ぼくらのファーストキスは錆の味がした

あびこわく

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友達ごっこ

04

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 昼休み、教室で武田が上杉と三好の勉強を見るようになって始めクラスメイトは好奇の目でそれを見ていた。
 今まで誰とも喋らずに昼休みをどこで過ごしているかも分からなかった武田が上杉、三好と言うクラスでも比較的目立つ生徒に勉強を教えている姿が珍しかった。
 しかしそれは数日でクラスの日常へ変わった。
 昼休みだけでなく休み時間も三人でよく連むようになった。

 武田自身、今まで教室で誰とも喋らずにいた自分がこうして上杉と三好と友達のように一緒にいる事を不思議に思う時があった。
 嗜虐心を隠し持つ自分が普通の顔をして人と一緒にいてはいけない。衝動的にまた人を傷付けてしまうかもしれない。
 そんな思いから武田は誰とも関わらずに高校生活を送るつもりでいた。
 しかしその思考を上杉が捻じ曲げた。
「楽しかった?」その一言で。

 武田は嗜虐心が特定の誰かに向けば普通でいることを保てる気がした。許される気がした。
 特定の誰かは武田の中で決まっていた。
 サッカーボールを上杉にぶつけたあの日、自分に楽しかったかと上杉は不敵に笑い尋ねた。全てを見透かされた気がした。

 あれ以来、上杉は何も言ってこないが武田の歪みに気付いているのだろう。
 特定の誰かは上杉くん以外考えられない。そう武田は決めていた。
 だから痛め付けたいと言う欲を隠して武田から上杉に話しかけるようにした。
 仲良くなったフリをして逃げられなくして痛めつける気でいた。
 ただ誤算だったのは三好と言う気のいいクラスメイトが絡んできてしまった事だった。
 欲の対象から友達として上杉に心を許し始めている。
 もしかしたらこのまま友達になれるかもしれない。
 そんな淡い期待を武田は持ち始めていた。

「武田、ちょっといいか?」
 放課後、帰ろうと支度をしていると武田は担任に呼ばれた。
 呼ばれるような事は特に思い当たらないが武田は上杉と三好に先に帰るように言って教室から講義室へと向かった。
 教室に残された上杉は三好にチラリと目を向けた。
「三好くん帰る? どうする?」
「……武田やべぇかもな。小野坂に目つけられてんのかも」
「は? なんて?」
「ちょっと見に行こうぜ。武田が心配だわ」
「は? だから何? 説明してーや」
 上杉と三好は廊下に出ると武田の後をこっそりつけていった。
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