押しが強いよ先輩女神

神野オキナ

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手を握ることの章

共犯女神7

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「SIMを抜いて破壊、死体をどうする?」
「僕の部屋まで何階ありますかね?」
「そうだな……すぐ上というのもご都合主義だし、遠すぎるのも面白くないな。サイコロないか?」
「あ、ボードゲーム用の予備があります」
 友だちは少ないがそれでもボードゲーム自体は面白いものが多いから、僕もいくつか持っている。
 やはりそうなるとサイコロの予備は必要になる。
 僕は自分の机からダイスを持って来た。
「このマンションは四階建てで君は三階か、じゃあ三面ダイス……えい」
 先輩はそう言って三角形の三面ダイスを取り出して転がした。
「うん1階下にいるだけだ」
「じゃあ死体を引きずって上に戻ります」
「そうだ、ダイスを振って上手く運べたかを決めよう」
「TRPGっぽいですね」
「いいじゃないか、ゲームだ」
「はいはい」
 
……それから僕らは状況が移る度にダイスを振って成否を決め、数を決めた。

気がつくと先輩はチラシの裏に地図を作り、僕は余ったダイスをコマに見立て、僕らは共犯者として、殺人を隠蔽する行為に躍起になった。

 瞬く間にルールが出来た。
 一日を24時間と区切り、起こることをチャートにして、12回サイコロを振る。
 とりあえず二週間、警察に捕まらなかったり、マスコミに報道されなければ勝ち。ご近所に噂されるのはノーカン。
 
 やがて、失踪した主婦を巡って家族が騒ぎだし、警察に知らせ、僕らはポーカーフェイスを試され……
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