逆転の花嫁はヤンデレ王子に愛されすぎて困っています

蜂蜜あやね

文字の大きさ
25 / 28

24

 月だけが、二人を見ていた。
 今のリリーは、もう何もできない少女ではないはずだった。
 それでもアシュレイの顔を覗き込むと、あの頃のように「ほら、しっかりしなさい」とも「私の言う通りにしたらいいのよ」とも言えず、少しだけ疲れたような顔で、静かに告げた。
「アシュレイ……触って」
 ――届かなかった。
 かつて彼がそう言った言葉を否定するように、リリーは傍らに剣を置き、アシュレイに向けて手を伸ばした。
 抱っこをせがむ子どものように、まっすぐに。

 
「リリー、ノルティアが見てるかも?」
「いいの。今はアシュレイに触って欲しいって思ってるから。」
騎士の鎧を剥ぎ取るように脱ぎ捨てて、アシュレイの
背中に腕を回すとアシュレイもリリーの身体を強く抱きしめた。
「ここでいいの?」
 何度も確かめるように尋ねるアシュレイに
 頷くと、リリーの唇はアシュレイの唇に重ね合わせられ何度も啄むようなキスを受けることになる。
「リリー、背中が痛くなるからそこに手を付いて。」
 ここは岩場だったことにアシュレイは気づくとリリーをそこに立つ樹木の幹に手をつかせる。
 恥ずかしそうに俯くリリーの身体を後ろから抱きしめて。
「本当は顔を見たいけど……ごめんね。」
 後ろを向いたままのリリーのトラウザーズを器用に下ろすとリリーの太ももの間からゆっくりと手を差し込んだ。
「リリーが好きだったところ触ってあげるね。」
 花芽をくちくちと指で触れて、熱く高ぶり始めた身体をリリーの尻に押し付ける。
「あっ……」
 指で何度も繰り返すとあっという間にリリーの奥は熱く潤んで、花芽を触れていた指をぬるりと差し込むと簡単にアシュレイを飲み込んでいった。
 敏感な身体はすぐに受け入れる準備を始めてアシュレイの指をきゅうきゅうと締め付ける。
「そんなに早く欲しくなっちゃったの?」
 そう聞くと顔を伏せたままのリリーが首まで真っ赤にして違うと横に振る。
「でも中まで触ってって言ってるよ。」
「アシュレイのバカ……」
 もう二人の関係に上も下もない。
 あの頃のようにリリーがアシュレイに命じることも無ければ、できない子をあやすようにアシュレイがリリーを歪んだ愛で甘えさせるということもない。
 ただ2人は対等に横に並び立っていた。

 リリーの奥を、指でぐちゅ、ぐちゅと音を立ててかき混ぜる。
そのたびに、リリーの腰がびくびくと跳ねた。
時折、思い出したように陰核を親指で撫でると、彼女の喉から甘い声が漏れる。
何度も繰り返すうちに、愛液がとろりと溢れ、脚の間を濡らしていく。
濡れたそこを押し広げると、アシュレイの熱がピタリとあてがわれた。
「……もう、入れるね」
囁きとともに、押し込む。
濡れた内壁がきゅうっと吸い込むように彼を迎え入れ、
「触って」と言ったリリーの身体が奥までそれを欲しがる。
にゅぷ、と濡れた音が響き、半ばまで埋まった。
前よりもずっと深く、ずっと早く――リリーの身体は抵抗もなく彼を受け入れていく。
「リリー、大丈夫? 痛くない?」
声をかけながらも、アシュレイの腰は止まらない。
痛みなんてもう分からない。
熱い、眩暈がするほど熱くて、リリーは涙まじりに息を吐いた。
「……もっと、奥……」
その一言で、アシュレイの理性が切れた。
「リリー……可愛い……」
低く唸るように呟いた瞬間、ぐっと腰を打ちつける。
肉がぶつかる鈍い音と、濡れた音が重なり、
リリーの身体が木の幹に押し付けられるように揺れる。
「声、我慢して。……誰かに聞かれたら困る……」
そう言いながらも、塞いだ唇の隙間からは彼女の甘い吐息が漏れる。
聞きたくてたまらないのに、誰にも聞かせたくない――その矛盾がアシュレイをさらに狂わせた。
「リリー、動くよ。しっかり掴まって。」
腰を掴み、奥へと叩き込む。
打ちつけるたびに、リリーの身体が反り返り、泣き声にも似た声が漏れた。
夜の静寂の中、二人の熱だけがぶつかり合い、
何度も、何度も、溶け合っていく。
リリーの奥まで届いた瞬間、アシュレイの動きがわずかに止まる。
絡み合った鼓動が一つになり、熱が深く満ちていく。
リリーの身体がびくりと震え、名前を呼ぶ声が夜に溶けた。
静寂の中、確かな余韻だけが二人の間に残った。 

