい腕をしている。将来が楽しみだとのコメントだった。
「いろいろ3年生になって、大変なこともあると思いますが、まずは春休み中の修学旅行お疲れさまでした」
「花菜も大変な目に遭わせちまって、ごめんな。しかもあんな日に……」
「私ってもう公式な書類上は長谷川花菜なんですね。あまりにも自然すぎてすっかり忘れちゃってました。珠実園で手続きして思い出したんですよぉ」
自分で頭をポンとたたく花菜。包帯やサポーターを外してみると、歩き方はすっかりいつもどおりに戻って、階段も軽々上っていくのを見てホッとする。
学校では校長先生、教頭先生。珠実園でも職員しか花菜が入籍したということは知らない。
あと1年間秘密にしておく心苦しさはあるけれど、少なくとも高校卒業までは公にはせず現行のままにしておきたいということになっている。
ただ、健康保険証の手続きには細心の注意が必要だった。
予定より前倒しで彼女が俺と結婚したことで、それまでのお母さんが亡くなったことによる生活保護は打ち切られてしまうから、花菜の保険証を自分の配偶者扶養に切り替える必要があったからだ。
学校の事務員を通すのではなく、自分で直接問い合わせて書類を揃えた。
その手続きも無事に済み、彼女の保険証上の名字は新しい住民票と同じ長谷川に変わっている。
「でもさぁ、痛い思いをさせちまったけれど、ケガしてくれたおかげで、俺は最終日にコソコソ逃げ回らなくて済んだし、羽田からは送り届けるのを理由にタクシーで帰れたしな。なんだかんだで嫁さんと回れたんだ。また今度は二人で行くかな」
「はい。堂々と新婚デートしちゃいました。今度はリベンジで一緒に歩いていきましょうね」
「あそこは宿泊もできたよな?」
「はい。それはインターネットから調べればいくらでも情報は出てきます」
検索エンジンでキーワードを入れれば宿泊プランも出てくる。
「確か小島先生たちも、後から卒業旅行したって言ってた。また考えよう」
「うん。楽しみにしてる」
高校生最大のイベントである修学旅行はこんな形で終わり、続けざまに高校3年生の1年が幕を開けた。
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