 
木にもたれかかったまましゃがみ込むと、アシュレイはリリーをそっと膝の上に引き寄せた。
 胸の奥から溢れる愛しさを抑えきれず、彼女の唇を捕らえる。
 背後にいるアシュレイへと身体を捩り、リリーはその口づけに身を委ねた。
 息が混ざり、世界が静まり返る。
 足元では、足首に引っかかったままのトラウザーズと薄布が月光を受けて揺れている。
 乱れた衣の隙間から、白い脚が夜の光に晒されていた。
 それは儚く、どこか現実離れしたほど美しかった。
 けれどリリーには、もうそれを恥ずかしいと感じる余裕はなかった。
 ただ、アシュレイの腕の中で息をしていることだけが確かで――それがすべてだった。
  

「アシュレイ……もうクタクタ……。帰りはおんぶしてくれる?」
 その声は甘えるように舌足らずで――それでいて、どこか命じるような響きを含んでいた。
 昔、彼より少しだけ“お姉さん”だった頃の調子で。
 けれど今は、頬を寄せたまま、素直に甘えている。
 アシュレイは思わず笑みを漏らした。
 強がりと可愛らしさ、その両方が混ざり合ったその声が、どうしようもなく愛おしい。
「リリー、君……元に戻ったのかな?」
「そんなの知らないわ。私は私だもの!」
「そうだね。君は君だ。でも、今は――手が届く」
「言ったでしょ。私はアシュレイに触ってほしいって思ってるの。怒ったりしないわ。だって、私の――」

 旦那様、なんでしょう? あなた。

 その言葉に、アシュレイは一瞬息を止めた。
 微笑むリリーの頬を月明かりが照らす。
 銀色の髪が光をまとい、紫紺の瞳が夜を映す。
 ゆっくりと落ちてくる甘い口づけに、リリーはそっと唇を開いた。
 触れた瞬間、胸の奥に残る熱が静かに溶けていく。
 命じるでも、導くでもない。
 ただ、並んで息をする二人の夜が、そこにあった。
 
感想 0

あなたにおすすめの小説

歳の差を気にして去ろうとした私は夫の本気を思い知らされる

紬あおい
恋愛
政略結婚の私達は、白い結婚から離縁に至ると思っていた。 しかし、そんな私にお怒りモードの歳下の夫は、本気で私を籠絡する。

婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜

紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。 連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

年下夫の嘘と執着

紬あおい
恋愛
夫が十二歳の時に白い結婚をした。 それから五年、家族として穏やかに暮らしてきたが、夫に起こったある事件で、一人の男性としての夫への愛を自覚し、妻は家を出る。 妻に捨てられたと悲観した夫は毒薬を飲み、この世を去ろうとした。

【完結】 初恋を終わらせたら、何故か攫われて溺愛されました

紬あおい
恋愛
姉の恋人に片思いをして10年目。 突然の婚約発表で、自分だけが知らなかった事実を突き付けられたサラーシュ。 悲しむ間もなく攫われて、溺愛されるお話。

男嫌いな王女と、帰ってきた筆頭魔術師様の『執着的指導』 ~魔道具は大人の玩具じゃありません~

花虎
恋愛
魔術大国カリューノスの現国王の末っ子である第一王女エレノアは、その見た目から妖精姫と呼ばれ、可愛がられていた。  だが、10歳の頃男の家庭教師に誘拐されかけたことをきっかけに大人の男嫌いとなってしまう。そんなエレノアの遊び相手として送り込まれた美少女がいた。……けれどその正体は、兄王子の親友だった。  エレノアは彼を気に入り、嫌がるのもかまわずいたずらまがいにちょっかいをかけていた。けれど、いつの間にか彼はエレノアの前から去り、エレノアも誘拐の恐ろしい記憶を封印すると共に少年を忘れていく。  そんなエレノアの前に、可愛がっていた男の子が八年越しに大人になって再び現れた。 「やっと、あなたに復讐できる」 歪んだ復讐心と執着で魔道具を使ってエレノアに快楽責めを仕掛けてくる美形の宮廷魔術師リアン。  彼の真意は一体どこにあるのか……わからないままエレノアは彼に惹かれていく。 過去の出来事で男嫌いとなり引きこもりになってしまった王女(18)×王女に執着するヤンデレ天才宮廷魔術師(21)のラブコメです。 ※ムーンライトノベルにも掲載しております。

魚人族のバーに行ってワンナイトラブしたら番いにされて種付けされました

ノルジャン
恋愛
人族のスーシャは人魚のルシュールカを助けたことで仲良くなり、魚人の集うバーへ連れて行ってもらう。そこでルシュールカの幼馴染で鮫魚人のアグーラと出会い、一夜を共にすることになって…。ちょっとオラついたサメ魚人に激しく求められちゃうお話。ムーンライトノベルズにも投稿中。

泡風呂を楽しんでいただけなのに、空中から落ちてきた異世界騎士が「離れられないし目も瞑りたくない」とガン見してきた時の私の対応。

待鳥園子
恋愛
半年に一度仕事を頑張ったご褒美に一人で高級ラグジョアリーホテルの泡風呂を楽しんでたら、いきなり異世界騎士が落ちてきてあれこれ言い訳しつつ泡に隠れた体をジロジロ見てくる話。